フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

書籍・雑誌

2017年2月25日 (土)

講談社、3年ぶりに増収増益に

 1月30日のブログ『「出版不況」って何なんだろう』でちょっとだけ触れた講談社の決算発表が2月21日にあり、その記事が『新文化』2月23日付け(木曜発行・金曜配達)で掲載されていたので、そのご報告。

Img0732

『2月21日、株主総会および取締役会を行い、第78期(H27.12.1~同28.11.30)決算と役員人事を発表した。期中の売上高は1172億8800万円(前年比0.4%増)、当期純利益は27億1400万円(同86.7%増)。75期年以来3期ぶりの増収増益を果たした』というリードに引き続き『売上高の内訳は、「雑誌」627億6800万円(同7.4%減)、「書籍」173億6700万円(同1.1%減)、「広告収入」46億6900万円(同3.0%減)、「事業収入」283億5300万円(同29.7%増)、「その他」9億9600万円(同38.1%減)、「不動産収入」31億3300万円(同0.6%減)。
 事業収入の内訳は、「デジタル」175億円(同44.5%増)、「国内版権」70億円(同6.3%増)、「海外版権」36億円(同16.0%増)。
 書籍、雑誌市場が縮小し、紙媒体の売上げが前年を下回るなか、デジタル・版権収入が大きく伸長した。
 野間省伸社長は「収益構造改革の成果は徐々に出始めていると思う」と話す一方で、紙媒体の減少に歯止めがかからないことに強い危機感を示し、デジタル・版権事業の基になる紙媒体の重要性を改めて述べた。
 すでに始まっている79期については、売上高1214億円、税引前当期利益73億円と増収増益の目標を掲げている』とまとめている。

 まあ、かなり早くから進めていたライツ・シフト、デジタル・シフトがやっと芽を吹いてきたということなのだろうけれども、まあ、そのライツ・シフトの方を進めてきた私にとってはなんとかホッとできた状況ではある。まあ、私は「国内映像制作→国内版権」の流れなんだけれどもね。

 いずれにせよ、やはり早くから進めていたデジタル・シフトが芽を吹いてきたということなんだけれども、やはり紙媒体の衰退はデジタル・ブック登場当初から言われてきたことであり、「いやいや、読者の紙離れはそんな簡単にやってきません」なんて言ってきた出版社は皆前年比ダウン、利益減少、倒産の危機っていう状況に陥っているんだから、今や出版界のデジタル・シフトは止めようもない事態なのだ。

 というか、新しいメディア、テクノロジーが登場したとたん、それ以前からあるメディア、テクノロジーは衰退するっていうのが歴史的な必然であるのだ。である以上、それまでの古くからあるメディア企業は、新しいテクノロジーを如何にして自分の中に取り込まなければいけないのか、ということを考えなければ、その表舞台から消え去るしかない運命にあるのだ。

 そんな意味では、馬鹿みたいに紙書籍と電子ブックの同時パブリッシュ(出版)を目指してきた講談社のやり方は間違っていなかったということなのだろう。まあ、現状は完璧な同時パブリッシュまでには至ってはいないんだが、かなりの状況で実現しているのは立派だし、多分、日本の出版業界でここまで同時パブリッシュができているのは、講談社とKADOKAWAだけじゃないだろうか。

 ということで、KADOKAWAの決算報告にも注目したいんだけれども、決算期が違うので、これまたKADOKAWAの決算報告が出たらご報告します。

 まあ、いずれにせよ新しいテクノロジーが出たらそれに対応しない企業はダメになる、ってことですね。

2017年2月 1日 (水)

⇧上げ 下げ⇩ マンション大調査

『週刊 ダイヤモンド』(2017年2月4日号)の特集が「⇧上げ 下げ⇩ マンション大調査」っていうもの。

 まあ「大調査」っていう割には表っつらだけを撫でたような感じもないではないが、取り敢えず読んでみよう。

2_4 『週刊 ダイヤモンド 2017年2月4日号/ダイヤモンド社/2017年1月30日刊)

 記事は「⇧上げ 下げ⇩ マンション大調査」という大タイトルの下

Part 1「新築と中古が逆転 マンション戦線“異状”あり」

Part 2「中古マンション エリア密着レポート」

Part3「それでもやっぱり 新築マンションが欲しい!」

Part 4「だまされないための 管理と大規模修繕のツボ」

 という4パートに分かれている。

Dscf83922

 まずは Part 1「新築と中古が逆転 マンション戦線“異状”あり」なんだが、要はまず土地の取得価格の高騰がある。いまや新築マンション市場は一種の「ミニバブル」状態となって、場所によっては東京都心エリアと同じくらいの土地取得価格が江東区や城南、湾岸、武蔵小杉あたりまで広がっているという状態なのだ。『局地バブルはいまや、都心近郊にまで及んでいる。江東区の深川エリアで販売されているタワーマンションの坪単価が500万円を超えるケースもある。武蔵小杉では、ほぼ山手線内である文京区と同じ単価でタワーマンションが販売されたり、門前仲町や木場といった辺りでも坪単価300万円というのが、今の相場なのだ』という。

 その結果、新築マンションよりは既存の中古マンションのほうにユーザーの目が行っているということなのだが、 でも、それはやっぱりマンションの立地なんだろうな。ただし、マンション資産価値の騰落率でワースト1位になったのが渋谷区松濤にある「プラウド松濤」でマイナス42.2%だっていうんだから、ちょっとその理由は分からない。

 まあ、「いつ、どこで買うか」っていうのは買い物の基本なんだけれども、マンションもその基本通りなんだろうなあ。

『ミニバブル期に分譲されたマンションの騰落率を見ると、東京23区であっても、いわゆる都心3区(港区、中央区、千代田区)以外は一部を除き、ほぼマイナスに転じていることが分かる。東京都以外では神奈川県と大阪府の中心部、京都府の中心部以外はほぼ全滅だ』

 というんだけれども、まあ基本的なことを言ってしまえば「家というものは買った時が最高の値段で、そこからは順々に下がっていくものだ」。経年変化っていうものもあるし、それを超えて値段が上がるっていうのは、それこそ土地の値段がバブルみたいに高騰しなければありえない、って考えれば値段が下がってしまうっていうことはやむを得ないことなんだ。

『「うちのマンション、ちょっと前まで含み損だったのが、ここ最近は含み益が出ているみたいなので、売るなら今かなと考えているんですよ」
 東京都の湾岸部にあるタワーマンションに住み、都内で働く40代半ばの会社員は最近、自宅マンションの資産価値が気になって仕方がないという』

