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2020年3月23日 (月)

『上級国民/下級国民』

「上級国民/下級国民』というタイトルは当然以下のことからなのだ。

『2019年4月、東京・池袋の横断歩道で 87 歳の男性が運転する車が暴走、 31 歳の母親と3歳の娘がはねられて死亡しました。この事件をめぐってネットに飛び交ったのが「上級国民/下級国民」という奇妙な言葉です。 事故を起こしたのは元高級官僚で、退官後も業界団体会長や大手機械メーカーの取締役などを歴任し、2015年には瑞宝重光章を叙勲していました。たまたまその2日後に神戸市営バスにはねられて2人が死亡する事故が起き、運転手が現行犯逮捕されたことから、「池袋の事故を起こした男性が逮捕されないのも、マスコミが”さん”づけで報道しているのも『上級国民』だからにちがいない」「神戸のバス運転手が逮捕されたのは『下級国民』だからだ」との憶測が急速に広まったのです。』

 ただし、本書ではそんな「上級国民」と「下級国民」という分け方を、そんな卑近なジャーナリスティックな例えではなくて、もうちょっと政治経済学的に分けてみようという姿勢なのだ。

Photo_20200217212601『上級国民/下級国民』(橘玲・著/小学館新書/2019年8月1日紙版刊・2019年8月6日電子版刊)

『現代社会では、「エリート」や「セレブ」は「努力して実現する目標」です。「上層階級(アッパークラス)/下層階級(アンダークラス)」は貴族と平民のような前近代の身分制を表わしていましたが、その後、階級(クラス)とは移動できる(下流から「なり上がる」)ものへと変わりました。それに対して「上級国民/下級国民」は、個人の努力がなんの役にも立たない冷酷な自然法則のようなものとしてとらえられているというのです。
 いったん「下級国民」に落ちてしまえば、「下級国民」として老い、死んでいくしかない。幸福な人生を手に入れられるのは「上級国民」だけだ──。
 これが、現代日本社会を生きる多くのひとたちの本音だというのです。』

『なぜ世界じゅうで同じ現象が起きているかというと、私たちが「知識社会化・リベラル化・グローバル化」という巨大な潮流のなかにいるからです。その結果、世界が 総体としては ゆたかになり、ひとびとが 全体としては 幸福になるのとひきかえに、先進国のマジョリティが「上級国民/下級国民」へと分断されていきます。
 これは産業革命(知識革命)によって成立した「近代」が完成へと向かう〝進化〟の不可逆的な過程なので、「立憲主義」を踏みにじる政権を 罵倒 したり、「グローバリズムの陰謀」を唱えて貿易戦争を引き起こしたり、中央銀行がお金を刷りまくったりしても「格差拡大」を止めることはできないでしょう。』

 結局、そんな「知識社会化・リベラル化・グローバル化」という潮流に乗れたのか乗れなかったのかというのが、いわゆる「上級国民/下級国民」の分かれ道という訳なのだ。

 じゃあ、それはどうすれば解決できるのかといえば、その流れ自体は世界中の潮流の中の出来事なので、個人的に努力して「知識社会化・リベラル化・グローバル化」の波に乗るしかないというのが、実は正解でしかないのだろう。でなければ「下級国民」として、「日本人」であるという以外に誇るものがない「日本人アイデンティティ主義者」になって、「嫌韓・反中」の「ネトウヨ」になるしかないということなのだろう。つまりそれは「白人であるという意外に誇るものがない」アメリカのプアホワイトと同じ状況で、メキシコや中南米からの違法入国を防ぐために、国境に高い壁を作れと言っているトランプ支持者と同じレベルってことなんですね。

 まあ、個人的には「セレブ」になるのは無理としても、せめて「エリート」に近い存在になって、「下級国民=ヤンキー」から抜け出すしかないようである。

 勿論、あえて「下級国民=ヤンキー」にとどまって、そこからの革命(上級と下級の逆転)を目指すことも可能ではあるだろうが、問題はそんなことを言いだした元「下級国民=ヤンキー」に対して、本来のそして大半の現実の「下級国民=ヤンキー」は、多分彼らを支持しないだろうということである。そんな上向き思考があれば彼らはいつまでも、自らが「下級国民=ヤンキー」であることを望まないはずなんだ。

 まあ、結局はSNSなどのメディアが上級国民だけの持ち物ではなくて、というかむしろ下級国民のための「愚痴のはけどころ」になってしまっている状況が、そしてそんな「下級国民の愚痴」をマスコミが面白がって取り上げるために、なんかそんな彼らの意見がメジャーな言論であるかのように取り上げられてしまっているという不幸があるんだろう。

 まあ、「脊髄反射」だけはやめようね。

『上級国民/下級国民』(橘玲・著/小学館新書/2019年8月1日紙版刊・2019年8月6日電子版刊)

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