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2016年10月12日 (水)

『武器としての人口減社会』を実現することの難しさ

 さすがにOECDの職員だけあって、豊富な資料を添えた論議はたいしたもんだが、実はその資料はほとんど見ていないのですね。

 まあ、電子版では見にくいってのもあるけれども、結局はそうした資料を駆使して説明する村上氏の「論」の方が重要だってことで、ヒラの文章の方だけを読んで、これを書いています。

Photo 『武器としての人口減社会 国際統計比較でわかる日本の強さ』(村上由美子著/光文社新書/2016年8月20日紙版刊・2016年9月9日電子版刊)

 でも、結局はこの結論に行きつくんだよなあ。

『少子高齢化を経済成長のプラス要因として、そしてビジネスの相対的優位性として利用するための条件を揃えている国は、日本以外にほぼ皆無と言っても過言でありません。テクノロジーが人間の仕事を奪うことを歓迎できるのは、ほぼ完全雇用状態である日本に、深刻な労働力不足という追い風が吹いているからです。
 テクノロジーと協業できる人材を育成するために必要な、世界トップレベルの教育とスキルを有した人的資源が、日本にはあります。中高年齢層のスキルレベルは特に高いので、再訓練を受ければ新たなスキル取得は充分可能でしょう。日本人女性は男性同様、世界トップレベルのスキルを有しているので、彼女等の経済貢献には大きな伸びしろがあります。このように恵まれた人的資産の有効活用と、テクノロジーによる自動化、効率化の促進を同時に進めていくことで、長年低迷してきた生産性を向上させることができるのです。これは、人口減少から生まれる危機感と必要性がない他の国々にはできないことかもしれません。まさに、今の日本だけが有しているチャンスなのです。
 優秀な人材を有効活用するためには、労働市場の流動性を向上させ、年功序列に代わる成果主義の導入を中心にした雇用慣行の見直しが必要になります。失業が増えることはもちろん好ましい状況ではありませんが、セカンドチャンスが可能な社会を促進し、転職がむしろキャリアアップになりえる環境を構築していくことで、雇用主側も労働者も、より多い選択肢を享受することができます。すでに高度な日本の教育システムに、主体的な問題解決能力を強化する訓練を加えれば、まさに〝鬼に金棒〟といった人材が輩出できるはずです。そんな日本人は自らリスクをとる能力をつけていくでしょうから、それがイノベーションの種から大きな果実を実らせることになります。イノベーションの起こる社会では、経済全体の生産性が押し上げられるのです』

 イギリスのEU離脱に関しても……

『多くの英国労働者がグローバリゼーションの波に乗れなかった最大の理由の一つは、新たなスキルを習得し、セカンドチャンスをつかむことができなかったことでした。そして、日本においても、格差社会を阻止するために最も重要なのは、セカンドチャンスが可能な環境です。本書で述べたように、日本ほどセカンドチャンスをつかむための人的資源に恵まれた国はありません。後は、それを促進する社会システムを工夫するだけです。英国のEU離脱から日本が得た教訓は、非正規と正規労働者、女性と男性、若年と高齢者、これらの格差を一刻も早く是正し、社会の断絶を避けなければならないということです』

 テーマは「若年と中高年齢層」「女と男性」「非正規と正規労働者」などの格差を一刻も早く是正し「セカンドチャンス」が可能な労働環境と労働市場を整備しなければならない、っていうことなんだけれども、実はそれは皆「アタマ」ではわかっていても、下半身がそれに同調しないっていうか、そのための行政改革が進んでいない、規制緩和が進んでいないっていことなんだな。

 実はそれも「アタマ」ではわかっていることで、これについても下半身がそれに同調しないっていうことが一番の問題なんだ。

『世界的な生産性の低迷は、イノベーションの低迷を意味するわけではないことがわかります。つまり、生産性向上の鍵となるイノベーションが生まれても、その恩恵に与れるのはグローバルに事業展開をしている一部の先進的企業のみという状況が、経済全体の生産性の底上げを困難にしているのです。イノベーションの種は数多く芽生えますが、それを育て、生産性向上という果実にすることができる企業が極めて少数であるため、“The Winner takes it all”(勝者がすべて奪う)という現象が起こっていると考えられます』

『日本ではイノベーションが生まれないのではなく、生まれたイノベーションが拡散するメカニズムがうまく機能していないために、その恩恵が経済全体に行きわたらず、生産性の向上につながっていないのではないでしょうか』

『商品を市場に導入した企業の割合が、製造業で約13%、サービス業では7%と非常に低いレベルにとどまっています』

『日本はUNCTAD(国連貿易開発会議)が発表した「外国からの直接投資を受けるポテンシャル・インデックス」で、世界10位につけています。
 それにもかかわらず、海外から日本への直接投資は2008年以降、ずっとGDPの4%を下回っています。これはOECD加盟国中最も低い割合です。さらに、日本から海外への直接投資のストックも、わずか23%程度にとどまっています。他のG7諸国(米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ)の割合は80%を超えるところもありますから、これは相当低いことがわかります』

『この一因は、日本の貿易と投資に対する障壁の高さにあります。例えば法人税率の高さ、M&Aが起こりにくい制度、コーポレートガバナンスの導入の遅れ、言葉や文化の壁、労働 市場における流動性の欠如、外国人労働者に対する規制などが考えられます。
 生産性の高い企業が市場に参入し、低採算、非効率な企業は市場から退出することが、イノベーションを拡散させるために必要不可欠です。しかし、政府の中小企業への手厚い保護とは対照的に、スタートアップ企業に対する民間投資は、欧米と比較すると低い額にとどまっています』

 まあ、過剰なまでの政府による産業保護が問題なんだ。すでに市場価値を失った企業はどんどん社会から消え去っていただき、新たに生み出された産業を伸ばしていく、という方法をとならければ、これからのグローバリズムの中を生き抜いていくのは不可能なのに、いつまでも昔の製造業にたよって国の産業を伸ばしていこうという無理があるんだなあ。

 それは一種の既得権益だから政権と繋がって構造改革の足枷になっているわけなのだけれども、そんなものはぶち壊さないと、日本のこれからはありえない。

 ということは安倍晋三氏も「アタマ」ではわかっているんだが、下半身がそれについていけてない。

 政府がこの9月12日に発足させた「規制改革会議」で果たしてどんな規制緩和ができるのかが楽しみではあるけれども、実は規制改革・規制緩和ってこれまでも何度も提唱されているが、結局、常に竜頭蛇尾に終わっているのだ。

 まあ、自民党の議員がどれほど規制緩和が重要なのかを自覚していない、ってのが問題なんだなあ。

『武器としての人口減社会 国際統計比較でわかる日本の強さ』(村上由美子著/光文社新書/2016年8月20日紙版刊・2016年9月9日電子版刊)

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