 っていうんだけれども、じゃあ、そこを売ってどこに移るのよってのが、しかし、肝心なんだなあ。移った先のマンションや一戸建ての資産が目減りしたんじゃ意味ないじゃん。だったら、自分が住んでいるマンションの資産価値が上がったことだけを喜んでいればいいのであって、だからといってそこを売ることばかり考えていてもあまり意味はないのではないだろうか。

 その他、Part 2「中古マンション エリア密着レポート」では「中古マンション 首都圏・関西エリアルポ」として「品川・港南・芝浦 特徴的な物件が多い港南 芝浦も品川寄りの物件が有利」「勝どき・晴海・月島・豊洲 東京五輪の開催決定で急上昇 不安材料は選手村の供給後」「有明・東雲・台場 開発見込める有明で価格高騰 東雲は不便さ否めず伸び悩み」「武蔵小杉&神奈川県 武蔵小杉の上昇基調は不動 横浜、川崎も騰落率50%超続々」「千葉県 都心に近い本八幡が大幅上昇 常磐線沿線は駅近くでも停滞」「埼玉県 浦和駅の二大タワマン市場 大型物件の登場で激変か」「関西 大阪市内にタワマンが林立 京都は沸騰、兵庫は安定的」

 などがあるんだが、私にとってはなんでタワーマンションがいいのか、どこがいいのかよくわからない。

 同じマンションでもやはり100戸を超えてしまうと、どんな人が住んでいるのかが分からなくなってしまうし、そうなると管理組合も運営が大変になってしまい、結局そうなると管理会社のプロや一部管理組合のボスに管理を委ねることになってしまう。そんな大規模マンションよりは居住者の顔が見える中小規模のマンションの方が住みやすいし、安心して管理組合なんかも運営できる。

 結局、タワーマンションって最後どうにも管理ができなくなってしまい、スラム化してしまうんではないだろうか。スラム化してしまったマンションって、実は今、池袋辺りに沢山あるんだけれども、ああにだけはなりたくない。

 というと中小規模の顔が見えるマンションの方がいいと思うんだけれどもなあ。

『週刊 ダイヤモンド 2017年2月4日号/ダイヤモンド社/2017年1月30日刊)

2017年1月30日 (月)

「出版不況」って何なんだろう

『創 2017年2月号』は毎年恒例の「出版社の徹底研究」だ。

Photo 『創 2017年2月号』(創出版/2017年1月7日刊)

 特集は「出版ニュース」編集長の清田義昭氏、筑摩書房顧問の松田哲夫氏、『創』編集長の篠田博之氏による鼎談『書店・取次の倒産相次ぐ 深刻不況・出版界の危機』なんだが、なんかちょっと他人事みたいな感じだ。

篠田 その流れ言うと、この正月には書店店頭を活性化させようとして、従来は休みだった流通を動かしてたくさんの雑誌を増刊別冊として売ることになっています。日本雑誌協会が音頭をとって、大手出版社の販売担当は相当盛り上がっているようです。正月に雑誌の新しいものが全く市場にないのは何とかなからいかと2~3年前から言われて、2016年の正月は幾つかの週刊誌がセブンイレブンで特別号を出したのですが、それが17年はかなりの規模で行われることになった。
 これも雑誌の落ち込みを何とかしたいという業界の危機感の現れですね、雑誌市場の落ち込みはこの何年か深刻で、出版界全体の大きな問題になっています。何しろ10年ほど前と比べると市場規模が半減していますからね。
松田 確かに雑誌が全体ではものすごい落ち込みなわけだけれども、例えば『週刊文春』のようにスクープを連発させると部数も伸びる。スクープで勝負する週刊誌が少なくなった分、情報を独り占めできるというメリットもある。『週刊文春』がやっぱりすごいと思うのは、取材をきっちりやっているでしょう。スキャンダル・ジャーナリズムとしてはある意味本気でやっている。いま『週刊文春』は一強ですよ』

 というのはわかるんだが

清田 雑誌部数の公査機関であるABC協会は、年に2回、雑誌の平均実売部数を発表していますが、1~2年前から電子版の部数と、最近は「読み放題」サービスで読まれた数も出しているんです。それを見ると、紙の雑誌よりも読まれているものもあるんですよね。例えば『SPA!』は紙の雑誌の実売が5万6000なのに、読み放題では12万ですよ。
 だから、ある書店の人が言っていましたけど、dマガジンというのは麻薬なんですって。今は伸びているし、記事を提供している側も喜んでいるが、長期的に見れば紙媒体が影響を受ける。気がついた時にはどうしようもなくなっている。
松田 みんながスマホで雑誌記事を読むようになると、紙の雑誌が売れなくなると心配する人もいるし、逆にウェブで面白い記事を見て、紙の雑誌を買ってくれる人もいるという可能性もないではない』

 というのを読んでみると、なんか筑摩書房の顧問という現役を退いた人の方が、状況をよく見ているような気がする。つまり、今は電子出版に積極的に取り組む時期であり、電子出版の波に乗り遅れた出版社は、いずれなくなる出版社だということ。

 その他の特集は『巨艦・講談社が試みる紙と電子の様々な模索』『書籍好調、小学館の組織改編と新たな船出』『「コミック王国」集英社の雑誌をめぐる新たな試み』『新潮社が取り組む新潮文庫の抜本的見直し』『『週刊文春』健闘、文藝春秋の次なる課題』『「雑誌王国」健在! マガジンハウスの今後』『光文社の経営支える女性誌が迎えたの転機』の6本。

 ところで、この6社のうち『巨艦・講談社が試みる紙と電子の様々な模索』と書かれた講談社が、多分一番「本の電子化」について積極的だろう。昨年あたりから「紙と電子書籍雑誌のサイマル化」というものを実現しつつある。

