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自転車・本

2012年4月11日 (水)

『ツール・ド・ランス』ってダジャレですか

 まあ「強いものは疎まれる」というひそみに倣えば、まさしくその通りである。しかし、強すぎた。1999年から2005年まで、ツール・ド・フランス7連勝というバックグラウンドがあれば、当然そこにはドーピング疑惑があって当然であり、常にそうした疑惑の中心にいざるを得ないのだ。

『ツール・ド・ランス』(ビル・ストリックランド著/安達眞弓訳/白戸太朗監修/アメリカン・ブック&シネマ/2010年9月25日刊)

 そんなランス・アームストロングがよせばいのに2009年に復帰して、それもツール・ド・フランスに参加するというのだ。ランスの後にアスタナに参加して、ランスの次のアスタナのエースと目されていて、事実2007年のツールで総合優勝したアルベルト・コンタドールにしてみれば、当然ランスの復帰は面白くないはずだ。アスタナのチーム・ディレクターであるヨハン・ブリュイネールはどちらをチームのエースに決めるんだろうか。4年ものブランクがある選手である。当然、今チャンピオンである自分がエースであるのは間違いない。しかし、ヨハン・ブリュイネールとランス・アームストロングの関係である。つまり、ヨハンとランスのこれまでの業績は、この二人じゃなくては出来なかった業績である。ランスがレースに復帰するということになれば、当然昔のヨハンとランスの関係論になってしまうだろうというのは、素人目にも分かることである。当然、ランスはヨハンを頼って復帰したわけであるのだから。

 というところで、2009年のツール・ド・フランスが俄然面白くなってくるのだ。同じチームの中でのエース争いといえば、ベルナール・イノーとグレッグ・レモンの1985年と86年の確執が有名であるけれども、しかし、それはまだ現役継続中であったイノーとの関係論なのである。一度引退したランスを迎え入れるコンタドールの気もちは如何ばかりであろうかと考えてみればすぐ分かる。

 これまで自分をランスの後のチームのエースだと捉えていた監督が、ランスが帰ってきたことでなんか揺らいでいる。でも、じゃあランスをエースにするのならば自分を斬首にすればいいじゃないか。ところがそれもしないで、なおかつランスをエースとして迎えるヨハンってなんなのだ。という気分にコンタドールが陥っても当たり前であろう。

 本当は、そんなコンタドールの側にたった証言が欲しかった。結局、本書のようにランス側にたった諸証言では、結局コンタドールはチームの指示に従わない自分勝手な(でも強い)エースだというものにすぎない。

 しかし、コンタドール側にたった証言があれば、実はそうじゃなくて、いかにヨハン・ブリュイネールとランス・アームストロングが言うことが無茶なことばかり言っているのか、ということになるだろう。だって、コンタドールが勝っていいステージで、勝たなくてもいいなんて指示をだすのだ。

 ランスに関するドーピング疑惑だって、最後はこうしたアメリカ人が書いた本によって、何となく「ランス・アームストロングはドーピングしてないんじゃないの」という日本人の結論になってしまうのだ。しかし、ヨーロッパ人中ではランスのドーピングは当たり前という考え方もあるように、これだけの業績を上げた選手がドーピング位したっていいじゃないか、という考え方もあるのだ。

 とにかく、「ガンからの生還を遂げ、なおかつツール・ド・フランスで7連勝した」ということで、半ば神格化されているランス・アームストロングなんだけれども、その神格化は間違っているね。単なる「ビッグ・ランス=尊大なランス」であるだけだ。

 ランス・アームストロングは神様なのか? それは違うね。

 だったら、アルベルト・コンタドールは阿弥陀様なのか、という問いぐらいにおかしな問いだ。

 ランスは、結局復帰したけれども、アメリカのローカル・レースで勝っただけである。グラン・ツールはももどかは、ワンデーレースでも勝てない。ツァー・ダウン・アンダーでも勝てなかったじゃないか。そういう意味では「過去のレーサー」なのだ。

