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2019年12月15日 (日)

田中長徳氏の重厚長大な写真集『WIEN MONOCHROME 70's』

『作成されたのは14年前の2005年。1,000部限定の上、書店販売されなかったという幻の写真集』なんだそうだ。でも、私はこの本、小宮山書店という古本屋さんで買った、ということは昔直接買った人が古本にだしちゃったんだろうか。

 この480ページ、重量2.5kgに及ぶ分厚い写真集に掲載されている数少ない田中長徳氏の文章は以下のものだけ

『私と妻は1973年の5月5日に日本の横浜港を出て、5月11日の朝にウイーンに到着した。
それから7年と半年の時間をウイーンで過ごした。
妻はウイーンに音楽の留学で行ったのだが、私には特に仕事もなかったから、古いライカを手にしてウイーンの街を歩き回ることが仕事になったのだ。この「良き生活習慣」は1980年に日本に帰国してからも継続した。
つまり暇さえあればウイーンに出かけて、写真を撮影していた。
今になってウイーンを撮影してすでに30年が経過したことに気がついた。
この本ではその1970年代の仕事をまとめてある。

田中長徳』
(上記文章および、その、中国語訳、英語訳、ドイツ語訳)

 いやあ、田中長徳氏の本(写真に関する本だろうが、写真集だろうが)に関して、これほどまでに文章が少なく、とにかくいさぎよく「写真だけで勝負した」(のかな?)本はこれが初めてである。いや、もしかするともっとあるのかもしれないが、私の知っている限りではこれが初めてである。

Wien-monochrome-70s『WIEN MONOCHROME 70's』(田中長徳著/東京キララ社/2005年2月2日刊)

 あの世紀の名著『銘機礼賛』三部作(日本カメラ社/これは写真集ではないので当たり前)は言うに及ばず、『東京ニコン日記』(アルファベータ)や『田中長徳写真集 写真機店 プラハ,ウィーン,フランクフルト』(アルファベータ)、『ウィーンとライカの日々 DAS WIENER LEICA TAGEBUCH 1973-1996 CHOTOKU TANAKA』(日本カメラ社)などの「写真集」と思われる本や、いくつかの田中氏の写真関連本を所有している私なのだが、これほどまでに文章が少ない田中長徳氏の本はない。

 むしろ田中長徳氏は「写真集は少ないのだが、写真やカメラに関する蘊蓄はものすごいものがある写真家」として世間には認識されていて、なんか「写真家」としては「写真機家」の副業ではないか、なんて冗談も出ている状況ではあるのである。

Wien-monochrome-70s_20191206100101©Chotoku Tanaka

 でもまあ、「写真」というものが、初期のシュールレアリズム時代を除いては、「写真機」というものが媒介しないと存在しない表現形式だとするならば、「写真家=写真機家」というレーゾンデートルもあるのであろう。

Wien-monochorome©Chotoku Tanaka

 つまり、写真家が写真だけで自己表現をしようと思ったのであれば、それは「文章では語りつくせない内容を写真と言う形式で語らねばならない」ということで、そのためには多くの写真画像が必要になる、ってことなのかな。

 まあ、ド素人の自称写真家兼自称執筆家ではこんなことしか言えないんですよね。

  う~ん、哀しいなあ。俺はその程度の写真家でしかなく、ライターでしかないんだよな。

 蓄積がないんですね。

(田中長徳著/東京キララ社/2005年2月2日刊)

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