『吉村浩販売局局次長兼デジタル第一営業部長に話を聞いた。
 講談社ではコミックだけでなく全ての雑誌を紙と同時に電子でもサイマル(同時)配信するという方針を掲げている。
「全雑誌をサイマル配信していると言ってよいと思います。読者の選択肢を増やすという考え方で可能な限り対応しようということですね。
『クーリエ・ジャポン』のように、紙の雑誌をやめて電子だけにしたものもあります。2月から始めたものでまだ黒字化には至っていませんが、計画通り会員数も増えています。月額980円で課金し、情報は毎日更新していきます。こいうビジネスが成立するのも紙の雑誌を出してきて培った信頼性があるからだと思います。
 紙の雑誌もそえぞれウェブサイトを持っており、『フライデーデジタル』や『週刊現代オンライン』のように課金しているものもあります。
『週刊現代』などの情報はそのほか『現代ビジネス』というニュースサイトでも配信しています。こちらは無料のサイトで、広告モデルですね。オリジナルな情報もたくさん出していますが、文字量が多いわりにアクセスが多いことで知られています。コストを抑えて運営していることもあって、既に利益も出しています。
 デジタルのみの配信を行っているのは40代女性向けの『ミモレ』もあります。コアなファンがついており、アンケートを実施すると1000人くらい答えてくれています。40代女性は可処分所得も高いし、広告収入モデルで十分やっていけると見込んでいます。
 デジタルコミックは好調で、11月は対前年比で175%という高い数字をあげています。電子の実の配信を行っているものもあり、例えば6月に立ち上げた『ハニーミルク』はライトBLと呼ばれるジャンルのコミック誌です。デジタルだけのものは他にも『姉フレンド』とかいろいろあります。刺激的な女性向けのコミックは電子が伸びると言われますが、特にBLのようなものは電子がよく売れますね。『ヤングマガジン』が運営している『eヤンマガ』なども男性だけでなく女性もよく見てくれています。
 電子の場合、ひとつの作品がヒットすると、同じ作者の過去作もすぐに見られていくという特徴があります。例えば『eヤンマガ』で人気に火がつき紙のコミックスも売れている『食糧人類』という作品から、『アポカリプスの砦』という作品につながって読まれるようになりました』

 この『ひとつの作品がヒットすると、同じ作者の過去作もすぐに見られていく』という特徴こそは電子出版ならではの「ロングテール」現象なんだろう。

 その結果なんだが、11月決算の講談社の場合、昨年度は増収総益で、今年の1月には全従業員に30,000円の一時金が出たそうだ。まあ、30,000円が多いのか少ないのかは別として、昨年は特別なミリオンセラーが出たわけでもないし、特別な大ヒット雑誌があったわけでもない講談社が増収増益決算というのは、やはり電子の貢献が多いのだろう。その電子なんだが講談社の場合、売り上げが155億円あったそうだ。つまり総売り上げの10%ほどが電子出版なんだから、やはり早めに電子出版に取り組んでいたのが功を奏したということが言えるんではないか。

 講談社は2月末には株主総会があるので、そこでどんな発表があるのかが気になる。その時は、またご報告をします。

 多分、講談社同様積極的に電子出版に取り組んでいるKADOKAWAあたりも同じような結果になっているのではないだろうか。

 つまり、電子出版に取り組んでいない会社ほど「出版不況」なんて使い古された言葉を使いたがっている、っていうことなんだなあ。

『創 2017年2月号』(創出版/2017年1月7日刊)

2016年8月18日 (木)

SPA『低所得(40代で年収300万円台)時代』なんだが……

『SPA』8月16日・8月23日合併号の特集が『「低所得(40代で年収300万円台)時代」の実態』というもの。

Spa 『SPA』8月16日・8月23日合併号(扶桑社/2016年8月9日刊)

 特集の中身を見て行こう。

『40代年収300万円台のサラリーマン200人に聞いた、あなたが低所得だと思う理由ランキング』というのがある。

①出世や昇給するほどのスキルがないから  98人
②転職回数が多く、条件が悪くなるから      65人
③会社の業績不振のせいだと思う         63人
④年齢に見合う仕事のスキルがないから     53人
⑤誰でもできるレベルの仕事をしているから    49人
⑥一度、非正規になってしまったから        40人
⑦責任ある仕事をやりたくないから         33人
⑧学歴がないから                    27人
⑨体の具合がよくないから               17人
⑩そもそもあまり働きたくないから          15人

 というものなんだが、⑦や⑩は問題外として、「スキルがない」とか「誰にでもできるレベル」の仕事しかしていない、というのは本人の責任なのか、会社の責任なのかがよくわからない。会社がそういうスキルをつけるチャンスや責任ある立場での仕事を与えてこなかったのか、あるいはそんなチャンスはあったのだけれども、本人にやる気がなかったか、あるいは見落としてしまったのか、その理由次第では「お話にならない」のかどうなのかがわからない。

 実態を見て行こう。

『旅行会社勤務の田中勝さん(仮名・41歳・独身)は年収350万円、会社の急な業績悪化で年収が100万円ダウン! ローンに縛られ低所得者生活に』

『大手スーパーマーケット職員の畑中浩二さん(仮名・39歳・既婚)は年収390万円、会社合併で出世が白紙。以後も昇進のチャンスがなく、低収入のまま横ばい!』

『飯野政史さん(仮名・49歳・既婚)は大手物流会社で12年(年収600万円)、食品業界で9年(年収500万円)と、これまではそれなりの所得を得てきた。しかし、最初の会社は同期との出世レースに敗れ、居心地の悪さから自主退社。次に勤めた会社ではリストラに遭い、3年前に物流関連企業に転職した。ここは正社員ですらなく、嘱託社員という扱いで年収は300万円にまでダウン』

『山本辰夫さん(仮名・45歳・既婚)は現在までに6回転職をした。現在の会社では一度昇進し、月5万円給与がアップしたものの、その後業績悪化でボーナスはカットされ、昇給前の低所得のままだ(年収380万円)。今の会社は外食産業だが、それまでに勤務した会社は建築事務員、夜勤汎用機オペレーター、雑用庶務など一貫性のない職歴』

『食品工場でアルバイトとして働く伊藤隆行さん(仮名・42歳・独身)は、大学時代’90年代末の就職氷河期と重なり就活に失敗。以後18年間一度も正社員になれず、年収234万円』

『正規雇用といっても社会保険にすら加入していないコンビニ店長の林寛貴さん(仮名・39歳・独身)は、大学時代、留年を重ねたこともあって卒業後はフリーター生活を続けていましたが、4年前にバイト先のコンビニのオーナーに『店長をしないか?』と言われ、その話に乗ったんです。とはいえ、フランチャイズ店の雇われ店長なので福利厚生は何もないし、正社員は名ばかりで実際には世間の派遣社員や契約社員以下の待遇です。で、年収234万円』

『東京大学を卒業した健康食品メーカー営業の安村英治さん(仮名・40歳・独身)は、就職氷河期でも自己分析もろくにせず、派手な業界にただあこがれてマスコミや広告代理店ばかり受けていた。全滅してもブランド力で大手商社に入社できたのですが、『俺はこんなもんじゃない』と思い続けていて入社3年目でおよそ680万もの年収を捨て、IT企業やイベントの運営会社、食品メーカーなど業種を問わず転々と“自分探し”の旅が始まった。プライドが邪魔して、一つの会社で踏ん張ることができなかった。1~2年で転職を繰り返し続け現在の残業代も出なくて一日18時間労働も当たり前のブラック企業で年収310万円』

