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2017年1月30日 (月)

「出版不況」って何なんだろう

『創 2017年2月号』は毎年恒例の「出版社の徹底研究」だ。

Photo 『創 2017年2月号』(創出版/2017年1月7日刊)

 特集は「出版ニュース」編集長の清田義昭氏、筑摩書房顧問の松田哲夫氏、『創』編集長の篠田博之氏による鼎談『書店・取次の倒産相次ぐ 深刻不況・出版界の危機』なんだが、なんかちょっと他人事みたいな感じだ。

篠田 その流れ言うと、この正月には書店店頭を活性化させようとして、従来は休みだった流通を動かしてたくさんの雑誌を増刊別冊として売ることになっています。日本雑誌協会が音頭をとって、大手出版社の販売担当は相当盛り上がっているようです。正月に雑誌の新しいものが全く市場にないのは何とかなからいかと2~3年前から言われて、2016年の正月は幾つかの週刊誌がセブンイレブンで特別号を出したのですが、それが17年はかなりの規模で行われることになった。
 これも雑誌の落ち込みを何とかしたいという業界の危機感の現れですね、雑誌市場の落ち込みはこの何年か深刻で、出版界全体の大きな問題になっています。何しろ10年ほど前と比べると市場規模が半減していますからね。
松田 確かに雑誌が全体ではものすごい落ち込みなわけだけれども、例えば『週刊文春』のようにスクープを連発させると部数も伸びる。スクープで勝負する週刊誌が少なくなった分、情報を独り占めできるというメリットもある。『週刊文春』がやっぱりすごいと思うのは、取材をきっちりやっているでしょう。スキャンダル・ジャーナリズムとしてはある意味本気でやっている。いま『週刊文春』は一強ですよ』

 というのはわかるんだが

清田 雑誌部数の公査機関であるABC協会は、年に2回、雑誌の平均実売部数を発表していますが、1~2年前から電子版の部数と、最近は「読み放題」サービスで読まれた数も出しているんです。それを見ると、紙の雑誌よりも読まれているものもあるんですよね。例えば『SPA!』は紙の雑誌の実売が5万6000なのに、読み放題では12万ですよ。
 だから、ある書店の人が言っていましたけど、dマガジンというのは麻薬なんですって。今は伸びているし、記事を提供している側も喜んでいるが、長期的に見れば紙媒体が影響を受ける。気がついた時にはどうしようもなくなっている。
松田 みんながスマホで雑誌記事を読むようになると、紙の雑誌が売れなくなると心配する人もいるし、逆にウェブで面白い記事を見て、紙の雑誌を買ってくれる人もいるという可能性もないではない』

 というのを読んでみると、なんか筑摩書房の顧問という現役を退いた人の方が、状況をよく見ているような気がする。つまり、今は電子出版に積極的に取り組む時期であり、電子出版の波に乗り遅れた出版社は、いずれなくなる出版社だということ。

 その他の特集は『巨艦・講談社が試みる紙と電子の様々な模索』『書籍好調、小学館の組織改編と新たな船出』『「コミック王国」集英社の雑誌をめぐる新たな試み』『新潮社が取り組む新潮文庫の抜本的見直し』『『週刊文春』健闘、文藝春秋の次なる課題』『「雑誌王国」健在! マガジンハウスの今後』『光文社の経営支える女性誌が迎えたの転機』の6本。

 ところで、この6社のうち『巨艦・講談社が試みる紙と電子の様々な模索』と書かれた講談社が、多分一番「本の電子化」について積極的だろう。昨年あたりから「紙と電子書籍雑誌のサイマル化」というものを実現しつつある。

『吉村浩販売局局次長兼デジタル第一営業部長に話を聞いた。
 講談社ではコミックだけでなく全ての雑誌を紙と同時に電子でもサイマル(同時)配信するという方針を掲げている。
「全雑誌をサイマル配信していると言ってよいと思います。読者の選択肢を増やすという考え方で可能な限り対応しようということですね。
『クーリエ・ジャポン』のように、紙の雑誌をやめて電子だけにしたものもあります。2月から始めたものでまだ黒字化には至っていませんが、計画通り会員数も増えています。月額980円で課金し、情報は毎日更新していきます。こいうビジネスが成立するのも紙の雑誌を出してきて培った信頼性があるからだと思います。
 紙の雑誌もそえぞれウェブサイトを持っており、『フライデーデジタル』や『週刊現代オンライン』のように課金しているものもあります。
『週刊現代』などの情報はそのほか『現代ビジネス』というニュースサイトでも配信しています。こちらは無料のサイトで、広告モデルですね。オリジナルな情報もたくさん出していますが、文字量が多いわりにアクセスが多いことで知られています。コストを抑えて運営していることもあって、既に利益も出しています。
 デジタルのみの配信を行っているのは40代女性向けの『ミモレ』もあります。コアなファンがついており、アンケートを実施すると1000人くらい答えてくれています。40代女性は可処分所得も高いし、広告収入モデルで十分やっていけると見込んでいます。
 デジタルコミックは好調で、11月は対前年比で175%という高い数字をあげています。電子の実の配信を行っているものもあり、例えば6月に立ち上げた『ハニーミルク』はライトBLと呼ばれるジャンルのコミック誌です。デジタルだけのものは他にも『姉フレンド』とかいろいろあります。刺激的な女性向けのコミックは電子が伸びると言われますが、特にBLのようなものは電子がよく売れますね。『ヤングマガジン』が運営している『eヤンマガ』なども男性だけでなく女性もよく見てくれています。
 電子の場合、ひとつの作品がヒットすると、同じ作者の過去作もすぐに見られていくという特徴があります。例えば『eヤンマガ』で人気に火がつき紙のコミックスも売れている『食糧人類』という作品から、『アポカリプスの砦』という作品につながって読まれるようになりました』

 この『ひとつの作品がヒットすると、同じ作者の過去作もすぐに見られていく』という特徴こそは電子出版ならではの「ロングテール」現象なんだろう。

 その結果なんだが、11月決算の講談社の場合、昨年度は増収総益で、今年の1月には全従業員に30,000円の一時金が出たそうだ。まあ、30,000円が多いのか少ないのかは別として、昨年は特別なミリオンセラーが出たわけでもないし、特別な大ヒット雑誌があったわけでもない講談社が増収増益決算というのは、やはり電子の貢献が多いのだろう。その電子なんだが講談社の場合、売り上げが155億円あったそうだ。つまり総売り上げの10%ほどが電子出版なんだから、やはり早めに電子出版に取り組んでいたのが功を奏したということが言えるんではないか。

 講談社は2月末には株主総会があるので、そこでどんな発表があるのかが気になる。その時は、またご報告をします。

 多分、講談社同様積極的に電子出版に取り組んでいるKADOKAWAあたりも同じような結果になっているのではないだろうか。

 つまり、電子出版に取り組んでいない会社ほど「出版不況」なんて使い古された言葉を使いたがっている、っていうことなんだなあ。

『創 2017年2月号』(創出版/2017年1月7日刊)

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