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2018年4月26日 (木)

『新・日本の階級社会』で分析するだけじゃなくて、処方箋も欲しいなあ

 結局、「一億総中流」という言い方をされた戦後の高度成長期を過ぎて、バブルの崩壊、その後の「失われた20年」を経て、日本の「格差社会」は「階級(固定)社会」にまで発展(後退?)してしまったということなのだ。

 結局、「格差」というものは、まだまだ逆転可能な社会であり、社会における階級を上り詰めることも可能だったんだが、既に現代ではそれは不可能。「格差」は世代を超えて固定化してしまい、それが「超すに超えられぬ階級社会」になってしまったっていうことなんだなあ。

 問題はそれがヨーロッパ的な階級社会とは若干事情が異なり、例えば「親世代が裕福であれば、子供に良い教育を与えることができるし、その結果、子供の世代が裕福な生活をおくることができる」というようなものとして、元々はあったんだけれども、今やそれはひとの努力ではひっくり返すことができなくなってしまったという意味での『新・日本の階級社会』なんだ。

Rimg00022 『新・日本の階級社会』(橋本健二著/講談社現代新書/2018年2月1日刊)

 社会を類型化する場合にはどうしてもそこから漏れ落ちてくる中間的な存在が発生するんだが、まあ、それは類型化に伴う仕方のない考え方だということで、その類型化を受け入れることにする。

 いずれにせよその類型は以下の通り。ただし、これは20世紀までの話。

資本家階級 従業員規模が五人以上の経営者・役員・自営業者・家族従業者

新中間階級 専門・管理・事務に従事する被雇用者(女性と非正規の事務を除外)

労働者階級 専門・管理・事務以外に従事する被雇用者(女性と非正規の事務を含める)

旧中間階級 従業先規模が五人未満の経営者・役員・自営業者・家族従業員

 この四階級のうち「労働者階級」というものが正規雇用者と非正規雇用者に分かれて、その非正規雇用者が「アンダークラス」という新しい労働者像を作り出したというのだ。つまりこの「非正規労働者」とは「雇用が不安定で、賃金も正規労働者には遠く及ばない。きわだった特徴は『男性で有配偶者が少なく、女性で理死別者が多い』『とくに男性アンダークラスは、強い不満をもち、自分の境遇に不仕合せを感じながら生きている』、つまり『アンダークラスは、所得水準、生活水準が極端に低く、一般的な意味での家族を形成・維持することからも排除され、多くの不満をもつ、現代社会の最下層階級である』でありながら、じゃ労働組合への加入率は『13.8%と低いが、これまで労働組合の組織対象としてみなされることの少なかった非正規労働者のことだから、意外に低くないという見方もできる。実際、この比率は2005年SSM調査では3.7%だったから、大幅に上昇している』という部分には、多少この「アンダークラス」への希望が見えてくるようなのだが、果たしてそうだろうか。

『資本家階級、新中間階級、正規労働者では、所得再配分には消極的で排外主義的傾向の強い「格差容認排外主義」の立場をとる人がもっとも多く、それぞれ40.6%、37.8%、36.9%を占める。
 ところがアンダークラスでは、所得再配分に積極的でかつ排外主義的傾向の強い「格差是正排外主義」が34.2%と、もっとも多くなっているのである。』

『格差是正の要求と排外主義が、アンダークラスにおいてだけ、強く結びついているということである。貧しい人々が所得再配分による格差の是正を求める一方で、外国人の流入を警戒し、戦争責任を問う中国人や韓国人の主張に反発する。アンダークラスには、このような立場をとる人が多いらしいのである。追い詰められたアンダークラスの内部に、ファシズムの基盤が芽生え始めているといっては言いすぎだろうか。
 2017年10月の衆議院選挙では、小池百合子東京都知事が率いる「希望の党」が注目を集めたが、その政策には、上の集計結果から見て興味深い点があった。「希望の党」は、公認候補となることを希望する候補者に、集団的自衛権の行使を可能にした安保法制の受け入れや、外国人への参政権付与に反対することを盛り込んだ政策協定へのサインを要求した。そして選挙では、九条を含む憲法改正の検討を公約とした。まさに排外主義、軍備重視である。
 ところが公約には同時に、正社員化の促進やベーシック・インカムの導入など、格差の縮小と所得再配分のための政策も盛り込まれていた。つまり、排外主義・軍備重視と所得再配分が結びつけられていたのである。おそらく、このことに気がついた有権者は多くなかっただろうし、結果的に広い支持を得ることもできなかったが、今後の新しい政党のありかたとして、前例を示すことになったと言える。』

 下級労働者の支持がドイツにおいてナチスの台頭を許したということは以前からも言われてはいたことだ。また、孤立主義や排外主義がこうしたファシズムの温床になることはよく知られている。今更、日本が戦前に戻ってファシズムへの道を歩むことは考えづらいが、しかし、アタマでは「ファシズムはよくない」ということを理解していても、結果として「名前を変えたファシズム」になってしまうと、「それを批判する立場になるほどの教育を受けているんだろうか、アンダークラスは」ってな気分にもなってしまう。勿論、アンダークラスだからといってそうした差別的批判の対象にされてよいものではないということは分かってはいるんだが、「本当に大丈夫だよね?」

『新・日本の階級社会』(橋本健二著/講談社現代新書/2018年2月1日刊)

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コメント

おはようございます。
民主主義の行き過ぎがファシズムを生みますから今の状況を考えれば油断はできませんね・・・。
では、
shinzei拝

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