 最初の二人、田中さんと畑中さんは新卒から正社員で勤め続けても低所得のままの人。二番目の飯野さんと山本さんは1社目でつまづき、転職するたびに悪条件になる人なんだが、結局二人に共通するのは転職に一貫性がないということ。これじゃあスキルは身につかないなあ。三番目の伊藤さんと林さんのケースはちょっと悲惨。就職氷河期に当たってしまったのは不運としか言いようがないが、しかし、そこで頑張ってなんとか正社員を引き当てた人もいたんだから、単なる不運とばかりは言えないのかもしれない。

 高学歴プアの安村さんのケースは、もはや自分が悪いんでしょとしか言いようがないなあ。

 まあ、40代っていうのは人生の分かれ道で、出世レースの結果が出始めるのが40代だし、その一方体力的な衰えも出始めるのが40代だ。二徹・三徹も辞さないで働くことができた30代に比べると、もうそんな体力は残されていないし、仮に二徹・三徹なんかができても、その後の体力の回復には時間がかかるかかる。そんな状態になるとやはり管理職になることを望み始める。

 一方、やはり40代で独身ということになるとちょっと焦りますね。周囲はほとんど結婚しているし、こちらもやはり体力(性力?)が気になるし、子どもができてもその成長に合わせて体力が必要になってくる。

 まあ、いろいろな意味で岐路に立たされるのが40代だ。

 かといって、皆が皆出世できるわけではないし、結局は自分の体力に合わせて仕事をするしかない。ということは、そこで収入も頭打ちということになるわけで、低所得でもそれなりに楽しむ方法を考えなければならないということになるんだろう。

 NPO法人ほっとプラス代表理事のソーシャルワーカー藤田孝典氏は言う。

『今の社会構造や雇用形態が変わらない限り、40代が年収アップを見込むのは難しい。むしろ、今後は『40代で年収300万円もあるならまだ幸せだ』と言われるような社会に向かう可能性が高いですね』

 ふ~む、なるほどなあ。

『SPA』8月16日・8月23日合併号(扶桑社/2016年8月9日刊)

2016年6月18日 (土)

『ツール・ド・フランス2016公式プログラム』がやってきた

 Amazonに注文していた『ツール・ド・フランス2016公式プログラム』が昨日やってきた。"OFFICIAL PROGRAM"じゃなくて"PROGRAMME OFFICIEL"ってところがいかにも“おフランス”ってかんじだけれども。

 そうか、7月2日の「モン-サン・ミッシェル~サント-マリー・デュ・モン」から、いよいよ今年のツールが始まるんだな。今年はプロローグはなしってことですね。

Dscf76142 『PROGRAMME OFFICIEL 2016 ツール・ド・フランス2016公式プログラム』(八重洲出版/2016年6月16日刊)

 砂田弓弦氏がやっている「CICLISSIMO」の特別編集になる本書の特別付録は「特大ルートマップ 全21ステージ 順位記入欄/高低図入り」っていうやつ。A全版くらいの大きさのそれは、フランス全土の地図って感じで、ツール・ド・フランスを追いかけるだけでなくても、フランス旅行の時にも使えそうな感じだ。

Dscf76122

 全チーム紹介はあのベルナール・イノー。出場22チームの紹介から、全21ステージの詳細、行程、ツールの周辺の話やレトロ・ツールという昔話などなど。

 一番気になるのは「選手たち」という記事で、2015年総合優勝のクリストファー・フルーム(チーム・スカイ/ケニヤ)と、それに対抗して今年活躍を期待されている、アルベルト・コンタドール(ティンコフ/スペイン)、ナイロ・キンタナ(モヴィスター/コロンビア)、ファビオ・アール(アスタナ/イタリア)の特集記事をしょっぱなに、「5つ目のマイヨ・ベール獲得に向けて/ペテル・サガン」「一団となって争う/スプリントはチャンピオンを待っている」「有力選手/フルーム、2つの岸に架かる橋」「チーム ジャイアント・アルペシン/白黒ジャージ選手たちは確かに始まろうとしている」「高所の一騎打ち/ピノー・バルデ かけ離れているが、ごく近い」「次に続くフランス人/アルチュール・ビショ アタックの精髄」「大西洋横断/ピエール・ローラン アメリカン・ドリーム」「フランス人の評価/国を挙げてのお祭り!」と並んで「新城幸也/大腿骨骨折から“完全復帰”」という記事があること。

Dscf76152

 まあ、日本のムックなので新城の記事があるのは当然と言っちゃあ当然なんだが、でも凄いよね、2月12日のツアー・オブ・カタール最終日に落車して左大腿骨骨折をして、6時間の大手術を行ったのち、2月19日には帰国し、3月7日にはエアロバイクで疑似自転車のクランクを回し始めて、4月19日にはロードトレーニングを開始、5月29日からのツアー・オブ・ジャパンにはレース復帰、6月5日の伊豆修善寺ステージでは優勝しちゃったんだもんなあ。まあ、その様子は次の日の最終東京ステージで見せてもらいましたがね。

 その新城選手、今年から新参加のランプレ・メリダのツール参加予定選手候補の12名には名前が残っているそうだ。最終的には9名が参加することになるツール・ド・フランスに出場する可能性はまだまだ残っているっていうことなのである。

 まあ、我々日本人としては、やっぱり新城選手にはツール・ド・フランスでも活躍してほしいし、そろそれステージ優勝も欲しいなあというところではある。まあ、新城選手の脚質としてはパンチャーなので、平坦ステージで早めの逃げに乗って、そのまま逃げ切るっていう感じなのだろう。

 だとすると7月2日から5日までの4ステージが勝負かな。

 う~ん、また眠れない7月の夜がやってきそうだ。

 楽しみだなあ。

『PROGRAMME OFFICIEL 2016 ツール・ド・フランス2016公式プログラム』(八重洲出版/2016年6月16日刊)

2016年5月24日 (火)

『紙と電子を融合した出版事業を』って、最早当たり前なんだけれどもね

「出版会唯一の専門紙」である『新文化』5月19日の一面トップは『紙と電子を融合した出版事業を』という記事。

Img0012 『新文化 2016年5月19日号』(新文化通信社)

 まあ、電子書籍の大手取次会社「出版デジタル機構」社長の新名社長の寄稿なんだから、まあ、言うことは当たり前っちゃあ当たり前なんだけれどもね。でも、それは事実なんだから仕方がない。

