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2017年4月 5日 (水)

『グローバリズム以後』

 2016年1月12日の一般教書演説でオバマ大統領が「(第三に、)世界の警察官としてではなく、どのように世界をリードし、アメリカの安全を守っていくか?」と発したとき、我々はアメリカ帝国の終焉がやってきたことを思い知らされたわけであるが、その後、トランプ氏がアメリカ大統領になって、完全に帝国の終焉を確認したのである。

Photo 『グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命』(エマニュエル・トッド著/朝日新書/2016年10月30日紙版刊・2016年10月31日電子版刊)

『1998年と2016年の間に私たちは、グローバリゼーションが国を乗り越えるという思想的な夢が絶頂に上り詰め、そして墜落していくのを経験したのです。それは、一つの国(ナショナル)というよりむしろ帝国(インペリアル)となった米国に主導されながら進んでいきました』

『2016年、米国は疲れています。停滞に、そして長く続く賃金の中央値の低下にも疲弊しています。自分の社会の中の不平等が拡大して破壊的な影響をもたらしつつあることを自覚しています。雇用される人たちにとっては、2008年の景気後退から米国は本当には回復していないのです』

 一方、ヨーロッパはどうなったかと言えば……

『2016年、欧州は危機に陥っています。他のパートナーたちよりも経済的に強いドイツはEUの主導権を握っています。しかし、自身は、数十年にわたるとても低い出生率の結果、人口という点で歴史上前例がない深刻な危機にさいなまれています』

『同じように人口の問題に直面しながら、高齢化と人口減少を受け入れている日本とは逆に、ドイツは、自分とは文化的にかなり違う国々からの大量の移民に門戸を開くという選択をしました』

『西欧は、経済と同じくらい政治、イデオロギーでも消耗しています。理想化された資本主義と民主主義を世界に広めるというグローバル化の夢、フランシス・フクヤマが言うところの「歴史の終わり」は、今日はるかに遠いように思われます。中東は、民主化どころか国家の解体の中にいます。中国は、開放どころかおびただしい腐敗が吹き出しています』

 ロシアやアジアはどうなんだ?

『2016年、ロシアは今、その帝国としての地位を失ったとしても、国としてほぼ回復しています。その政治システムは、石油価格の下落にもかかわらず、みごとに安定しています。その軍事機構は、核戦力についても通常戦力についても再び組織化されました。ロシアは、そのナショナルな空間にクリミアを再統合し、米国を恐れることなくシリアに介入しました。死亡率はまだ高いけれども、下がっています』

『日本は、安定していますが、老いつつあります。そして、安定しているけれども疲れている米国、安定しているが縮んだロシア、解体しつつある欧州、次第に不安定になっていく中国が形作る新しい世界の中で、自分の道を見つけなければなりません』

 というのが2016年から2017年にかけての世界展望だろう。本書は1998年から2016年にかけて朝日新聞によるエマニュエル・トッドへのインタビューから構成されているのだが、まあ、なかなか2017年の現在を言い当てているなあという感じはする。

 で、エマニュエル・トッドは日本に対してこんな提案をするのだ。

『日本に「核武装」を勧めたい』

 う~ん、なんてことを言うんだろう。

 まあ、最早「世界の警察官」ではなくなったアメリカと日米軍事同盟を保っていくというのは、実は現実的ではないというのだろう。

『核兵器は偏在こそが怖い。広島、長崎の悲劇は米国だけが核を持っていたからで、米ソ冷戦期には使われなかった』

『イランも日本も脅威に見舞われている地域の大国であり、核武装していない点でも同じだ。一定の条件の下で日本やイランが核を持てば世界はより安定する』

 それは確かにそうなんだろうけれども、なかなかそうはいかないんだよなあ。

『北朝鮮より大きな構造的難題は米国と中国という二つの不安定な巨大システム。著書『帝国以後』でも説明したが、米国は巨額の財政赤字を抱えて衰退しつつあるため、軍事力ですぐ戦争に訴えがちだ。それが日本の唯一の同盟国なのです』

「日米軍事同盟の維持」と「集団的自衛権」をアメリカと組んでいる以上は、これからは却って日本がアメリカによって戦争に巻き込まれる可能性が高まるってことなんだろう。

 とは言うものの、「唯一の被爆国」という、いささか被害妄想の「思い込み」をしている日本人の核アレルギーはいまだに払しょくされていない(あれだけ原発を持っているのにね)ので、なかなか核兵器保持に対しては、まだまだ国民の抵抗はありそうだ。

 しかし、世界情勢とりわけアメリカと中国との関係論においてはこうなる。

『なるほど日本が現在のイデオロギーの下で核兵器を持つのは時期尚早でしょう。中国や米国との間で大きな問題が起きてくる。だが、日本が紛争に巻き込まれないため、また米国の攻撃性から逃れるために核を持つのなら、中国の対応はいささか異なってくる』

 ここは難しい判断だなあ。政治力のバランスという考え方で言えば、当然、中国、北朝鮮が核武装をしている以上、日本だって(現実的には確実に潜在的核保有国になっている以上は)核武装をすべきなんだってのは理解できるんだけれどもね。

『核を保有する大国が地域に二つもあれば、地域のすべての国に「核戦争は馬鹿らしい」と思わせられる』

 まあ、結局アジアの繁栄と安全のためには日中韓三国(+印)がいかに(核武装をするとかしないとかは別にして)協調体制を取っていくのかがテーマなんだろう。勿論、三国間の歴史認識は全く異なるし、経済体制・政治体制もまったく異なる。しかし、基本的に国境を挟んだ隣国とは、「基本的に緊張感を持った友好態勢」を持つことがヨーロッパでは当たり前だし、日本もそんな「世界の常識」を持って隣国と接していくべきなんだろうな。

 無限定の(ズブズブの)友好関係なんてものはないんだから。

『グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命』(エマニュエル・トッド著/朝日新書/2016年10月30日紙版刊・2016年10月31日電子版刊)

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