 まあ、それでいいじゃないか。

 所詮、一回引退したレーサーが、ちょっと気になって、一回復帰してみようかなと思っただけ。

 本当は、そのために本を書くほどじゃなかったのだ。

 が、本を書かせてしまうだけの魅力がまだあるんだ、ランスには、ということなのだろう。

 できれば、英語の翻訳者だけじゃなくて、イタリア語とかフランス語とかドイツ語の翻訳者たちにも、こうしたツールだけじゃなくて自転車本の翻訳をお願いしたい。多分、イバン・バッソやヤン・ウルリヒやパンターニなんかの伝記もあるんだろうから、そんな本を読んでみたい。

 そうすれば、こうしたランス=アメリカ側からだけじゃない、自転車世界が見えてくるかも知れないのだ。

2010年11月29日 (月)

『嗚呼 愛しき自転車乗り』といっても坂バカになんかならないぞ

 ドロンジョーヌ恩田という美人漫画家の自転車本はいろいろな「あるある話」満載の面白本だ。

『嗚呼 愛しき自転車乗り』(イラスト&文:ドロンジョーヌ恩田/枻出版/2009年8月1日刊)

 例えば「競争心が抑えられない」なんて、例えば道をロードバイクで走っていて、いつの間にか他のロード乗りとの競争状態になってしまったり、「いつもよりフレンドリーになってしま」ったり、「なぜかいつも向かい風」になっていて不思議になったり、「距離感がおかしくな」ってしまったり、「個性的な日焼け」は当たり前だし、「天気ホリック」になるのは普通だし、「TVに自転車が出ていると食いつく」し、「サドルを少し高くしたくなる」のは当然だし、「もしも自転車で走っていたら、の想像」をしながら山道を自動車で走ったり、つまり「ここの傾斜は何%かな」なんてことを考えながら運転することなんだけども、「無意識のうちに(でもないけど)(チンコの)ポジションを直」したりするし、「何かの音楽がアタマの中を流れる」し、「オールスポーツの写真に凹」んだこともある。

 まあ、自転車乗りなら凡そ思いつくことばっかり書いてある。しかし、だからと言ってその何が面白いのか。まあ確かに、「うんうん、そうそう」という話ばかりなのであるが、それは自転車乗りにとっては、まあ皆「普通」「日常」の話なのだ。自転車乗りじゃない人が読めば、「まあ、自転車乗りってバカばっかりじゃない」という面白さはあるだろうが・・・。つまり、これらの話は自転車雑誌『バイシクルクラブ』(略称『バイクラ』バイアグラではない)に掲載されるより、一般雑誌に「自転車乗りのおバカな日常」とでも題して掲載された方が面白いのじゃないか、ということである。でも、こんなバカ話は自転車雑誌じゃないと掲載されないか・・・。

 しかし、このドロンジョーヌ恩田さんもやはり「坂バカ」なのでありました。『坂道は、その負荷、体が頑張っている感じ、心拍数の増加といった身体的快感を伴うし、移り変わる景色も楽しめます』だそうである。え~、私はそんなの楽しめないよ~。勿論『山の楽しみとして忘れちゃならないのは、なんと言っても「下り坂の気持ちよさ」ですね』とドロンジョーヌも分かってはいるのだ。私なんかは、如何にしてこの後半の「下り坂」だけを走れないかと考えているのだが、しかし『坂道は苦しい上りだけじゃない 時には優しく助けてくれる』(ビデオ版『逮捕しちゃうぞ』主題歌『100mphの勇気』横山武:作詞)ということは分かってはいるのだ、分かってはいるのだけれども、でも「上りはイヤ」なのである。

 でもやはり「下り」を走るためには「上り」も走らなければならないことは分かってるから龍勢ヒルクライム、ツールド草津、枝折峠ヒルクライムなんかのヒルクライムレースにも出た。しかし、それらはツラい、ツラい、上りはやっぱり嫌だな、となってしまうのである。おまけに、龍勢ヒルクライムではレース終了後に胸椎骨折なんてのもやってしまったし・・・グスン。でも、自転車が無事で良かった。という話もこの本に載ってるけどもね。

