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2018年2月 1日 (木)

『不死身の特攻兵』それにつらなる現在の問題点とは?

 ふうん、こういう凄い人がいたんだ。

『ある本の小さな記述によって、「9回特攻に出撃して、9回生きて帰ってきた」人のことを知りました。
 その人は、陸軍の第一回の特攻隊のパイロットでした。
 海軍の第一回の特攻隊は『神風特別攻撃隊』と名付けられ、零戦に250キロ爆弾を装備して体当たりしました。陸軍の第一回の特攻隊『万朶隊』は、九九式双発軽爆撃機に800キロの爆弾をくくりつけて、体当たりするものでした。
 それでも、9回出撃して、体当たりしろという上官の命令に抗い、爆弾を落として、9回生きて帰ってきた人がいました。名前は佐々木友次。その時、彼は21歳の若者でした。』

Photo_2 『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』(鴻上尚史著/講談社現代新書/2017年12月1日刊)

 神風特別攻撃隊や万朶隊などで最初に特攻を命ぜられたパイロットは、皆優秀なパイロットだったそうだ。つまり、特攻隊の一番最初の攻撃隊は絶対に失敗はできない。であるならば、一番優秀なパイロットにやらせるのが一番という発想だったようだ。その理由は分からないではない。

 が

『有能なパイロット達は優秀だからこそ、パイロットとしてのプライドがあった。爆弾を落としてアメリカ艦船を沈めるという目的のために、まさに血の出るような訓練を積んだ。「急降下爆撃」や「跳飛爆撃」の訓練中、事故で殉職する仲間を何人も見てきた。鉾田飛行師団では、毎月訓練中に最低でも二人の殉職者を出していた。
 技術を磨くことが、自分を支え、国のために尽くすことだと信じてきた。だが、「体当たり攻撃」は、そのすべての努力と技術の否定だった』

『特攻が始まる前、1944年10月に起こった「台湾沖航空戦」では、「空母を19隻撃沈・撃破。戦艦4隻撃沈・撃破。巡洋艦7隻撃沈・撃破」と報告されたが、実際は、「巡洋艦2隻大破」だけだった。
 戦いながらの戦果確認が難しい上に、基地に戻って報告する時、上層部の「これだけの犠牲を払ったんだ、もっと多くの戦果があるはずだ」という無意識の圧力がさらに戦果を大きくした。不充分な戦果では、壮烈な戦死を遂げた英霊が浮かばれないという思いから、誘導尋問が自然に生まれ、戦果は増え続けた。そして、軍部も国民もそれを信じた』

 まあ、結局こうした考え方が軍部の上層部も、そしてマスコミを通じてそうした「戦果」を知らされた国民も、皆信じたんだろう。というか、せっかく戦いに出たんだからなにも戦果がないではすまされない。戦死した軍人たちの家族は、せめてそうした戦果でもない限り浮かばれないという発想なんだろう。

 しかし、それが戦争の実態を国民に知らしめることを避けてきてしまい、更には軍上層部の精神主義的な作戦として実行に移されてしまったんだ。

『真珠湾攻撃の時、二人乗りの特殊潜航艇の攻撃を、当初、山本五十六司令長官は認めませんでした。生還が望めない攻撃は採用すべきではないとしたのです。出撃を求めて三度目の具申の結果、かなり生還の可能性は低いけれどゼロではないと判断されて、さらに隊員の収容方法の検討をという条件つきでやっと許可されました。  いかに戦時とはいえ、生還の可能性のない攻撃は、リーダーは踏みとどまるべきではないかと考えるのです』

 と、ここまではまだ理性的な考え方があったようなのだが……

『極東においては、アメリカ・イギリス・オランダの根拠地を破壊して、自存自衛を確立し、蔣介石政権を屈伏させ、ドイツ・イタリアと連携してイギリスを屈伏させ、アメリカの継戦意志を無くすというものでした(『東條英機と天皇の時代』保阪正康 ちくま文庫)。
 ドイツを過剰に信頼し、イギリスの軍事力を過小評価し、アメリカの国民の抗戦意欲を軽視した、非常に観念的なものでした。
 東條首相は、願望と期待にみちた、じつにあいまいな形でしか「勝利」を予測していなかったのです』

 まあ、ここまでは戦時中の話。しかし、結局それは日本人の精神主義として現在に至るまで継続しているっていうのが怖い。

『職場の上司も、学校の先生も、スポーツのコーチも、演劇の演出家も、ダメな人ほど、「心構え」しか語りません。心構え、気迫、やる気は、もちろん大切ですが、それしか語れないということは、リーダーとして中身がないのです。  本当に優れたリーダーは、リアリズムを語ります。現状分析、今必要な技術、敵の状態、対応策など、です。今なにをすべきか、何が必要かを、具体的に語れるのです』

 これって今でも十分通じる話ですよね。

 で、この話につながるんですね。まあ、高野連の精神主義はもはや鉄壁と言っていいくらいの鉄壁ぶりだもんなあ。つい最近までタイブレークを認めなかったっていうね。

『僕は毎年、夏になると、「いったいいつまで、真夏の炎天下で甲子園の高校野球は続くんだろう」と思います。地方予選の時から、熱中症で何人も倒れ、脱水症状で救急搬送されても、真夏の試合は続きます。
 10代の後半の若者に、真夏の炎天下、組織として強制的に運動を命令しているのは、世界中で見ても、日本の高校野球だけだと思います。
 好きでやっている人は別です。組織として公式に命令しているケースです。重篤な熱中症によって、何人が死ねば、この真夏の大会は変わるのだろうかと僕は思います』

『昼の12時から3時までは試合を休止しようとか、ナイターをスケジュールに入れようとか、そもそも真夏を外して秋にしようとか、そういう提案を主催者側がしているという話を僕は聞いたことがありません。大人達は、誰も言い出さないまま、若者達に命令するのです。それもまた、とても、特攻隊の構図と似ていると感じます』

 日本の「特攻」と、イスラムの「自爆テロ」とどこが違うのかは、私には区別がつかない。しかし、いずれにせよ「自分の命を犠牲にする」攻撃方法が、その後の時代に容認されることはないだろう。

 そんな形であれ、それは「狂気の沙汰」でしかないし、結局それは「無駄死に」でしかないはずだ。

 日本人がそれを今後ともに行うことはないとは、誰が言えるんだろうか。

『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』(鴻上尚史著/講談社現代新書/2017年12月1日刊)

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