『コミック分野の明確な電子シフトである。電子コミックのシェアは紙版の5割に迫る勢いで、雑誌を含めて下がり続けていたコミック全体の売上を2年前から増加に転じさせた』というのだから、まあ、この分野らしい明確な電子シフトではある。もっとも、コミック分野の電子化というのは、そのほとんどがスマートフォン利用で読まれていて、あまり電子書籍リーダーというものでは読まれていないようだ。まあ、その辺がコミックらしいっちゃらしいんだが。

 一方、コミック以外の一般書の分野ではそれほどの勢いはなく、基本的に下降曲線は変わらないようだ。

 まず『あるアンケートによると、書籍を読むのに最適の手段として紙書籍をあげた日本人は74%にも上がったそうだ。これはアメリカ人の51%やイタリア人の54%よりもはるかに高い数字である』という状況がある。日本人はそんなに「紙フェチ」なのかというと、そうではなく単に「本を読む人」が全体的に減ってきているということなのだ。つまり、日本人全体的には本を読む人が減ってきているのだが、まだ本を読んでいる人たちは、いまだに紙版の本を読んでいるってことなのだなあ。

 読者の数が減って、書店の数も減って、取次の数も減って、という状況の中で出版社はどうすればいいのか。要は書籍の電子化をもっともっと推し進めるしかないのである。

『電子書籍を発売すると紙書籍も売れ始める。あるいは電子書籍でキャンペーンを仕かけると、紙書籍も売行きが伸びる。こうした事例がちょくちょく出始めている。この現象は日本以上に大きな電子書籍市場が成立しているアメリカでもよく知られている。
 さらに電子コミックの事例がある。ここ数年、電子コミックは急激に市場を伸ばし、無料連載、定額読み放題など、紙版コミックにとっては脅威と思えるサービスが次々と登場してきた。にもかかわらず、2013年以降、紙版コミックの単行本の売上は減少していない。それどころか微増しているのである』

 問題は、販促方法なんだなあ。

『いまや日本でも一般読者にとって最大の情報収集先はネットである。出版社が紙書籍に関する充分なデジタル情報を提供できていない日本では、電子書籍そのものがウェブの情報となり、ひいては紙書籍の売上に影響しているのだ』

 つまり、こうした状況から日本の出版社がとるべき戦略が見えてくるじゃないか。

『出版社にとって、もはや紙書籍と電子書籍を二項対立として考える時代は終わった。出版社が利益を最大化し、著者に還元し、将来も事業を継続するためには、可能な限り紙版と電子版の両方を刊行すべきだと考える。出版社出身の私の経験では、電子書籍の割合が多くなるほど出版物の利益率が改善されるという事実も無視できない。
 出版社はこれまでの本造りと同様、作品の特性や想定する読者に応じて紙版と電子版の出版形態を検討し、同時に刊行するのか、どちらか一方を先行するのか、順番も自由に検討すればよい。
 ただし、権利処理とデータファイルの制作は紙版と電子版を同時に行うことがコストの観点から最も望ましい。また、アメリカの出版社のように紙書籍と電子書籍を一体化した原価計算、売上管理も考えるべきだ』

 当然である。ある媒体でのキャンペーンは当然ほかの媒体にも実質的に影響をあたえるものなのだから、電子書籍でキャンペーンを仕かけると紙書籍も売り上げが伸びるのは当然であろう。

 もはや、「紙→電子」という流れは抑えることはできないのだから、むしろその流れに乗って、出版社は積極的に電子化を推し進めるべきなのだ。

 読書ブログを書いている私も今年に入ってからは、写真集などを除けば、読んでいる本のほとんどは電子版(というかKindle版)になってしまった。という位、電子書籍の存在は「ごく当たり前」になってきているのだ。この期に及んでいまだに紙版しか出さない出版社は、もは旧守派としか言いようのないものだし、旧守派というものは歴史から消え去るしかないものなのだ。

 もはや自らの出版物の電子化ができない出版社は歴史から消え去るしかないのかもしれない。あるいは書籍の電子化で優先する大手出版社の傘下に入るしかないのかも。

『このような歴史の転換点に誕生した出版デジタル機構は、出版社のよきパートナーになりたいと考えている。今後は単なる電子書籍の取次会社にとどまらない。紙でも電子でも、出版物の制作から販売までを広くサポートしていきたい。
 まずはアメリカBIG5を含む出版社320社が利用し、成功を収めているウェブ上の画期的な販促サービス「NetGallery」を日本に導入する予定。さらに紙・電子書籍などマルチ展開に対応した編集制作システムの提供もスタート予定だ。出版デジタル機構は、ウェブやデジタルの技術を活用した「パブリッシャーズ・サービス・カンパニー」として、大きな変革に立ち向かう出版社とともに、新時代の出版ビジネスに挑戦しようと考えている』

 というのだから、この際、出版デジタル機構をおおいに使い倒して、新しい形の出版社がどんどん出てきてほしいものだ。

 勿論その「新しい出版社」っていうもののなかに、著者自身が出版社になってしまう「セルフ出版社」や作家エージェント会社が紙版の権利は既存の紙版出版社に売るが、電子版の出版権は自ら持って、直接電子出版市場で販売し、著者に多くの印税を払う、なんて形で著者に還元しようという会社が出てきてもおかしくない。

 まあ、出版社、出版産業というものが大きく変化をしようという時代なんだってことを感じ取ってもらえばいいということなんでしょう。

 勿論「紙フェチ」の人はまだまだ残るでしょうが、まあいずれは消えゆく運命。出版社としてはそんな「消えゆく運命」に自らの会社の運命を託すわけにはいかないだろうから、どうしたって自らの販売する書籍の電子化には前向きにならないわけにはいかないだろう。

 コスト的にも書籍の電子化っていうのはおおいにプラスに働くわけなので、あとは「どうやれば電子書籍ってつくれるの?」っていうのがわからない出版社に、「電子書籍はこんなに簡単に作れるんですよ」ってのを教える会社が必要だってわけか。

 で、そのために出版デジタル機構が作られたってわけですね。

 ね。だから自ら電子化なんてことを考えていない(考えられない)零細出版社は、そこをいかに使い倒すかってことですね。

 頑張れ、日本の出版社!

 その辺に、私の年金も関わってくるのだ(といっても私の年金はK談社の企業年金だから、他の会社は関係ないけれどもね)。

 ということで、今日の〆にしよう。

 

2016年5月 1日 (日)

『7兆円でできる子どもの教育費、医療費全額無料』って、え? その程度でできちゃうの?