 で、当然平地のレース、ひたちなか市の運転安全センターの一周数キロのオーバルコースで行なわれたレースとか、富士スピードウェイやツインリンクもてぎなんかのエンデューロレースの方が出て良かった。エンデューロは結構OKなんです。とは言っても、富士スピードウェイも最終コーナーへと上る斜面とか、もてぎも裏のヘアピンに上る斜面とかあって、数周すると結構これがキツい上りになるのだな。でも、ひたちなかなんかはやはり単調で面白くないし。でも、私は単調だろうが何だろうが、あまり上りのない平坦コースの方が好きだ。

 つまり、私は「坂バカ」が理解できない自転車乗りなのであります。これは自転車乗りとしては風上にもおけない奴、なんだろうか。

2010年8月23日 (月)

『チクリッシモ』が持ってくるヨーロッパ的感性って何なのだろう

 自転車フォトジャーナリスト砂田弓弦氏が責任編集を務めるこの雑誌は一生懸命、自転車のスポーツとしての自立を求めるのだが、状況はどうなのだろう。まあ、世界的には(というかヨーロッパ的には)スポーツとして認められ、結構メジャーな部分を占めているのだが・・・。
『チクリッシモ』20号(砂田弓弦責任編集/八重洲出版/2010年8月20日刊)

 日本ではいまだマイナースポースの立場から離れていない。つまりそれはスポーツとしての「レース」の世界なのだ。「レース」の世界から離れれば、いまや日本においてもサイクル・スポーツはかなりメジャーなスポーツになってきている。ところが、こと「レース」の話になってしまうと、それは「自転車オタク」だけの話になってしまい、たとえば新城幸也が昨年のツール、今年のジロ、ツールというグランツール3連続出場という快挙を成し遂げたことも、さほどたいした情報ではなくて、新聞でも脇の記事扱いである(まあ、ラクロスなんて記事にもならないけどね)。スポーツとしてのサイクリングは勝間和代氏のおかげもあって多少はメジャーになってきたかな、というところであるがしかし、「スポーツとしてのレース」はいまだにマイナーのままにおかれてしまっているのだ。

 という逆風の中で出版された『チクリッシモ』という<雑誌>がどこまで生き延びるのかは分からない。なにしろ、「レース」だけを扱う雑誌なのだ。そんなものイタリアでは成立するかもしれないが、この日本では無理でしょう、というのが普通の出版人の発想である。でも、砂田氏は出版したし、八重洲出版はそれに応えて出版をしたのだ。取り敢えず、この出版社の動向を見るしかないだろう。

 で、『チクリッシモ』9月号であるが、当然、ツールドフランス3連勝のアルベルト・コンタドールの大特集であり、同時に、このツールで選手を辞めることを決めたランス・アームストロングに対する賛辞であろう。まあ、ことしのツールドフランスはそれしかなかったからなあ。あとは、コンタドールとシュレックのマイヨジョーヌ争いであるが、そんなものはランスの引退報道の前には消し飛んでしまった。まあ、なんというランス。マイヨジョーヌよりも君の事の方が大事なのか! ということである。

 実は、もっと面白いのはNaco氏の西薗良太選手に関する記事である。西薗選手は知る人ぞ知る、学生ロードのチャンピオンである。おまけに東京大学の学生である。別に、学生が学生スポーツのチャンピオンであるのは当たり前なのであるが、まあ、それが東大生であるというところにマスコミ的に記事になる(多分、スポーツマスコミ連中に東大卒はいないだろうから)ということである。同時に、当然東大の学生である以上、選手特権なんてものは無く、大学生として普通の生活も送っている学生である。いまや大学院への進学を考えているようだが、それと同時にプロへの道も考えているようだ。「東大(大学院)出身のプロロード選手」ってのも”日本では”受けるかもしれない。ただし、ヨーロッパとかに行ってしまえば、日本式に「東京大学」と言ってもそれは単に「ああ、東京にある大学なんでしょ」てなもんで、いがいと気楽に自転車生活を送れるかもしれない。

 さて、『チクリッシモ』9月号であるが、その他にもそれこそグランツール3連続出場(!)の新城選手についての記事も載ってる。新城がネオプロの2年契約が切れる今年、来年はどこのチームと契約するのだろうというのも大変な興味の的である。まあ、B-BOXブイグテレコムと再契約というのがほぼ確定のようなのだが、その際に、「来年は勝ってもいいよ」という契約になるのかどうか、そこが問題だ。

 それらも重要なのだよね、砂田さん。

2010年6月18日 (金)

『ヒルクライマー宣言』って、高千穂遥ってバッカじゃね?

