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2017年10月 2日 (月)

『第一次世界大戦 忘れられた戦争』って、本当に忘れられた戦争なんだろうか

 そうだったんだ。

「講談社学術文庫」っていうのは、以前に出版された学術書の中から、文庫版で出しても面白そうなものを再出版するというジャンルの本であり、本書も1985年に社会思想社から「現代教養文庫」として出版されたものの再刊だったんだ。

 なので、本書を現代における社会・歴史評論書として読んではいけないわけで、むしろ評価の定まった学術書として読むべきであり、今回私がとったようなドジでマヌケな本の読み方をしちゃいけないってことなんだ。

 つまり、何がドジでマヌケかと言えば、何となく最近書かれた歴史評論書として読んでしまったのだが、読む進めるうちになんか違うなあ、なんか現代評論じゃなくて歴史の事実を並べているだけだなあ、と思った時にはすでに遅く、本書を歴史評論として読んでしまっていた、ってことなんでした。

2 『第一次世界大戦 忘れられた戦争』(山上正太郎著/講談社学術文庫/2016年12月1日刊)

 とは言うものの、読み進めていくうちに、まあ、それでももう一度歴史、それも現代史を再読するのもいいなあ、と考えつつ、しかし、あまり現代における各国の関係論とは異なっていないとうのが気にかかった。

 要は「世界は西ヨーロッパを中心に回っている」という厳然たる事実なのである。

 まず本書の「はしがき」に書く。

『イギリスの歴史家、A・J・P・テイラーはその著『第一次世界大戦』のなかで、次のような意味のことを述べている。
 もしナポレオン・ボナパルトが一九一七年初めに生き返ったとしても、彼の時代とあまり変わらないヨーロッパ列強が、規模こそ大きいものの、同じような戦争をしている情勢にさして驚くこともあるまい、しかし一七年の末に生き返ったならば、彼は一方で、ボリシェヴィズムとその政権の成立に、一方で、ヨーロッパ外の一大強国、アメリカ合衆国の進出に驚き、当惑することであろうと。
 この機智に溢れる歴史家は続いて、一九一七年に古い意味でのヨーロッパ史は終わった、世界史が始まった、それはレーニンとウィルソンの年であり、現代世界誕生の、現代人出現の劇的な時機である、とまで書いている。』

 そして最後の項「さらば、ロイド・ジョージ」では

『ロイド・ジョージが属した自由党はそれ自体も分裂し、旧来の保守党と戦後、台頭した労働党との間にあって勢いを失っていった。かれは議席こそ保ったが、再び政権を握ることもなく、閣僚の地位に就くこともなかった。
 のみならずロイド・ジョージは自らも成立に関係したヴェルサイユ体制、ワシントン体制がドイツや日本などによって打破されてゆく現実を、まのあたりにしなければならず、また、彼も参画した国際連盟は国際秩序の混乱に対して、充分な機能を発揮すべくもなかった。パリ講和会議で解決できなかった諸国の植民地主義は、民族運動の波を高めた。世界大国アメリカ合衆国の登場、そのヨーロッパ経済への影響力、さらにソヴィエト連邦の不気味な発展は、有為にして少壮気鋭の政治家ロイド・ジョージが満喫したに相違ない「古き良きヨーロッパ」の影をますます薄めていった。政治上の活動で報いられなかった彼は、三〇年代、大戦や講和会議に関する回顧録の執筆に名を残すのみであった。』

 とまあ、歴史の連続性について書くのであった。その最後は

『二度の大戦において、英独の妥協的講話はありえなかった。前の大戦ではイギリスはアメリカの援助をもって、ドイツに対する勝利を得た。後の大戦ではイギリスはアメリカと、さらにソ連の助力によってドイツに対する勝利を得た。そして米ソ対立の「冷戦」である。
 ロイド・ジョージのおそらくは長すぎた政治上の生涯をよそに、大英帝国の面影は色あせ、「古き良きヨーロッパ」は在りし日の想い出となった』

 とまとめるのであるが、しかし、その後の時代における戦争の在り方を見ると、結局は第二次世界大戦は日本とドイツの敗戦という象徴的な出来事はあったとはいえ、それ以外の問題に関しては、何ら解決はあり得ず、いまだに民族主義と植民地問題の解決は遠く、「帝国」を名乗っていない「企業帝国」をバックにした帝国主義はさらに強化され、それこそ昔の宗教戦争が再び世界を覆っている。

 大体が、国際連盟はその常任理事国であった日本が脱退して、それが第二次世界大戦の引き金の一つになったわけだし、そう考えると自ら作った国際連合を後ろ向きにしか捉えることのできない政権がアメリカに登場してきたりして、もはや、その存在自体が危うくなってきたりしている。そうなると結局はEUあたりのような「独仏連合」が再び力をつけてきて、なんかまたまた世界の中心が西ヨーロッパに戻っていきそうな雰囲気であります。

 そんな、EUを脱退して孤立主義に移行しようとするイギリスと、国際連盟に後ろ向きのアメリカって、要はアングロサクソンの「世界後ろ向き外交姿勢」があって、ロシア帝国とモンゴル帝国のごとき中国が世界に覇権を求めようという動きは、なんだ単に第一次世界大戦前のヨーロッパを中心とした世界体制でしかない。

 アメリカはしきりに北朝鮮イビリをしているけれども、そんなものにはビクともしない朝鮮っていう構図は当たり前であるし、大体が朝鮮半島の国内問題である朝鮮戦争に対して、アメリカが直接乗り出してきたって勝てるわけがないのは、ベトナム戦争で随分勉強してきたはずのアメリカなんだが、まあ、アメリカ人の学習能力の低さなんだろうなあ。

 クルド人やスペインのカタルニア独立投票なんてのも、世界を動かしているもののひとつなんだろうけれども。

 まあ、そんなこんなのすべての世界の動きの中心がドイツやフランスを軸にして動いているんだなあ。って考えると、なんか国際政治ってものが見えてくるっていうか、なんかむなしくなってきますね。

 ましてや「コップの中の嵐」をしょっちゅうやっている極東の国にいると特にね。

 まあ、現代世界の歴史をもう一度お勉強しましょうっていう風に考えた時には、オススメ本ではありますが、だとしたら山川出版社あたりの「世界史」教科書なんかの方が読みやすくていいかもしれない。

『第一次世界大戦 忘れられた戦争』(山上正太郎著/講談社学術文庫/2016年12月1日刊)

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