 書籍ではないが『週刊朝日』2016年5月6-13日合併号に面白い記事が載っていたので、ご紹介。

『選挙対策の〝バラマキ最大10兆円〟の使い道 安倍首相へ専門家と本誌が7つの逆提案』というのがどの記事。

Photo 『週刊朝日2016年5月6-13日合併号/朝日新聞出版)

「7つの逆提案」とは「(京大柴田氏「マツコ案」)7兆円でできる子どもの教育、医療費全額無料」「(脱原発)廃炉加速、分散型再エネ社会に」「(インフラ)全電柱を地中化せよ」「(防災)「直下型」リスク都市、水道管を耐震強化」「(空き家)隠れ貧困対策。待機児童解消施設に」「(訪日客)「おもてなし語学給付金」を」「(健康)端末活用で医療費削減」という7つ。

 私が興味をもったのは一番最初の「(京大柴田氏「マツコ案」)7兆円でできる子どもの教育、医療費全額無料」という記事。

 きっかけはコラムニストのマツコ・デラックスが「子どもにかかるお金は大丈夫だよって、ちゃんと国が責任もって(略)育ててあげますよ、という制度がないと、安心できない」と2月にテレビで発言したそうだが、実はマツコさんの発言を受けて、実際に無料化したらどうなるかを試算した人がいるのだ。

 それが京都大学大学院人間・環境学研究科の柴田悠・准教授。柴田氏の試算ではさらに踏み込み、保育から大学まで(0~22歳)の保育・教育費と医療費を無償化した場合の費用を検討した。

 柴田氏はこう発言したそうだ。

『実は子ども1当たりにかける子育て支援額(対1人当たりGDP比)は先進諸国で比べても日本はずっと低い。『家計任せ』だったということです。半面、高齢者福祉は先進国並みで大幅に改善しました。これは『票』かもしれません。少子化に苦しんだ西欧諸国を参考にすると、子育て支援は経済的にも奏功している。中でも『日本死ね』で話題の保育サービスの強化は波及効果がおおきい』

『とくに参考になるのはフランスだ。柴田氏によると、出生率に異変が起きたのはフランス革命(1789年)以降、避妊や出産制限の動きもあり、出生率が低下し始めたという。
「児童手当と税制優遇から始まり、少子化対策には100年以上取り組んでいます。その効果が顕著に出たのは1990年代。保育サービスを充実させた直後に出生率が回復しました」(柴田氏)

 一方で、日本の子ども1人当たりの子育て支援額(対1人当たりGDP比)は今も先進国平均の約半分というのが現実だ。
「日本で少子化が始まったのは第2次世界大戦後で、歴史が浅い。さらに霞が関や政治家の『第2次ベビーブームがあったから、次もある』という想定の甘さがあった。近年の公共事業の乗数効果(政府支出が国内総生産を増やす効果)は1.1倍とされていますが、子育て支援は約2.8倍。より大きな効果が期待できます」(同)』

 ではそのための費用は?

『保育サービスにはどのくらいの財政負担が必要か。34万円分(両親が非正規雇用の場合の年間保育費用に相当)の保育クーポンを、すべての子どもに配布すると想定。ここから無償化するのに必要なお金は約2.1兆円という。

 さらに潜在的待機児童計約80万人(想定)を解消するために、民間認可保育所の保育士の年収(約320万円)を全産業平均(約490万円)までアップさせて増員し、園も新設。これには計約1.5兆円が必要だ。保育関連の無償化はすべてあわせると約3.6兆円で可能という計算。さらに副次的な効果もある。
「保育クーポンは認可だけでなく認可外、ベビーシッターにも使えるようにすれば、新たな幼児向けサービスや雇用を創出する可能性も出てくる」(同)

 大学卒業までのすべての教育費(公立相当分)を無償化した場合はどうか。あくまで進学率は現状のままを前提にするが、財政負担額はそれぞれ小学校が約0.7兆円、中学校約0.6兆円、高校約0.9兆円、大学約1.6兆円。

「揺りかごから墓場まで」とまではいかないが、保育から大学まで無償化すると計約7.3兆円。この期間の医療費を含めても0.5兆円増の計7.8兆円でやれる。問題は財源だが、注目すべきは相続税だ。

 日本総研の立岡健二郎研究員のレポートによると、国内で相続される資産の年間推定額は37兆円~62.9兆円。この推計をもとに柴田氏は、基礎控除額(現行3千万円と相続人1人につき600万円)を配偶者1千万円、子ども1人につき100万円にまで下げて一律20%課税とすることで3.9兆円~9.0兆円の財源確保が可能とみる。さらに配偶者控除などの被扶養配偶者優遇制度を年収800万円以下の世帯に限ることによっても約1.1兆円を捻出できるという』

 教育機関のほとんどが公立か国立というヨーロッパ諸国と日本では単純な比較はできないが、北欧諸国などは大学まですべて無償化している。国家予算の比較では日本の方がよっぽど大きいので、日本で大学まで無償化することも可能なのじゃないだろうか。

 まあ、問題は小中学生には選挙権がないので、そんなことをしても票には結びつかないというのが一番の理由なんだろうけれども、それじゃあ親の票にも結びつかないということになってしまい、結局、損をするのは政治家なんだってことに気づくべきなんだよね。

 年寄だってもうすぐ死んでしまうんだから、今のうちにもうちょっと若い世代のことを考えて政策を進めていかないと、いずれは先細りになっちゃうのになあ。

 ああそうか、そんな政治家だってもうすぐ死んじゃうんだから、せめて生きている間だけ選挙に当選すればいいってか?