 サイクルスポーツ(ロードレーサー)の世界にはいろいろのタイプの脚質をもったライダーがいて、それぞれがそれぞれの立場で活躍する場所があり、それでチームが構成されている。

 中でも一番華やかなのが「スプリンター」であろう。何しろ200kmを走るレースで最後の1kmだけ勝負する人なのである。おまけに、彼が勝負するに当たっては、それまで「列車」を組んでいたアシスト選手が数人いて、そのアシストがかわりばんこに首位に立ち、最後の最後、500m位がスプリンターの本番の勝負どころなのである。その代わり、何しろ平地で70km/h位のスピードで、押し合いへしあいしながらよそのチームのスプリンター同士との戦いを繰り広げる。一番有名なのはもう引退してしまったが、イタリアの伊達男マリオ・チポッリーニであろうか。なにしろ、罰金覚悟で筋肉ジャージを着たり、ポマードべったりのヘアスタイルで走ったり、体もでかいし、筋肉モリモリである。おまけにいい男。

 で、そのスプリンターのお膳立てをするのが「ルーラー」という選手たちで、とにかくひたすら200kmの間、プロトンを引きまくり、ボトルを取りにいったり、マイヨジョーヌやマリアローザの風除けをしたりしながら、最後はスプリンターの影になって後ろのほうでアウトフォーカスになりながらガッツポーズをしたりする写真が雑誌に載ったりする。ただし、こうしたルーラーの中で、たまたまその日トップ引きをしたのがプロトンとあまりにも離れてしまって、最後までプロトンに追いつかれなくて、「今日はもう逝ってヨシ」となった場合は「ルーラー」転じて「パンチャー」となって、着に絡んでしまう場合もある。「茄子 アンダルシアの夏」の主人公ペペ・ベネンヘリとか、今年のジロの第5ステージの新城幸也みたいなもので、これはもうめっけものの勝利だ。勿論、勝てば目立つ。「今日は俺の日だっ!」てなもんで。

 新城は3位だったけど。

 で、こうした目立つスプリンターにはなれない、どちらかと言えば貧相な体形の選手がなるのが「クライマー」である。このクライマーというのは、読んで字の如し、ひたすら「上り坂」を上るだけの選手である。つらいのである。もうこんな坂上りたくないよ、というような坂をひたすら上るのである。坂は、上っても上っても続くのである。おまけに、坂道だから途中で休んだら、もう上がれなくなってしまうのだ(まあ、レースの最中に途中で休むやつは、草レース位しかいないが)。なんで、こんなつらいことやってるんだろう。なんで、やめたくてもやめられないんだろう。などと考えながら、ひたすら上るのであります。体は貧相だが、しかし、貧相だからこそ、彼は上れるのである。つまり、スプリンターみたいな筋骨隆々だと、その筋肉が重くて上れないのである。貧相な方が、貧相ゆえに、余計な筋肉がついていないで、上れるのである。勿論、このジャンルのスターはこれも既に引退してしまった(というか死んでしまった)、ミスター・ドーピングことマルコ・パンターニだろう。貧相ついでに髪の毛まで貧相だったけど。

 で、こうした「上りだけのレース」というのが、今、日本では盛んに行われている。いわゆる「ヒルクライム・レース」というこのジャンル、要は峠の上り部分だけをつかった10kmから20km位のレースであり、しかし、上りだけなので、レースといっても実業団レベルでも30km/h位の比較的低いスピードなので安全という理由から、全国いたるところで開催されており、多い日には2~3箇所位で開催されていたりする。おまけに交通量の少ない峠道でやるレースなので、長距離の公道を塞ぐようなロードレースに比べると、比較的道路使用許可がおりやすい。

