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2018年4月 9日 (月)

『ロシアカメラの世界』の危険な魅力

 家の近所の中古カメラ屋さん「ハヤシ商事」で500円で買った本。Amazonで見たら稀観本扱いで2,580円~43,594円もする。たかだか64ページのブックレットにこのお値段って、凄いことになっているなあ。

Rimg00152『ロシアカメラの世界 隠れた人気の秘密』(山本省三著/企画・編集:ユーラシア研究所・ブックレット編集委員会/東洋書店/2004年2月20日刊)

 だいたい、ユーラシア研究所って何なんだ?

『1989年1月、総合的なソ連研究を目的とした民間の研究所としてソビエト研究所が設立されました。当時、ソ連ではペレストロイによる改革が進行中で、日本でも日ソ関係の好転のためにその改革に期待をかける人々が少なくありませんでした。しかし、ソ連再建をめざしたペレストロイカの行き着いた先は、皮肉にもソ連崩壊でした。
 1993年、研究所はユーラシア研究所と改称し、主としてロシアをはじめ旧ソ連を構成していたユーラシア諸国についての研究と学術交流を引き続き行うとともに、「日本国民とユーラシア諸国民との相互理解と友好の発展」という観点から、ユーラシア諸国に関する正確な知識の普及に努めています。
 この地域についての情報がまだまだ断片的で限られた分野のものにとどまりがちななかで、今回のブックレット刊行は、ロシア・ユーラシア諸国に関する多面的な情報を提供するだけではなく、日本ではあまり知られていないこの地域の広くて深い世界を楽しんでいただくことをも目的としています。読者のみなさんが、このブックレットをつうじてユーラシア諸国の隠れた魅力を発見してくだされば、と願っております。
 21世紀は、アジア・太平洋の平和的環境を恒常化し、日本とロシア・ユーラシア諸国の共生の条件を作り出す時代となるでしょう。その意味でも2000年にこのブックレットを発刊する意味は大きいと自負しています。
        ユーラシア研究所・ブックレット編集委員会』

 というのがユーラシア研究所による、ブックレット刊行宣言であります。ところが東洋書店は2016年に倒産してしまい、その事業は例の「トバシ記事」で有名な『サイゾー』の発行元である株式会社サイゾーが引き継いで東洋書店新社として継承しているのだが、東洋書店時代の本については引き継いでおらず、この「ユーラシア・ブックレット」もサイゾーとしては扱っていない。なので、稀観本扱いなんだが、刊行当初(各600円)より安い値段で中古カメラ屋さんで売っているんでは、まあ古本屋さんも困ってしまうだろうが、買うほうにとってみれば同じ本が安く買えるんであれば、こんなにいいことはない。

 ユーラシア・ブックレットは全部で60巻あり、そのほとんどがロシア・ユーラシアの芸術・文化・経済・科学技術などを扱った「真面目な本」なんだが、何故かその60巻目だけが「ロシアカメラの世界」っていう、趣味丸出しの本になっているのが面白い。

 扱っているカメラは以下の通り。

「レニングラード、キエフ、ガリゾント、フェド、ゾルキー、キエフ中判」などといった、ドイツのライカやコンタックス(カール・ツァイス)、スェーデンのハッセルブラッドなどといったコピーカメラからLOMOが作っている最近のトイ・カメラまで、まあ広範囲にではないが、ロシアカメラ入門者用にはこれで必要最低限の知識はつくだろう。

 勿論、「写真は写真機ではなくレンズで撮る」以上は、そのレンズについて触れなければならないわけで、オリジナルとコピー・レンズの撮影比較が付いているのは親切。まずコンタックス用の「ゾナー5cm f2.0 vs. ユピテル-8M」、ライカLマウント用の「エルマー50mm vs. インダスター22」、ハッセル・コピーのキエフ88用の「アルスタット30mm f3.5」、中望遠の「ユピテル-9 85mm f2.0 vs. ゾナー85mm f2.0」。その他、スメナ8M、ルービテル166Uなどといった、私が知らないカメラやレンズの話もある。

 そもそも山本省三氏がなぜロシアカメラ・フェチになってしまったのか。もともと山本氏はヤマハに在職していたのだが、希望退職制度に応じて同社を退職。

『新しい私の職場はソビエト連邦との国交が回復した昭和三十年初期に革新系国会議員H代議士がソ連との文化の架け橋として機能する音楽輸入商社をと設立したのが起源で、その後、業容の変化はあったが、現在も旧ソ連圏から音楽メディアを輸入し、販売している会社である。

 カメラが生涯の趣味である、と自負する筆者がロシア関連の仕事をしていて、ロシアカメラから目をそむけていられるはずも無い。なぜならソビエトのカメラはその起源をドイツの技術を模倣することに始まり。大祖国防衛戦争勝利により工作機械も部材もまた技術者までも接収、生産を開始した経過があり、ツァイス直伝のレンズ群、コンタックス直伝のキエフボディー等、カールツァイスの技術がしっかりと受け継がれているのだから……。
 Y社に勤務する間にロシアカメラに、触手を動かさなかったといえばうそになる。カメラ評論で活躍されている田中長徳先生の本の中で絶賛されていたその武骨ともいえる、たたずまいのカメラはスプリングモーターでフィルム巻き上げとシャッターチャージを同時にセットする優れもので、本に掲載された写真と説明文に魅了され、米国の通販専門業者M・S氏から3台を購入したことがある。写真仲間に自慢したい気持ちと、まだ見ぬ恋人に逢いたい気持ちが購入を決意させたわけである。カメラ名はレニングラード、いずれも立派な革ケース付きである。
 レンズ付きで1台3万5000円くらいだったと記憶しているが、相場よりかなり高く買わされたようだ。』

 う~む、ここにも田中長徳氏の犠牲者(?)がいたわけであるな。

 まあ、でもその結果、「ユーラシア・ブックレット」としては異質の本書を書き上げたわけであるから、少しはその投資にたいする実入りはあったのではないか、とも思えるし、「いやいや、投資額に見合う実入りなんて当然のことながらあり得ない」とも思える。

 後は、この本を書いた山本氏の自己満足が如何ほどのものかと想像しながら、本書を読み進めるだけである。

『ロシアカメラの世界 隠れた人気の秘密』(山本省三著/企画・編集:ユーラシア研究所・ブックレット編集委員会/東洋書店/2004年2月20日刊)

『ロシアカメラがむせぶ夜は―チョートクの赤色カメラ中毒者の作り方』(田中長徳著/グリーンアロー出版社/1999/12) ……こうなるともうビョーキです。当然、著者の田中氏はちゃんとビョーキをビジネスにしているのだから何の問題もないわけだ。

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