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2016年11月29日 (火)

『さらば白人国家アメリカ』はトランプ大統領を予言したのか?

 本書は2012年12月から2016年8月までのウェブマガジン「クーリエ・ジャポン」に連載していた「USニュースの番犬」を加筆しまとめたもの。

 ということは、その当時から町山氏は「トランプが民主党のヒラリーとの本選に勝てるとは思えない」と書きながらも、どこかでドナルド・トランプがアメリカ大統領選で当選する可能性を見ていたのだろうか。つまり、アメリカに蔓延しているポピュリズムってことなんだけれどもね。

Photo_2 『さらば白人国家アメリカ』(町山智浩著/講談社/2016年11月1日刊)

 つい先頃のアメリカ大統領選でのディベートは史上最低のディベートだった。ヒラリー・クリントンもドナルド・トランプも自らの政策については全く語らずに相手の失策や悪罵の言い合いに終始し、これではまったく大統領選の論戦になっていないじゃないかと、ここ日本でこの論戦を見ていた私たちまでがっかりしてしまった。

 あの民主主義と資本主義の先生であるはずのアメリカはどこに行ってしまったんだろうか。

『トランプの政策は独特だ。移民取り締まりと銃の所持の自由については、他の候補よりも過激に主張した』

『オバマ大統領が実現した国民皆保険制度を、共和党は撤廃することを党是としているが、トランプは「もっと自由で安い国民皆保険制度にする」と提言した。これはトランプのほうが現実的だ。オバマケアのおかげでやっと保険に入れた貧困層から再び保険を取り上げたら、共和党は二度と政権を取れないだろう』

『メディケア(高齢者向け医療補助)とソーシャル・セキュリティ(社会保障、いわゆる年金制度)。共和党はこれを連邦政府が税金で運営するのではなく、民営化しようとしている。それは国家の義務である国民の福祉の放棄だ。トランプは、この二つについては「手をつけない」と明言した。一般の庶民が必要としているからだ』

『トランプはウォール街にも規制が必要だと言っているし、自由貿易にも反対している。特に、カナダとメキシコとの自由貿易圏を作ったNAFTA(北米自由貿易協定)を激しく攻撃している』

『ブルーカラーは共和党の政策でどんどん生活が苦しくなったが、それでも、共和党に投票し続けた。減少する一方の白人とキリスト教徒と銃を持つ自由を守ってくれると約束してくれたからだ』

 トランプはニューディール政策にも似た公共投資も公約している。なんだ、それは民主党の政策じゃないか。

『トランプはエスタブリッシュメントこそが敵なのだとブルーカラーの人々を目覚めさせた』

 というのはいいけど、結局それは何も約束していないのと同じなんだよな。

『ニクソン以降の共和党は「世界の警察」として外国に積極的に軍事介入してきたが、トランプは日本や韓国やNATOを守ってやる必要はないという。日本に対して貿易赤字があるのに、なぜアメリカの税金で日本を守ってやるのだ? と。それは南部や中西部に住む庶民の感覚に近い。彼らは軍隊に入らない限り、一生外国に行くことはない。なにしろパスポートの所有率が20%しかないのだ。国際安全保障の必要性など感覚的に理解できない』

 そうかアメリカの国民はパスポートの所有率が20%しかないのか。まあ、確かにアメリカから団体旅行で日本に来ている連中なんか見ていると、まず日本語をしゃべろうとしないばかりか、英語(米語)が世界中で通用する言語だった思っている連中ばっかりなのだ。彼らにとっては「アメリカン・スタンダードがワールド・スタンダードだ」ということなんだなあ。まあ、アメリカの野球の選手権を「ワールド・シリーズ」って言っちゃう連中なんだもんな。

 つまり、こうしたトランプの姿勢は『あくまで白人ブルーカラーに迎合しているだけで、トランプ自身は何も真剣に信じていない』っていうだけで、もっと怖いのは……

『トランプはさらに5000万ドルをつぎ込んでプラザを改装したが、90年代前半は世界的に景気が悪く、プラザの経営も赤字が続いて破綻し、95年に買値より安い3億ドルで手放すことになった。
 つまずきは続いた。ニュージャージーのフットボール・チームを所有して、NFL(全米で最上位のプロアメリカンフットボールリーグ)と対抗するアメフトリーグを作ろうとしたが失敗。トランプシャトルという飛行機会社を設立して失敗。ニュージャージー州のカジノの街、アトランティック・シティでカジノ・ホテルを開いて失敗。こうしてトランプの会社は94年前後に4回も破産した。
 もちろん破産したので、負債は払っていない。それを指摘されたトランプは「自己破産という法律があるから、それを利用しただけだ」と開き直っている。だからトランプが大統領になると危険だといわれている。何度も借金を踏み倒しているから、それを国家規模でやるんじゃないかということだ 』

 う~ん、オバマ政権の時にもアメリカ国債がデフォルトの危機に陥ったことがあるが、今度は本当にデフォルトさせてしまうかもしれない。

『共和党の他の候補者たちは、トランプの政策に整合性がなくてデタラメだと批判したが、有権者の多くは細かい政策の良し悪しはわからない。ただ、「白人ブルーカラーの味方かどうか」だけが問題なのだ。そのように人種や民族など属性だけにアピールする政治をアイデンティテイ・ポリティックスと呼ぶ』

 アイデンティティ・ポリティクスなのかどうかは分からないが、確実にポピュリズムの方向へ向かってアメリカは進んでいくだろうし、共和党のエスタブリッシュメントがトランプを抑えようとしても、トランプを支持したアメリカの大衆がそれを阻止するだろう。

 最早「アメリカにつける薬はない」というような状態で、このまま世界の大田舎者国家アメリカが、優秀な指導者を失ってしまって、内に籠る国になったしまうんだろうなあ。

 ただし、第二次世界大戦より前の時代のアメリカは、かの「モンロー主義」の国であったし、外国に干渉しない代わりに、外国からも干渉されない国として運営されていた。その内、イギリスやフランス、ドイツといった大国からの影響を受けて、いつまでも一国主義ではいられないとなって、第二次世界大戦からは積極的に外国と関わってくるようになり、第二次世界大戦が終わってみれば、その過剰な外国との関りが逆に相手国から「干渉しすぎ」ってな反発を受けるようにもなったわけだ。

 そんな意味では、トランプが大統領になるアメリカは、言ってみれば第二次世界大戦前のアメリカに戻っただけ、とも言えないこともないが……、じゃあ今度は第三次世界大戦がおきるのか? といった懸念もないわけじゃない。

『さらば白人国家アメリカ』(町山智浩著/講談社/2016年11月1日刊)

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