 当然、レースは峠の上りだけ。大体優勝する人で40分から1時間位でゴールである。しかし、そのレースの間中すべて「上り」なのである。つらいのである。なんでこんなレースに出てしまったんだろう、なんてことを考えながら走るのである。途中で休めないのである(休むやつもいるけど、私みたいに)。自分でエントリーしていながら、である。馬鹿ですねぇ。ヘタレのクセして。

 こんなレースにハマッてしまった小説家・高千穂遥は本当のバカである。おまけにヘタレの為の自転車レース入門編『ヒルクライマー宣言』(小学館101新書/2010年6月6日刊)なんて本まで書いて。あ、本書くのは彼の仕事なのだからまあいいとして、しかしヒルクライマーだって。あんな、ツラいことをねぇ。よくやりますねぇ。本当、坂バカってやつはねぇ。

 特に、中高年から自転車始めると、ハマるんですよね。この、ヒルクライムに・・・。「あの達成感がたまらない」なんて言ってね、まあ、もうすでにセックスでは達成感が感じられないような年になってしまったからね。

 そのほか、(電動アシスト)ファビアン・カンチェラーラなんてところが有名な、ただ一人きりで走りきることに生きがいを見出す「TTスペシャリスト」なんてのもいたり、峠道の下りでやたら速い「ダウンヒラー」なんてのもいる。特にダウンヒラーなんて、ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアなんかだと峠の下りで100km/h位でトバしてしまう、トンでもなく命知らずの連中だ。あんな細っこいタイヤ(幅20~23mmです)で100km/hですよ。100キロ。

 実は私はダウンヒラー。といっても100km/hでトバすようなマネはできない。せいぜい40km/h~50km/h。でも下りは楽しいんだよ。どんどんスピードは出るし。漕がなくてもいいし、ラクだし・・・。って、でもダウンヒルを楽しむには・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・上らなければいけないのであった。

 あ、バカってのは自転車業界ではホメ言葉だからね。念の為。

2010年5月 8日 (土)

ジロの前に『GIRO』をおすすめ

 いよいよ明日からジロ・デ・イタリアがスタートする。今年はオランダのアムステルダム・スタートという具合にグラン・ツールも国際化していて、ツール・ド・フランスあたりはアメリカのワシントン・スタートが言われているし、東京スタートという話もないではないということだ。皇居前スタート、内堀通りのタイムトライアルなんてのが見られれば面白いのだがね。

 ということで、今年のジロはベー・ボックス・ブイグテレコムの新城幸也が出場するということで大注目の明日のスタートである。ということで、ここで改めて砂田弓弦氏の写真集『GIRO<ジロ>』(未知谷/2002年4月25日刊)をご紹介。

 砂田氏は自身も自転車選手で、大学を出てから数ヵ月イタリアのアマチュアチームでレースにも出ていたことがある人である。しかし、そこで自分の才能に見限ったのかどうかは知らないが、たまたま自転車と一緒に持っていたカメラを持って再びイタリアに行き、そのまま自転車レース専門のフォトグラファーになってしまった人である。写真の腕はまあそこそこであるけれども、要は場数である、場数を積めばその中にはいい写真もある。ということで、いまや日本の自転車レース専門のフォトグラファーの第一人者になってしまっている。

 砂田氏のこの『GIRO』の前作に『フォト!フォト!フォト!』(未知谷/2001年7月29日刊)がある。この写真集は多分日本で最初の自転車レース写真集ではないかと思うのだが、こちらは<ジロ・デ・イタリア><ツール・ド・フランス><ワンデイ・レース>と、自転車レースを網羅している構成になっている。しかし、『GIRO』は1990年から2001年までの<ジロ・デ・イタイア>だけの構成である。つまり、それだけ『フォト!フォト!フォト!』が、まあ売れたということなのだろうけど、やっぱり「ジロ」だよね、というのも「ツール・ド・フランス」ほど国際化されていない(といってもアムステルダム・スタートというだけあって十分国際化はされているが)ジロ・デ・イタリアの方がずっと面白いということなのだろう。実際レースを見てみると、コースに止まっている車があったりして、なんか田舎レースを見ているような雰囲気がありつつつも、それでいてグラン・ツールという一大国際レースであることも事実なのである。

