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2018年6月 3日 (日)

出版取次、苦境一段と 日販、出版社に物流費転嫁 トーハンは経営陣刷新

 6月2日の日経新聞『出版取次、苦境一段と 日販、出版社に物流費転嫁 トーハンは経営陣刷新』から引用。

『出版取次、苦境一段と 日販、出版社に物流費転嫁 トーハンは経営陣刷新 2018/6/2付

 本を配送する取次会社が岐路に立っている。採算が低い書籍事業を長年放置したことが響いており、物流費の高騰なども追い打ちをかけている。業界2位のトーハンは経営陣を刷新する方針を固め、創業以来初の赤字となる最大手の日本出版販売(日販)は出版社に26年ぶりで上昇した物流コストの一部を転嫁する。ただ構造的な問題を抱えるだけに解決は難しい。
 トーハンは社長の藤井武彦氏が退任し、副社長の近藤敏貴氏が6月下旬に社長に就く。近藤氏は営業畑が長く書店の利益率の改善を推し進めるほか、経営課題である物流の効率化に取り組む。出版社との条件見直し交渉にも力を入れる。
 日販は2018年初から取引額が多い上位100社の出版社と条件の見直し交渉に着手した。出版社は雑誌1冊あたり、価格に0.55%を乗じた金額を「運賃協力金」として支払っている。日販は0.85%への引き上げを打診し、4月までの決着を目指したが、交渉は難航した。

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 ある大手出版社の社長は「取次の自助努力の余地がまだ大きい」として日販の打診を拒否。中堅出版社の社長は半額の負担に応じたほか、書籍の取引も日販に有利な条件に変更した。「年に1000万円以上のコスト増につながるが、致し方ない」
 値上げを打診する背景には、物流コストの上昇がある。日販は書籍の配送を委託する物流事業者の半数にあたる16社から、この1年間に値上げや撤退の申し入れを受けた。日販の雑誌の物流コストは5年間で3割も上昇した。ほかの取次会社もこうした経営課題を抱え、日販を含む取次大手4社は26年ぶりに出版社に物流コストの負担増を打診している。
 取次会社の苦境を象徴するのは、日販の18年3月期の単独決算だ。本業の営業損失が5億6100万円と、1949年の創業以来初の営業赤字となった。雑誌は5億円の黒字を確保したが、利益水準は5年間で6分の1に縮小。25億円の損失を計上した書籍を支えきれなかった。
 日販の平林彰社長は「雑誌に依存した取次業は誇張ではなく崩壊の危機にある。書籍は30年以上赤字が続き、事業として成立していない」と警鐘を鳴らす。
 小口配送が多いコンビニとの取引も業績を圧迫する。配送する書籍は減る一方、配送先の増加に伴い輸送効率が悪化。コンビニ事業は15年から採算割れの状況が続き赤字額は拡大し続けている。
 取次会社なしに書店に書籍を届ける物流網は維持できない。年間8万点近くもの新刊が発売され、その7割を日販とトーハンが全国の1万2000の書店に届ける。
 物流コストの上昇は続く可能性があり、取次会社は出版社に本の定価の引き上げを強く促している。一般的には出版社・取次・書店の取り分は、書籍の定価の7割・1割弱・2割強と固定され定価が上がれば書店を含む3者の取り分が増えるという見立てだ。
 トーハンの藤井社長は「書籍の定価は最低賃金より伸びていない。出版社は勇気ある決断をしてほしい」、日販の平林社長も「国際的に比較しても日本の書籍の定価は低い」と、業界の会合で出版社に呼び掛けている。ある大手出版社の幹部は「単価が高い単行本の定価を積極的に引き上げ、安価な文庫の値上げも検討したい」と話す。』

 という記事なんだが、まあ、トーハンと日販は、これまで中央社、大阪屋、栗田、太洋社などの倒産、業務提携を経て、いまや完全な二強体制を敷き、さあこれからは出版社との交渉だってことで、出版社に雑誌の流通コストの転嫁を求めて交渉に乗り出した、ってところなんだろうけれども、まあ、多分これは大手出版社からの抵抗にあって実現は難しいだろう。

 取次はこれまで単なる書籍・雑誌の「出版社→書店への取次業=配送業の中抜き業者」ではないということで、「いまや取次ではない、販売業だ」と言ってきたんだけれども、実はのその実態はやっぱり「取次」でしかないことを露呈してきたんだなあ。

 実は、大手出版社としては既に自社の中にマーケティングデータをもって雑誌や書籍の販売戦略を策定してきていたし、大手出版社としては別に取次に取次以上の役割は求めていないという状況が次第に当たり前になってきつつある。つまり大手出版社にとっては取次は別に「販売会社」ではなくて、「取次業」以上のものは求めていないし、黙って俺の会社の雑誌や書籍を配送することに専念すればいいんだというのが本音。

 更に言ってしまえば、取次が「自分たちがいればこそ、全国の書店に雑誌や書籍を配送できる」と言っていることも、別に「そこまでしなくてもいいよ」というのが大手出版社の考え方でもある。つまり、出版社が置かれているような熾烈な競合状態に、取次や書店が置かれることに何の躊躇もいるだろうか、ということなのだ。ダメな書店も取次も潰れるところは潰れても結構という考え方だ。

 大手出版社側は結構これまでも自主流通雑誌などの出版を試みてきた。しかし、その度に取次は書店(日書連)なんかを動員して「書店を潰そうという大手出版社の策動は許さない」なんて運動を起こして、出版社のそうした動きを潰してきたんだ。しかし、いまや出版社と読者はダイレクトに結びついてきている状況だ。つまり、そこで許される流通コストはまさしく「物流」だけのコストでしかなく、それ以上のマーケティングコストなんかはいらないのである。

 だとしたら、もっともっと書籍雑誌の物流コストは下げられるというのが大手出版社の立場であって、取次各社の物流コストアップの要請を受け入れる素地などありはしない。

 まあ、さまざまな業界で再編・再々編が言われている最近の考え方からすれば、出版取次業というのももはや出版業界における存在価値は失ってきているのかもしれない。

 まあ、書籍やコミックに関していってしまえば、今や電子書籍や電子コミックが当たり前になってしまっている時代だ。紙の雑誌もどんどん流通量が減ってきている状況の中で、いまやどうすればその流通量を増やすことなんてできるんだろうか。

 そんな状況下での日販、トーハンの物流費アップ提案なんて、到底出版社としては受け入れられる状況にはないだろう。

 今や、出版社・書店も業態変化による生き残り戦略が求められている時代だ。おなじことが取次業にも言えるのではないだろうか。

 

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