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2020年5月18日 (月)

『チョートクのボクのカメラたち』

 プラハの有名な写真家ヨセフ・スデクにことよせて田中長徳氏は書く。

『私が興味を持っているのは、彼のアトリエの混沌なのです。スデクの代表作に「写真家の迷宮」と呼ばれる一連のシリーズがあります。それは30センチ×40センチの超大型カメラで撮影された、密着プリントのシリーズで、スデクの「フォトスタジオ小屋」のインテリア写真なのです。正面に据えられた巨大なデスク上は、ありとあらゆる物品に満たされて、そこではカメラとレンズと、プリントとクリスタルグラスと、イコンと十字架と、彫刻と油絵と、カーテンと書類と、手紙に包装紙に紙のヒモにクリップという具合に、そこではありとあらゆるモノが混沌とカオス化しているんです。この写真を見て、私が深い感動に打たれたのは、そこに表現者としての男の部屋の理想のスタイルを見たからでした。』

『写真家は「迷宮」を目指す!』と題された前書きなんだけれども、まさしくここにヨセフ・スデクの「アトリエの混沌」が、実はここ佃のタワーマンションにおいて展開されているのだった。口絵の写真はまさしく、そんな田中長徳氏の「カオス」が存在している。

Photo_20200515171401チョートクのボクのカメラたち』(田中長徳・著/グリーンアロー出版社/2000年12月20日刊)

 で、そんなカオスを展開している田中長徳氏所有のカメラ339台を紹介したのが、この1007ページ、998グラムになんなんとしている、今どきはやらない重厚長大な本なのである。はっきりいって内容を紹介するどころではない、というかまず無理だ。ということなので、その中からごく一部だけ、これまた私が興味を持っている「ムービー・カメラ」だけを紹介する。ただし、ムービーカメラと言っても劇場用映画の35mmカメラはほとんどなくて、16mmや8mmなどの「小型映画」であるところが面白いんだけれども……。勿論、16mmでもスーパー16というアパチュア・サイズのカメラなんかは十分劇場上映に耐える画面を提供していた。というものの、現在、劇場用映画もほとんどがビデオ撮影になってしまっていて、フィルムそのものが消えつつあるっていうところも、これまたノスタルジックでいい。勿論、ビデオカメラは一台も紹介していません。

 まず「アリフレックス16 ガンカメラ」が一番最初に登場するところからして、変態である。だって、だったら本来は基本モデルとしてのアリフレックス16STを最初に紹介して、その派生モデルとしてガンカメラを紹介するはずなんだけれども、そうはいかないのが田中長徳本なのである。

 で、いちいち解説していてはスペースが足りないので、あとはカメラの名前だけ列挙。

『アリフレックス16 ガンカメラ/シネマプロダクツ(CP)・GSMO/ソ連製16ミリカメラ・キナー16/フランス製16ミリカメラ・エクレールACL/シネコダックK100シングルポート/オイミッヒC16/ボレックスH8ダブルスーパー8改造機/ベルハウエルDL16スパイダーターレット/ボレックスH16 EL/ボレックスH8レフレックス/アリフレックス35-1/ライキナスペシャル/ロシア製35ミリ撮影機コンバス/カレナズーメックス/ロシア製16ミリ撮影機グラスノゴルスク3/エクレールカメマチックGV200スーパー/パテスーパー16BTL/アリフレックス16ST/アイモ35改造機/シネフレックスCAMERA PH-330-K/ボリューR16/カメックス レフレックス8/アトーンLTR54/バウアーA512/パテ9.5ミリ モトカメラ/パルボ35ミリ撮影機(カウンターMUHLE UND SOHN GLAUHUTTE)/アリフレックス16BL/カメフレックス16/35 スタンダード/キャノン1014XL/エクレールACL2/ボリュー7008S/ベルハウエルHR16軍用カメラ/ボレックス16プロ/アグファモベックス8/ベルハウエル フィルモ75(アールデコ)/ドイフレックス16/ミノルタオートパックD12/エクレール35戦前モデル/アケリー35』

 当然のことながら、田中長徳氏は基本的にヨーロッパの人であり、ウィーンの人なので、ミッチェルとかパナビジョンなどのハリウッド御用達みたいなカメラは入っていません。当然、それらのカメラはスタジオで使うことが前提なので、カメラ自体を数人で扱うことが必要になり、ヨーロッパ流の「シネマ・ヴェリテ」には向いていない。で、結局、田中氏の目の付け所は16ミリがベースで、プラス8ミリって言うことになるんだなあ。

 しかし、スチール・フォトグラファーである田中氏にとってはこれら16ミリや8ミリは、結局は「遊び」でしかないわけで、そんな「遊び」に大枚をはたいちゃうっていう「趣味人」ぶりには、相変わらず私なんかは身が引けてしまうのだった。

チョートクのボクのカメラたち』(田中長徳・著/グリーンアロー出版社/2000年11月20日刊)

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