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2020年7月21日 (火)

なぜ未だ『なぜ未だ「プロヴォーク」か』か

 実はこの本、新刊書店ではなく、古書店でもなく、中古写真機店で買ったのである。

『プロヴォーク』とは、言うまでもなく、中平卓馬、高梨豊、多木浩二、岡田隆彦らによって創刊された写真同人誌で1968年11月1日創刊、2号から森山大道も参加。3号まで発刊されたが、総括集「まずたしからしさの世界をすてろ」で廃刊。わずか3号と総括集の出版ということで終了してしまった、言わば「幻の写真誌」である。

 で、それについて書かれた本書『なぜ未だ「プロヴォーク」か』も青弓社では在庫切れ重版未定状態になっていて、なかなか読むことが出来ないでいたんだが、家の近所のカメラ店ハヤシ商會のウィンドウに発見したのだ。

 オヤジさんにどこかの古書市か何かで見つけたのかと聞いてみたら、ご自分で読んだ本だったらしい。このカメラ店って結構本を多く売っているんだが、なるほどそういう傾向か、なんてニンマリして見たりするのでありました。

Photo_20200629151001『なぜ未だ「プロヴォーク」か 森山大道、中平卓馬、荒木経惟の登場』(西井和夫・編著/青弓社/1996年5月1日刊)

 で、早速読んでみたのだが、どうもね、この1980年代終わりから1990年にかけての頃の、新左翼風の文章にはちょっとウンザリする。というか、昔はそんな文章に憬れていた時期があったので、尚更「今更」感があって、親しくなれないんだなあ。つまりそれは「脚注の多さ・脚注文章の長さ」である。

 以下に、本書の各文章における本文と脚注のそれぞれのページ数を示す。

同時代的であること―書き下ろし 本文11ページ/註3ページ
“キャパの白痴”へ旅立つのだ「デジャ=ヴ」14号/1993年10月10日 本文30ページ/註12ページ
短い夏の親友―『暗闇のレッスン』(みすず書房、1992年6月刊) 本文5ページ/註1ページ
異形の人―「みすず」1992年5月号 本文6ページ
写真の黙示録―『暗闇のレッスン』 本文26ページ/註9ページ
荒木経惟は観音道の修験者である―『私が写真だ』(群出版、1982年10月刊) 本文26ページ/註10ページ
ギャルの時代の荒木経惟『少女物語』―「朝日ジャーナル」1988年6月3日号 本文3ページ/註5ページ
ヌードと二台のカメラ―「バッカス」1992年1月号 本文3ページ/註1ページ

 まあ、各論考の目の付け所は面白いんだが、それよりむしろ気になってしまうのはその「註」の多さである。本文を読んでいるとしばしば出てくるこの「註」に、本文の途中で「註」のページに飛んでそれを読み、そしてしかる後に本文に戻って読むということを繰り返していると、なんか段々本文の趣旨が見えなくなってしまってイラつくことになる。

 実はこの論文スタイルっていうのは1980年代終わりの頃から90年代にかけての、新左翼の論文スタイルであって、やたら脚注が多いっていうのは、岩波文庫版の『経済学哲学草稿』とか『ドイツイデオロギー』などの、カール・マルクス、フリードリッヒ・エンゲルスの論文スタイルなのである。もうやたら脚注ばっかりでねえ、なんか脚注読んでいるといつの間にか本文に何が書かれているのかわからなくなっちゃうっていう困った問題があって(私だけ?)、その都度、本文を少し前に戻って読み戻し、という読み方をしなければならなくて、なんか読んでいてイライラしてくるのであった。

 著者の西山一夫とは『東京都江戸川区小岩に生まれ(1946年生まれ)、1952年までそこで育つ。1968年、慶應義塾大学経済学部卒業。弘文堂新社編集部を経て、1969年に毎日新聞社出版局入社。「サンデー毎日」「毎日グラフ」記者を経て「カメラ毎日」編集部に入り、1983年から1985年休刊まで同誌編集長。』(Wikipedia)という経歴の人。

 さすがに「カメラ毎日」の編集長だった人らしく、自殺した山藤章二編集長の後を継いだ西山氏らしい文章ではありました。西山氏は残念ながら既に鬼籍に入ってしまっている。まさしく「団塊の世代」ど真ん中の人らしい、やたら脚注の多い文章を書く人だったんだなあ、というのが私が本書を読んだ感想であります。う~ん、なんかそれ以上の感想はないんだなあ、これが。

 えっ? 何が書いてあったのか? って? う~んと……

 なんだ、それで本を読んだつもりか? ハイ、一応読みました。

 まあ、取り敢えず。なんでも『プロヴォーク』の復刻版が二手舎という古書店から出ているらしい。

 そちらの方が気になるなあ。

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 本書を買った、駒込駅前のカメラのハヤシ商會 LEICA M-E TTArtisan 21mm f1.5 ASPH ©tsunoken

 『なぜ未だ「プロヴォーク」か 森山大道、中平卓馬、荒木経惟の登場』(西井和夫・編著/青弓社/1996年5月1日刊)Amazonではオンデマンド版で購入できます。

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