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2018年5月15日 (火)

『10年後の仕事図鑑』の示すこと

 本書を目にして最初に想起したのは、2003年に村上龍氏が書いた『13歳のハローワーク』だった。ただし、同書は現在ある514の仕事について「〇〇が好き」という観点から紹介し、かなり具体的にそれらの仕事に就くための能力や経験などを語り、その時点での「将来の仕事」としてIT、環境ビジネス、バイオ産業、などを紹介している点で、まさしく「13歳の子供たち」に向かって「職業についての考え方」を語ったものだった。

 勿論、本書はそんな子供たちに向けた本ではないのだから、もうちょっと辛辣に「これからなくなる職業(あるいは減る職業)」と「生まれる職業(あるいは伸びる職業)」について語ったものなのだけれども、基本的に言ってしまうと、実はそれは具体的に「これっ」と言えるわけではないし、言っても意味はない、ということも同時に語っている。

 要は、人間は社会の変化に対して、特に現在の変化に対してどういう心構えでいればいいのかということを語っているのだ。

10 『10年後の仕事図鑑』(落合陽一・堀江貴文著/SBクリテイティブ/2018年4月13日紙版刊・2018年5月1日電子版刊)

 まず本書の基本スタンスを書くと……

『「AIが仕事を奪う」という事実に対し、否定的な反応を示すか肯定的な反応を示すか。しかし、はっきりいうが、「AIによる職の代替=不幸」のロジックを持つ人間は、自分の価値をAIと同じレベルに下落させてしまっている点で、ダサい。
 仕事を奪われ「価値を失うこと」を恐れる前に、なぜAIを使いこなし「価値を生み出す」視座を持てないのだろうか。
「価値を失う」ことに目がいくタイプの人間は、常に「使われる側」として搾取される状態にいることに気づかなければならない。AIが古い社会システムを刷新していけば、今、世の中の人が思っているような”会社”のありようは失われていく。
 時代に合わせ、常に変化し続けられることが、これからの時代を生き抜く必須条件になる。』

 つまり、今話題のAIと人間の「労働」に関するものなのだが、だいたいそうした主題の設定自体が間違っているのだ。昔、産業革命の時には「機械が人間の労働機会を奪う」といって、ラッダイト運動なんかが起こったわけなのだが、現在それと同じことが、一般サラリーマンとAIとの間で起こっているわけだ。

 でも、そんな設定は簡単なこと。

『「人間対機械」の役割の最適化は簡単だ。検討する材料になるのは「コスト」でしかない。つまり、機械が行ったほうがコストが安いのであれば機会に任せればいいのだ。もちろん、手技による付加価値のようなものは保証されるはずだ。』

 で、その結果面白いのは、AIによって仕事が奪われる最初の人間として「経営者」をあげていることだ。

『僕が考える、経営者の仕事は2つ。「組織にビジョンを語ること」と「組織を管理すること」だ。ビジョンを語り、人間をモチベートすることは「今のところ」AIにはできない。そのため、ビジョンを語れる経営者は代替不可能である。しかし、管理することならAIにもできる。むしろ、これは人間よりもはるかにAIが得意とする領域だ。これはクラウド型の会社管理ツールに顕著に現れている。
 トヨタのように「自律分散型」で個々が最適化された働き方ができている組織なら、ビジョンを語る以外に経営者の仕事はない。管理しかできない経営者に高い給料を支払う必要はなく、寸分の狂いもなく的確な管理を行うAIが1台あればよい。その点、トヨタは選択と集中では語れないスケールの大きな経営を行っている。
 次になくなるとしたら、定型的な仕事のため低コストで、かつ携わっている人が多い仕事だ。具体例として、一般事務全般が挙げられる。どの会社においても必要不可欠な仕事ではあるが、特殊な能力がなくてもできる仕事ではあるため、採用コストも、給料の水準も高いとはいえない。こういったものはクラウド化されやすいのだ。
 ただし、日本には、事務仕事をする人材が多くいるため、全体でみれば「事務職」に支払われるコストは大きい。総合的にみてコスト高であるから、先ほどの経営者と同様に、AIに代替される職業の代表格となる。もしくはAIとともに働くことが一般的になるはずだ。』

 基本的に「定型化」した労働はAIとかいう以前に、「あいまい」なところを持つ人間が担当するよりは、「原則に忠実」な機械がやったほうが効率がよいってこと。これが、もう少し発展した形でAIにしても、これを「効率的な機械」であると捉えれば、同じくAIがやったほうが効率的に運ぶ仕事もかなり多く見えてくるってことなんだろう。

 特にAIの基本は人間が教え込んだ学習内容にプラスして、その後の機械学習でもって「解」に至る道を自らさがすのであるが、その結果はせいぜい「最適解」に至るだけであって、もともと「解」のない命題に対しては、答えを出せないのである。ところが、そんな「解」のない命題に対して、どこからか似たような命題を探し出してきて「解」を出してしまうのが人間の素晴らしさなのである。勿論、その「解」が正しい「解」なのか、間違った「解」なのかは、すぐには分からない。長い時間を重ねて、結果として正しいか間違っていたのかがわかるだけなのである。でも、そんな「解」を出せる人間って、やっぱり素晴らしい生き物だ。

 つまり、「AI社会」って言っても、別に怖がることはないし、むしろ生産的な仕事はどんどんAIやマシンに任せてしまって、人間はもっとクリエイティブな仕事をしましょうってことなんだな。あ、そうか非生産的な仕事でもいいんだ、このブログみたいにね。

 それじゃあ、そんなクリエイティブな生活って何なんだろう。

『SNS上でアウトプットすることは非常によい訓練になる上に、より知識を深めることができる。最近では、SNSやネット記事を見て情報収集するだけの「情報メタボ」が非常に多い。得た情報をSNS上でアウトプットし、多くの人の意見を取り入れることで、より多角的な視座を手に入れることができる。「インプット」と「アウトプット」、両方のバランスがとれているとき、人は格段に成長できるのだ。』

 っていうこと。

 つまり、様々な方法で社会的に発信できるようになった現代。この機会を逃す手はないわけで、それこそ様々な方法でアウトプットをして、時には「炎上」もしてみて、それを自分の良い経験として取り込めば、それこそその体験は自分の身になりこそすれ、毒にはならないはずだ。まあ、仮に毒になったとしても、その経験自体は後になってみればよい経験として、貴方の中に残るはずだ。

 ってなことなので、まあAI、AIって騒がず、恐れず、むしろAIを利用して、その結果余った自分の時間を、自らのアウトプットをする時間として使いましょう。

 ラッダイト運動が結果としてまったく後向きで世の中の役に立っていなかったという状況を見る通り、AIなどのテクノロジーの進展に対して後ろ向きになってしまっても何の役にも立たないってこと。

 むしろ、その結果出来てしまった自分自身のための時間をどう過ごすのか、それが重要なテーマなのだ。

『10年後の仕事図鑑』(落合陽一・堀江貴文著/SBクリテイティブ/2018年4月13日紙版刊・2018年5月1日電子版刊)

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