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2018年2月25日 (日)

講談社の決算発表に思うこと

 11月が決算年度の講談社が昨年の決算と役員人事を発表した。

 下の記事は業界紙『新文化』からの引用。まあ、基本的には講談社が出したプレスリリースを写したものである。

Img0752

講談社、増収減益決算 電子・版権収入が全体の30%超に

 2月20日、東京・文京区の本社で株主総会および取締役会を行い、第79期(H28.12.1~同29.11.30)決算と役員人事を発表した。売上高は1179億5700万円(前年比0.6%増)、営業利益は約19億円(同37.2%減)、経常利益は約43億円(同15.3%減)。当期純利益は17億4800万円(同35.6%減)。野間省伸社長によると、電子や版権ビジネスなど、「事業収入」の占有率が売上高の30%を超えて第2の柱になりつつあるという。
 役員人事は、取締役の峰岸延也、古川公平、渡瀬昌彦の取締役3氏が常務に昇任。吉羽治氏が取締役に新任。森武文副社長は取締役相談役に、鈴木哲常務は退任して顧問に就いた。』

 出版業界全体がシュリンクしている状況の中で「増収減益」とはいえ経常利益、純利益ともに黒字決算はまあ致し方ないのかもしれないが、以下の日経新聞1月25日付の記事はもうちょっと書いてあるので、そちらを基本に読んでみたい。

止まらぬ出版不況 17年7%減 雑誌で顕著、11%減
 電子は伸びる

 出版業界の調査研究機関である出版科学研究所(東京・新宿)は25日、2017年の市場規模を発表した。紙の出版物の推定販売金額は16年比7%減の1兆3701億円で、13年連続のマイナスとなった。一方で、スマートフォン(スマホ)やインターネットで楽しむ電子の出版物は16%増の2215億円となり、紙と電子を合わせた出版全体の市場は4%減の1兆5916億円だった。
 内訳をみると、紙の雑誌の落ち込みが著しかった。11%減の6548億円で、2桁の下げは初となる。週刊誌、定期誌、それぞれ9%減だった』

 とにかく売り上げが毎年落ち込んでいる出版業界なので、その中での「増収」っていうのは、まあ、結構なことですねというところなのだろう。

 講談社の決算に関する日経新聞の記事では……

『デジタル分野の売上高は9割を占める漫画の販売が好調で、42%増の249億円と大きく伸びた。書籍の売上高である176億円を大幅に上回る。都内で決算説明会を開いた講談社の野間省伸社長は20日、「電子書籍や版権収入が成長した。体質改善を積極的に行う」と強調した。
 ただ、漫画の単行本と漫画雑誌を合わせた売上高は10%減の411億円にとどまった。出版市場が縮小する中、業界では単独で黒字を確保できる雑誌が減少しているというのが共通の見方だ。
 講談社の週刊誌「週刊現代」や月刊誌なども単独では赤字だとみられ、年間に数十億円の利益を稼ぎ出す漫画頼みの構図が強まっている。ただ、漫画を無断掲載する海賊版サイトの影響が徐々に出始めており、月額の被害額が数億円にも達するとの指摘もある。』

 となっている。

 出版科学研究所のデータっていうのは、あくまでも「紙の出版物」だけの統計数字なので、今や電子出版が当たり前になってしまった時代のデータとしてはまったく使えるデータではない。つまり、出版科学研究所のデータ自体が各出版社から出てくる資料だけをもとにしていて、なおかつその出版社の大半が紙の出版をやっている出版社ばかりなので、実体としての「コンテンツ産業としての出版社」という実情を反映していないというのが一番の問題。つまり、「コンテンツ産業としての出版業界」に対応する業界研究所っていうのはいまだになくて、いまだに「紙の本を1冊売ってなんぼの収入」という太古からの数値をもとにしている、なんか今やまったく使えない業界研究所なんだな、これが。

 講談社にしても「電子書籍や版権収入が成長した」というときの「電子書籍」というのは、実はかなりの割合で「漫画コンテンツ」なのだ。いまや、漫画はスマホで読むという時代になってきており、その結果「漫画を無断掲載する海賊版サイトの影響」が云々されるという状況になってきている。

 だからこその「増収減益」っていう決算なんだけれども、それがなかったら赤字決算になっていたわけで、その意味では、講談社が早い時期から電子出版と出版物のコンテンツ化に乗り出していた結果が現在の状況につながっていると考えることは重要だろう。

 今や「出版業界」っていうのはなくて、紙も出すけれども、電子や別のコンテンツも出す「情報産業としての出版コンテンツ業界」と「紙だけにこだわる出版業界」に分かれているのである。

「出版は不況だ」というのであるならば、この二つの典型的に分かれた業界を別々にとらえて、それぞれについて語らなければならないのだろう。

 では、こうして二つの典型的な産業形態に分けて、「出版業界」は先がなくて、「出版コンテンツ業界」ばかりがうまくいくのかっていうのであれば、決してそんなことはないので、「出版業界」の皆さん、ご安心を。ただし、その場合は、まずとことんまでシュリンクする出版業界というものに付き合わなければならないだろう。「情報産業」的な部分は完全にそぎ落とした結果としての「出版業界」になってしまえば、そこからは「紙の出版物」にたいしてフェティッシュな好意を持つ人たちによって、いわゆる「出版業界」は守られて生きていくことができるだろう。その場合の「出版業界」は、「情報」とか「コンテンツ」っていうものとは一切かかわりのない、まあ純粋な本の世界のことである。

 勿論、そんな「出版業界」というものは、社会の話題性などというものとは一切かかわりがないし、映像化されて大きく稼げるっていう世界とは、ほぼ関係のない世界になるのだろう。

 で、そちらは「情報産業としての出版コンテンツ業界」に任せるっていうことになるだろう。で、そちらの「情報産業としての出版コンテンツ業界」が、現在の出版業界に代わって世の中のトレンドとか、流行とかっていうものと付き合っていくことになるんだろう。

 まあ、そんな「出版業界」の終焉と「情報産業としての出版コンテンツ業界」と「紙だけにこだわる出版業界」の誕生を、近い将来の状況として想像するのだ。まあ、もはや後者は「産業」という名前には値しない業界になっているんだろうけれども。

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