 少子化とかなんて、自分が政治家をやっているうちには解決しないんだから、そんなこと知るか、ってのが今の自民党の考え方なんだろうな。

『週刊朝日2016年5月6-13日合併号/朝日新聞出版)

2016年2月13日 (土)

『下流老人のウソ』に気づかないフリをしているのは誰だろう

『Wedge』2月号のカバーストーリーは『「下流老人」のウソ』というもの。

 内容は

○高齢者の貧困は改善 下流老人ブームで歪む政策
○アベノミクスを阻む「年金制度の壁」は一刻も早く撤廃すべき
○シニアの消費喚起の抜本策は最低保障年金と相続増税
○シニアの強みを引き出せ! 70歳代活かす企業は「仕組みを変える」
○改善するシニアの労働市場 人気の事務職は狭き門
○働くことこそ老いを遠ざける 若さ保つシニアの三者三様

 という記事で構成されている。

 取り敢えず本ブログでは最初の「高齢者の貧困は改善 下流老人ブームで歪む政策」について述べる。

Photo 『Wedge』(熊野英生・林えり子・Wedge編集部/株式会社ウェッジ/2016年1月27日刊)

「下流老人」という言葉の火付け役は2014年9月のNHKスペシャル『老人漂流社会」であり、それを書籍化した『老後破産』(新潮社2015年7月刊)だと思う。昨年6月刊行の朝日新書『下流老人』(藤田孝典著)は20万部突破のベストセラーになったし、その後も「老後リスク」の本は続出した。その後の、雑誌や新聞などの「老後」記事もすべて同じ論調で語られることが多い。

 しかし、実際には高齢者の貧困率は改善されているというのだ。

Photo_2

『貧困とは相対的な概念であり、経年変化、世帯間、対諸外国など何らかの比較を持って表現する必要があるのだが、老後リスクを扱う書籍や記事の特徴は絶対値ばかりが出てくること。そして、もうひとつの特徴は「○○さん(×歳)はこうして転落した……」とミクロの事象を積み重ねることだ。
 もちろん、現場を歩き一つ一つの事象を拾うという、足で稼ぐ取材活動は敬意に値するものだ。しかし、政策変更などの社会の変革を訴えるならば、ミクロの発掘とマクロの分析の往復が欠かせない。ミクロをいくら積み上げても全体感を見失うと「木を見て森を見ず」になってしまう』

 とWedgeは指摘する。

 Wedgeではないが、こんな記事もある。

『(収入ではなく)資産のほうで数字を挙げてみますともっと、リッチな人の数は多いです。野村総合研究所推計によれば2013年の純金融資産((預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命・年金保険など)の保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、および同5億円以上の「超富裕層」を合わせると、2013年時点で100.7万世帯でした。内訳は、富裕層が95.3万世帯、超富裕層が5.4万世帯です。
 また、同5,000万円以上1億円未満の「準富裕層」に至っては、315.2万世帯です。別の推計では、ボストンコンサルティンググループの「グローバルウェルス・レポート」の2015年版によれば、資産100万ドル以上の富裕層人口は112.5万人です。2015年8月段階での生活保護世帯数は厚生労働省の「生活保護の被保護者調査」によれば、162.8万世帯ですから、準富裕層まで含めた世帯数は実は生活保護世帯数より多いです。
 今年、話題になった『下流老人』という書籍には、「1億総老後崩壊」「1億総下流の時代がやってくる」とセンセーショナルな文字が躍っていますが、その内容を見てみると中間所得層が減って富裕層と貧困層に分離していくという、ごく当たり前の結論に至っています。あたかも日本人全員が下流になるといった内容は実態を全く無視した暴言ともいえるものです。「日本には生活保護世帯の2.5倍の準富裕層・富裕層・超富裕層の世帯がある」これが事実です』

 まあ、確かに中間所得層が減ってきて、富裕層と貧困層に分かれていくという、格差の拡大という問題はあるにしても、「一億総老後崩壊」とか「一億総下流」なんてことにはならないようである。

 むしろ問題は現役世代の階層の固定化や、貧困の連鎖の元とも言われている相続税の低さというか、控除率の高さの問題があるかもしれない。この後の明治大学政治経済学部の準教授・飯田泰之氏の言うような「シニアの消費喚起の抜本策は最低保障年金と相続増税」の方がより具体的な策かも知れない。

 確かに富裕層の資産の下流層への移動、というのは富裕層からの反発は相当受けるだろう。富裕層にしたって、親から行け継いだ資産よりは自分の代で稼いだ資産が多いはずだ。まあ、それが一番大きな問題なんだろう。

 その辺が一番分かっていないのが、自民党の二世代・三世代代議士なんだよなあ(というか、自民党の代議士は殆どが二世・三世代議士だ)。つまり彼らは親の財産で食っている連中だもんなあ。こりゃあ、ダメか。

『Wedge』(熊野英生・林えり子・Wedge編集部/株式会社ウェッジ/2016年1月27日刊)

2015年7月16日 (木)

『改造』の時代、改造社書店の時代

 昔『改造』という雑誌があった。

 結構、漸進的というか過激な雑誌だったようだ。

2

『第一次世界大戦後の1919年(大正8年)、山本実彦が社長を務める改造社から刊行された。主に労働問題、社会問題の記事で売れ行きを伸ばした。当時はロシア革命が起こり、日本の知識人も社会問題や社会主義的な思想に関心を寄せるようになった時期であり、初期アナキストの佐藤春夫、キリスト教社会主義者の賀川豊彦、マルクス主義者の河上肇、山川均などの論文を掲載した。小説では幸田露伴『運命』、谷崎潤一郎『卍』、志賀直哉『暗夜行路』の連載などがある。また改造誌上にて当代を代表する谷崎潤一郎と芥川龍之介の文豪同士の「小説の筋の芸術性」をめぐる文学的論争が繰り広げられ文壇問わず注目される展開となった。先行する総合雑誌として『中央公論』があったが、より知に対して急進的な路線を掲げ、文学面でも単なる文芸誌以上の内容の重厚さを見せる『改造』が支持されることになり、より売上を伸ばす結果となった。
 第二次世界大戦中の1942年(昭和17年)、掲載した論文が共産主義的であるとして弾圧を受け(横浜事件)、1944年(昭和19年)に廃刊となる。第二次世界大戦後の1946年(昭和21年)に復刊するが、経営は思わしくなく52年山本の死去により急速に衰え、労働争議の末1955年(昭和30年)に廃刊』(Wikipediaより)

 また『改造社は、1927年(昭和2年)、世間を一世風靡した「円本」の先駆けとなった『現代日本文学全集』全63巻を刊行し、それまで経済的に困窮していた作家たちの生活は、それによって大いに潤うこととなった』(同じくWikipediaより)とあるが、円本とは一冊一円で買えた全集類の総称で、当時の日本庶民の読書欲を育て、日本の出版社の力を整え、作家たちをうるおした。

 1923年(大正12年)の関東大震災の影響で倒産寸前だった改造社の社長山本実彦が、一冊一円、薄利多売、全巻予約制、月一冊配本の『日本文学全集』の刊行に社運を賭け、自己資金も持たぬ自転車操業的企画だったのだが、期待をはるかに上回る23万の応募者の予約金23万円が出版資金となり、改造社は見事復活したのだった。

