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2019年12月11日 (水)

『消えゆく横丁』

「横丁」って何だろう。

『広辞苑(第六版)』によれば『横町【よこちょう】(「横丁」とも書く)表通りから横へ入った町筋。よこまち。』ということだそうで、なんか納得がいかないなあ。じゃあ、ということで本書でも引用している国文学者の小林一郎氏によれば、『「横丁」とは江戸などに見られる計画造成の城下町で、碁盤の目状に配置された大通りと大通りの間の建物の間をぬって、街路の奥の裏長屋や反対側の大通りへ達する細い私道、路地のことであり、「横町」とは密集した都市部に防火帯として新設され公的に認知された大通りとその沿線に並ぶ街区のことだという。』という方に何となく納得できるものがある。

 さらに引用を重ねると……

『太平洋戦争も終わりに近づいた1944(昭和19)年から45(同20)年にかけ、日本全国に米軍爆撃機による空襲が続いた。焼夷弾による火災から鉄道や軍施設などの要衝を守るため、市街地の各所に建物を立ち退かせ防火帯とした「建物疎開」が行われたが、戦争が終わり空襲がなくなると、その空き地に庶民が好き勝手に露店を開いた。これが戦後の闇市である。闇市は数年のうちに駅前の広大なマーケットや屋台街へと発展し、その後、自治体主導の駅前再開発や露店撤去令によって整理や移転を余儀なくされる。
 今日我々が「横丁」として愛慕する飲み屋横丁の多くは、戦後に誕生したマーケットや屋台がグループにまとまり、相応なスペースに移転して肩を並べた狭小な小胆外の名残である場合が多く、「〇〇横丁」「〇〇小路」などと愛称が命名されたのである。』

 っていう、藤木氏自身の筆になるものが一番シックリする。要は「闇市」の名残なんですね。で、闇市がなくなって横丁(飲み屋横丁や飲み屋小路)になって、それも既に/そしていずれかにはなくなってしまう。

 要は腰巻に書かれた「在りし日の酒場のかげを求めて」っていう本なんである。

Photo_20191207150001『消えゆく横丁 平成酒場始末記』(藤木TDC・文/イシワタフミアキ・写真/山崎三郎・編/ちくま文庫/2019年5月10日刊)

 著者の藤木TDC氏は1962年、秋田県の生まれ。東京に出てきてレンタルビデオ店で働きながら、アダルトビデオブームによる創刊ラッシュのアダルトビデオ専門誌でアダルトビデオの関連ライターとしてデビュー。エロメディアの評論家となり『噂の真相』などでサブカルチャー系の評論家としてスタートした人物である。

 つまり、取材で日本中を飛び回りながらも、盛り場の表通りにあるクラブとかバーには足を向けずに、ひたすらその裏通りにある場末のバーや飲み屋に通い、その余りにも庶民的な佇まいや客あしらいに親しみ、その雰囲気に溺れ、酒に溺れ、(多分)そこの女にも溺れたんじゃないかな。まあ、あまりそういうところに若い女性はいないんですけれどもね。まさにサブカル。

 私も仕事で(全国というほどではないが)いろいろな地方都市の「飲み屋横丁」ってのにも行ったし、そこに親しんだ経験はかなりある。まあ、それなりの歳だしね。ただし、そういった「裏道の飲み屋横丁」も行ったけど、もう一つ表の「普通の繁華街」にも仕事の関係で通ってもいた。

 どっちがいいかと言えば、そりゃあ表通りのクラブやバーの方が女性も若いし、客の雰囲気は基本的には「前向き」だ。そりゃそうだよね、だって、来客の大半は「社用族」であります。そんな人たちが後ろ向きの話ばっかりしていたんじゃ、会社は潰れますがな。ということで、客の本音を聞きたけりゃ、やっぱりテメエの金で飲む「裏通りの飲み屋横丁」なんですね。裏通りには人件費のかかるクラブなんかはなくて、ママとホステス1人か2人のバーか、おばちゃん(お婆ちゃん?)が一人でやっている焼き鳥とかおでんなんかの店だ。

 まあ、はっきりしていて来ているオジサンたちの雰囲気は「殺伐」としていますね。でも、そんな殺伐のなかの優しさっていうか、そんな、男同士の戦いと(男は戦わなければならない)、同時にいたわり合いの景色があるのが、まあ「裏通りの飲み屋横丁」なんですね。

 本書には『第一部 東京の消えた横丁』として、「人生横丁/百軒店/彦左小路/丸三横丁/今川小路/神田小路/四十五番街/五間堀長屋/呑んべ横丁/下北沢駅前食品市場/大井新地/三原橋地下街/さくら新道/リバーサイドおでん屋街/花月園競輪場・川崎競輪場」が紹介されているが、一方、『第三部 再生する横丁』として、「新宿ゴールデン街・花園街(東京都新宿区歌舞伎町)」「ハーモニカ横丁(東京都武蔵野市吉祥寺本町)」「静岡ゴールデン横丁(静岡県静岡市葵区黒金町)」「ションベン横丁(大阪府大阪市淀川区十三本町)」「夜明け市場(福島県いわき市平字白銀町)」もちゃんと紹介。

 これはこれで旅の楽しみが増えるってもんだ。

Epsn00652_20191208211801

Epsn00672_20191208212201 吉祥寺ハモニカ横丁2態です。

 (藤木TDC・文/イシワタフミアキ・写真/山崎三郎・編/ちくま文庫/2019年5月10日刊)

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