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2018年7月 8日 (日)

『ツァイス紀行』の「ニューヨーク体験」……いいなあ、こういうの

『実は、今回のニューヨークの撮影は、話題の新カメラ「ツァイスイコン」による写真集というのが当初の計画であった。テストのカメラが間に合わないという事情で、ツァイスZMレンズでの撮影ということになった。ただし、ツァイスイコンは前回のフォトエキスポに展示品(実働品)があったし、2004年のエプソンR-D1の立ち上げの時には、私は無理を言って、その試作品を借り出している。今回、テスト機が借りられなかったのは、大胆な予想をすればそこには「大幅な手直し」があるのかも知れない。一番、分かりやすい生産者側の手直しというのはカメラの名前がかわることである。つまりツァイスイコンではなく「コンタックス〇型」として登場することだ。』

 というのは残念ながら当たっていなくて、まあ、田中氏にはその(コシナ製)ツァイスイコンの「大胆な手直し」の理由は分かっていて、そこは「大人の事情」で文章にはしなかったんだろう。

 まあ、そういう理由で「Carl Zeiss ZM Lens X Zeiss Icon」じゃなくて「Carl Zeiss ZM Lens X Leica」ということになったんだろうな。ちょっと残念な……、でも「写真はカメラで撮るんじゃない。レンズで撮るんだ」という、日々私が言っていることを、田中氏が実践しているっていうわけ。

Photo 『ツァイス紀行 Carl Zeiss ZM Lens X Leica in New York』(田中長徳著/枻文庫/2006年1月30日刊)

 ということで本書のまず最初に「ニューヨーク行のカメラとレンズたち」という紹介がある。

 カメラはライカM3、ライカM3オリーブ、ライカMD、ライカM2、コシナ・ベッサR3A、レンズはカールツァイスビオゴン28mmF2.8、カールツァイスビオゴン25mmF2.8、カールツァイスビオゴン21mmF2.8、カールツァイスビオゴン35mmF2.8、田中光学・タナー50mmF2、ニッコール135mmF3.5(ライカスクリューマウント)というラインナップ。要は、レンジファインダーカメラっていうのは広角用のカメラだってことですね。

Photo ©Chotoku Tanaka

 ただし、ニューヨークで購入した中古レンズなんかもあるし、本を読み進めるとエプソンR-D1で撮影に行くシーンなんかがあるのだが、もしかしたらそれはコシナ・ベッサR3Aの間違いかななんていう風にも思えてしまう。エプソンR-D1だと撮像素子がAPS-Cなので同じレンズを使っていても画角が変わってしまうので、ちょっとした注意が必要だ。写真家が撮影旅行の途中でそんな自ら間違いを犯すような機材選択を行うのだろうか。勿論、35mmカメラと6X6(あるいは6X7や6X9)などフォーマットの異なるカメラを同時に扱うということはあるだろう。ただし、それは明確にフォーマットが異なるということが前提になっているカメラの使い分けであるので、35mmとそれに近いフォーマットだとちょっと勘違いをしかねないという気がするのだが、どうなんだろうか。まあ、単なるシロートの余計なお世話であるのかもしれない。

 結局、コシナはカールツァイスのカメラとか、コシナ・ベッサも現在は製造していない。その裏側にどんな事情があるのかは私なんかの素人の知るところではないが、フォクトレンダーやカールツァイスのレンズは今でも製造しているんだから、別にカールツァイスとの会社同士の関係は別に悪くはなってはいないのだろう。だったらコシナ・ベッサも引き続き作ってくれればいいのに……、っていうのはウソで、本当はエプソンR-D1の後継機で、35mmフルサイズのレンジファインダー・デジタル(つまりR-Dですね)を出してくれればいいのにね、ってことなんだけれども……。

 本書は2005年4月12日から4月27日まで、カールツァイスの(ワイド)レンズでもってニューヨークを切り取るという企画でニューヨークを訪れた撮影行をまとめたものである。面白いのは「Manhattan Diary」というタイトルで4月12日から18日まで毎日つづられている日記が、何故か4月19日から26日までが欠落して4月27日になる全部で9つと、もう一つは、田中氏が1982年から1年間、そして1989年、1997年、2005年に訪れたニューヨークの思い出と、今回の訪NYなどをともに語るエッセイの部分に分かれていること。それが適当な配分で一冊の本の中に配分されているのだ。

 つまり、読む側としては、まずマンハッタン・ダイアリーでもって、文章と文章の間に掲載されている写真を見るわけだが、その次には通常のエッセイを読みながら、もう一度、同じ写真を見ることになる。

 えっ? そういう読み方はしない? う~ん、そうなのかなあ。しかし、私にとっては、やはり本を読むときの興味の持ち方からすると、まずダイアリーでもって、だいたいどんなニューヨーク行だったのかをつかんで、そののちにじっくりエッセイを読もうという気になるのだ。で、結果として写真を二度見るということになるのだ。いやあ、これはじっくり写真を見るのには結構使える方法なのだなあ。なんかこういう「分割した本の構成」というものを「写真集+エッセイ集」ではとっていただけると、読者としては「二度楽しめる」ってなもんで、コストパフォーマンスが上がりそうだなあ。

 しかし、数回、短期間滞在したというだけの私の乏しいニューヨーク体験では、じゃあ、本書を読んでニューヨークの実像(ったってそれはそれで私の体験ということでしかない)と、田中氏の見てきたニューヨークというものの、違う点と同じ点を見比べるなんてことはできはしない。更に、私の体験では、田中氏のようにWTCのツインタワーがあった頃と、なくなってしまったちょっと前と、7つもののWTCビルを再建建築中の現在などを比較することはできない。

 ただ、深夜仕事を終え、タクシーで帰宅する途中でWTCビルへのイスラム教徒の特攻を知り、その映像を見た時のショックだけは残っている。太平洋戦争中に生まれていた人たちにとっては当たり前のような風景であるかも知れなかった、「自らの国・都市が戦場になる恐ろしさ」というものを、私がいるのは別にニューヨークからはるか離れた東京なんだが、何故か戦慄を感じながら、そのニュースを見ていた。イスラムの人たちにとっては当たり前の「自分の町がよその国から攻撃を受けて戦場になる」体験を、生まれて初めて体験するニューヨーカーのショックぶりというものが、何故か共有できたような気がしたのだった。

 そんなニューヨーク体験をヴァーチャルで持てるかもしれないというのが、ニューヨークの(撮影者がだれであれ)写真集ではある。様々な写真家が出しているニューヨーク写真だが、そのなかの十分存在感のある一冊にはなっているのかなあ。

 というか、まあ、私はツインタワー亡き後のニューヨークは行ってないんだったなあ。久しぶりにニューヨーク行ってのもいいなあ。っていう、ニューヨークとかパリとかロンドンとかミュンヘンとかの「都会の写真」は私にとっては、まさしく「旅情を誘う写真」なんだなあ。

 まあ、モノクロでなかったのがちょっと残念なんだけれどもね。

『ツァイス紀行 Carl Zeiss ZM Lens X Leica in New York』(田中長徳著/枻文庫/2006年1月30日刊)

 

☆現在は新刊は手に入らないので、古本で買うか、枻文庫のサイトから電子版(PC、iPhone、Android それぞれあり。Kindle版はなし)で。

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