フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 東京いい道、しぶい道 | トップページ | 『アマゾンジャパン「日販バックオーダー発注」停止の真意』 »

2017年5月27日 (土)

『アップル帝国の正体』は見えた。しかし……

 本書が発刊されたのは2013年のことである。

 アップルのカリスマ的指導者にして経営者であったスティーブ・ジョブズが亡くなって既に2年が過ぎて、それでもいまだにアップルは勝ち続けているのだろうか?

『アップルは、もうあのジョブズがいたころのアップルではないのではないか──。  それは、その取材で会う人会う人から痛感させられた普遍的な「共通項」だった』

『ジョブズのいなくなったアップルは、断トツ抜きん出た存在から徐々に、しかし確実に、「普通に良い」企業へと変貌しつつある。
 少しでもコストの安い商品が勝つことが常識だったIT・家電産業において、アップル製品が、高価でも若者が飛びつくような魅力を生みだせた理由は、流行に左右されることのない圧倒的に美しいデザインと、ガラスや金属などが醸す上質な素材感だった。
 そのデザインを実現させるために、アップルはアジアの国々に散らばるメーカーを丹念に調べ上げることを厭わなかった。時にはベンチャー企業や、地方の零細企業まで探し出し、妥協なきハードウェアを作り上げることへの執念を見せつけた。手を組んだメーカーの技術や生産能力、コスト構造も完全に調べ尽くして、コスト管理を徹底した』

 つまりそれは「いまやアップルは普通の企業になった」ということなのだろう。

「今、アップルには、自分のキャリアに箔をつけるために履歴書に『アップル』と書きたいような人がたくさん集まってきているんです」

 というような証言が現地アメリカでも言われているのである。

Photo 『アップル帝国の正体』(後藤直義・森川潤著/文藝春秋社/2013年7月20日刊)

 本書の構成は以下の通り。

プロローグ アップル帝国と日本の交叉点
第1章 アップルの「ものづくり」支配
第2章 家電量販店がひざまずくアップル
第3章 iPodは日本の音楽を殺したのか?
第4章 iPhone「依存症」携帯キャリアの桎梏
第5章 アップルが生んだ家電の共食い
第6章 アップル神話は永遠なのか
エピローグ アップルは日本を映し出す鏡

 アップルが特別な存在だったのはいつ頃のことだったのだろう?

 1976年にスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックのふたりのスティーブによって生まれたアップル・コンピュータ。1985年にジョブズが追放されて1997年に復帰するまでは、マイクロソフトとは異なるOSを提供する、まさしくコンピュータ・メーカーだった。それも、自社工場でそれを製造することを第一義とした。

 それが変わったのが2001年のiPodであり、2007年のiPhoneであり、そしてまさしく正しい意味でのハンドヘルド・コンピュータであるiPadの登場だろう。

 つまりそれ以降のアップルは

『そして、巨大な自社工場を自前で抱えてこそ一流のメーカーなのだ、という固定概念を大胆にも捨てた。本社(だけ)は米国にありながら、世界中から部品を取り寄せて、それをコストの安い中国の巨大な工場群で組み立てた』

 というビジネスモデルを持った企業に変貌したのである。当然、日本の企業だって世界を相手にしなければ戦えない。戦えない以上は、そこにアップルという巨大なエコシステムを持った企業があれば、それとは付き合わざるを得ない。付き合う以上は、そんなグローバル・システムの中での戦いを余儀なくさせられる。そんな戦いを余儀なくされれば、当然そこには優勝劣敗のカンニバリズムが待ち構えているのであって、そこで自らが生き延びる方法を否でも模索し続けなければならなくなるのだ。そこで自ら新しい結論を見出せなければ、その企業は歴史から消えざるを得ないという資本主義の論理が待っているだけだ。

 問題は結構単純なんだ。グローバリズムっていうのは、ごく単純な資本の論理であるにすぎない。

 アップルもiPad、iPhone、iPodを生み出す前は「ちょっとイカしたコンピュータを作る会社」として、一部のマニア受けするメーカーでしかなかった。当時、OSはマイクロソフトがWindowsを提供し始めて、Mac OSも優勝劣敗の中でもがき苦しんでいたのである。現在の(いや「ちょっと前の」か)独り勝ち状態では決してなかった。つまりそんなグローバル経済戦争の中でアップルももがいていたのである。そのアップルがその後、一人勝ち状態になり、それまでお手本としていたソニーなどの日本メーカーを逆に飲み込んでしまってきたのもご存知の通りである。

『アップルの真の強みは、本来は、数字やデータなどの計算式では測ることのできない、市場が想定できないイノベーションの力にあったはずだ。しかし現実には、13年夏にも発表される新製品の投入を待たずして、こうした策が発表されたことが何よりも神通力の喪失を裏付けているのではないだろうか。 「アップルはもはや普通の会社になってしまった」  業界ではこうした声が当たり前のように語られるようになった』

 そのアップルにしてもジョブズ亡き後はこんな様子である。じゃあ、それに対抗して日本のメーカーが再興するのだろうか。

『この帝国(アップル:引用者注)を取材しながら、その支配力の根源にあると感じたものがある。
 それは次々と登場する新しい製造技術からソフトウェアの新潮流まで、貪欲に吸収しつづけることで、世界中をカバーする素晴らしい情報ネットワークを築いていることだ。  これは一つの「インテリジェンス(知性)」と言ってもいいかもしれない。
 その欠落こそが、日本の家電メーカーがめまぐるしく移りゆく家電・IT産業やビジネスのルールチェンジについていけず、凋落の道を辿っている理由ではないか』

 まあ、結局は日本のメーカーはいち早くアップル化現象を経験してきて、その結果を自らの再興に生かすことができないでいる。である以上は、いまや中国や韓国のメーカーに勝つ方法は既にない、ってことになるんだろうか?

『アップル帝国の正体』(後藤直義・森川潤著/文藝春秋社/2013年7月20日刊)

« 東京いい道、しぶい道 | トップページ | 『アマゾンジャパン「日販バックオーダー発注」停止の真意』 »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/65314977

この記事へのトラックバック一覧です: 『アップル帝国の正体』は見えた。しかし……:

« 東京いい道、しぶい道 | トップページ | 『アマゾンジャパン「日販バックオーダー発注」停止の真意』 »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?