 そういえば『フォト!フォト!フォト!』の表紙に使っている写真で、200年のジロ・デ・イタリアで、珍しくステファノ・ガルゼッリをアシストするマルコ・パンターニというスチールがある。元々はカラーで撮影されていたらしいが、この本では表紙でも中ページでもモノクロで掲載されていて、そうするとツルッ禿げのパンターニと金髪で髪が薄いガルゼッリの見分けがあまりつかない。つまり、アシスト選手とエースの関係論というのは、こんな感じなのかもという気にもなる。ようは、どっちか見分けがつかないようにする・・・ということもあるのかな、と。

 という具合に、ジロ・デ・イタリアと言えばマルコ・パンターニとメリカトーネ・ウノとビアンキといのが三第噺というくらい、関係論は有名だ。ジルベルト・シモーニがいくら頑張ってもまだまだパンターニ伝説にはかなわない。

 はたして、新城がパンターニほどの伝説をジロの歴史に残すことが出来るのか、多分、無理だと思うけど、何か残すことができればすごい。なにしろ、ツール・ドフランスとジロ・デ・イタリア両方のレースにでた日本人はまだいないのだ。この勢いで、ヴェルタ・ア・エスパーニャにも出場して、三大ツール全出場という大記録を残して欲しい。

 ところで、『GIRO<ジロ>』で一番のオススメ写真は何かと言えば、前半のところに載っている「マペイのニコレッティ選手の奥さんが沿道に待ちかまえていていっしょに走り出したシーン」、勿論奥さんも同じマペイジャージを着ている。それと後半の「プロトンが通り過ぎる町の中でビキニ姿のお嬢さん(?)が見ているシーン」、勿論フォーカスはビキニ姿のお嬢さんの方にあっている。そして最後の方、これも「プロトンが通過する町の中で、結婚式を終えたばかりの新郎新婦が拍手をしながら選手を応援してるシーン」という具合いの『茄子 アンダルシアの夏』もどきのシーン。と、言う具合に真面目なレースシーンというよりは、ちょっと脱力したシーンが、いかにも<ジロ>という感じがして良い。

 J-SPORTで明日の、ジロ・デ・イタリア初日をみて興味を持った方、一度この写真集『GORO<ジロ>』をおすすめします。

2010年4月 9日 (金)

自転車レース本の季節がやってきた

 ヘント~ウェベルヘム、ロンド・ファン・フラーデン、パリ~ルーベといわゆる「北のクラシック」が始まり、5月にはジロ・デ・イタリアとツアー・オブ・ジャパンが来て、いよいよツール・ド・フランスへ向けて自転車レースのムードが盛り上がってくる。

 そんな中で自転車本の季節が今年もやってきた。その初めに出たのが『イラストでわかる! ロードレースの秘密』(エイムック/枻出版社/4月10日)であります。内容はJスポーツのホームページでおなじみのイラストレーターがめんだ氏のイラストと、これまたJスポーツの自転車レース中継でおなじみの宇都宮ブリッツェン監督の栗村修氏の監修による、自転車ロードレース観戦のツボをおさえた便利本であります。中身は「1、レースの種類」「2、選手とチーム」「3、ロードレースの作戦」「4、選手を取り巻くヒト・モノ・コト」「5、ビッグレース観戦のツボ」「6、選手名鑑2010」「7、用語辞典」プラス「コラム」である。三大ツールからプロツアー、日本のビッグレースまで至れり尽くせりの内容は十分1,200円払った価値はあります。もっとも、そんなことは知ってるよというようなことまで書いてはあるのだが、選手名鑑だけでも買っておいてテレビ観戦の際に脇に置いておくと便利であります。

 ということで、取り敢えず紹介。

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