「円本」という呼び方は当時、東京と大阪の域内すべて一円で運航していたタクシー「円タク」から派生したものらしい。しかし、当時は一冊一円とはいっても、けっして「安い本」という訳ではない、がそれでも当時は「安く知識が得られる」という風にとらえられていたのだから、当時の「普通の本」が如何に高かったのかということがわかる。

 当時、新しい働き方をしていた「サラリーマン」向けに「円本」を出したという訳。当時のサラリーマンの給与からすると一円は月給の2%位らしいから、現代なら4000円から6000円位になる訳で、現代の状況から考えると、決して「安い」という訳ではなかったのだが、それでも当時の本の値段からすれば安かったということなんだろう。

 その後、「円本」は大ブームとなり、改造社の『現代日本文学全集』の後、『世界文学全集』全57巻(新潮社)、『世界大思想全集』全126巻(春秋社)、『明治大正文学全集』全60巻(春陽堂)、『日本戯曲全集』全50巻(春陽堂)、『現代大衆文学全集』全40巻(平凡社)、『世界美術全集』全36巻(平凡社)、『新興文学全集』全24巻(平凡社)、『近代劇全集』全43巻(第一書房)、『日本児童文庫』全76巻(アルス)、『小学生全集』全88巻(興文社)、『マルクス・エンゲルス全集』全20巻(改造社)などの「円本」が輩出した。その後、円本ブームは1930年頃には終息したが、書籍の大量出版・販売の基礎がこの時できたと考えられる。

 岩波文庫の創刊も結局、この円本ブームがきっかけだったらしい。

 現在、改造社は出版はおこなっておらず、改造社書店として書籍販売業だけを行っていて、関東・中部地方などに小さな店を16店舗持っている。昔はホテルへの出店が多く、帝国ホテルにも改造社書店が出店していたが、最近は駅ビルへの出店が多いようだ。

Dsc_00342こちらは改造社書店銀座店。元々の改造社があったビルであるが、現在は1階の店舗だけが開いている。

 で、何で改造社なんだと言うと……。

 昔、講談社のすぐ傍に講談社の社員がよく行っていた小さなバーがあったんだが、そこのママが改造社(書店じゃなくて出版社の方)の社長のお嬢さん(と言ってももう婆さんだったけれどもね)だったという話を思い出したからなのであった。

 ただ、それだけ……オチはありません。

 あしからず……。

2015年4月23日 (木)

ライカ通信スペシャル

 デジタル時代になって最早死にゆくだけなのかと思っていたら、いやいや見事な復活ですね。

 ライカ、その復活の理由は、まさしく「ブランド」の強みというものなのだろう。

Photo 『ライカ通信スペシャル』(CAMERA magazine/エイムック/2015年2月28日刊)

「ライカ」というのは、今はカメラの名称ではない。「ライカというブランド」のことなのだ。従って、「ライカを持つ」というのは「写真を撮る」ということは意味しない。まさしく「ライカを持つ」ということが大事なのであって、「写真を撮る」ということは第二義的な意味しかない。勿論「写真も撮れる」のであるから、ライカで写真を撮ることに何ら問題はないのだが、それ以上に「ライカを持つ」ことの方が重要事項なのであります。

「ライカ1台あれば家が一軒建てられる」というのはバルナック型ライカの時代の話なので、M型ライカが出てからはそんな話はなくなっている。とは言うものの、今やダジタル・ライカは買うのに100万円ほどもする高価な品物だ。なのに、そこはデジタル商品の宿命とも言うべき「すぐに来る陳腐化」の恐怖に常にさらされている。

 一方、アナログ・カメラは最早新製品が出ようもないので、陳腐化とは一切関係ない存在になっている。なので、そんなアナログ・カメラの頂点に立っているのがライカM3であるという事実も揺らぎない。なので、今回の『ライカ通信スペシャル』の表紙もライカM3なのであります。中でもエラいM3はシャッター速度が10、25、50、100、250という国際系列でフィルム巻き上げが2ストロークという前期型。シリアルNo.739 857だから1955年製(というところまで追えるっていうのもライカのエラいところ)のM3。つまり、私が持っているライカM3なのであります。エヘン。

 で、ついでに言っちゃうと、アナログ・ライカの値下がり状況も、実はあまり下がっていなくて、最早生産されないアナログ・ライカの価値は(M3に関して言えば)下がっていないのです。

 で、2006年にM8から始まったデジタル・ライカも、その後M8.2となり、2009年にM9、2011年にM9-Pが出て、2012年にはついに「M+ナンバー」方式の表記はやめて、ライカMとなってしまい、M-P、M MONOCHROM、M-Eと出て、逆に2014年にはデジタル・ライカからの発展型としての完全機械式で露出計すらついていないアナログ・ライカM-Aなんて変種も出てきて、更にM型60周年記念モデルLEICA M Edition 60なんていうモニター非搭載のデジタル・ライカ、お値段200万円超なんていう、トンでもないカメラまでデジタルで出てきてしまった。

 デジタル・ライカからの発展型としてのLEICA M-Aって、M3からの発展型として現在も生産を続けている絞り優先AE撮影機M7の立場はどうなっちゃうんだろう、という心配すらも生まれてくる。まあ、別に私が心配しても始まらないが。露出計を持たない完全機械式ということはライカメーターMCが復活するんだろうか。となると、それを今持っているM3にも使える訳で(サイズが変わっていないからね)、それは楽しみでもあったりするなあ。

 いずれにせよ、最早ライカは「写真機」ではなく「ブランド」なのだから、「写真機としての実用性」以上に、「ブランドとしての価値感」が重要になってくる。なので、M=93万9600円、M-P=107万7840円、M MONOCHROM=97万2000円、M-E=70万2000円、M-A=62万6400円でM Edition 60=232万2000円という価格付けにもそれなりの理由があるのだろう。要は値段が高ければ高いほど良いという価値感なのであります。今にもっともっと高くなって数千万円もするようになれば、それこそ「ライカ1台あれば家が一軒建てられる」という戦前の価値感が復活するのじゃないだろうか。

 そうなった暁には「ライカの復活」は完成である。

 ただし、中国人はどんな富裕層であろうが、そんなバカな買い物はしないだろう。

 そんなバカな買い物をするのは、日本人だけだろうからね。

 いまやライカの最大のカモは、多分、日本及び日本人なのであります。

 ところで、『ライカ通信スペシャル』の刊行を期に、枻出版社では以前の「ライカ通信」の復刻を電子出版で開始。

 詳しくは http://ebook.sideriver.com/magazine/camera をクリック。

『ライカ通信スペシャル』(CAMERA magazine/エイムック/2015年2月28日刊)Kindle版も出ているんだ!

より以前の記事一覧

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?