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2016年9月 6日 (火)

映画『後妻業の女』は、もう一つの『後妻業』だ

 私が以前の付き合いの結果として、今でも受信している映像ソフト協会のメルマガの記事。

『comScoreが、2016年7月のデジタルメディア消費時間の50%がスマートフォンのアプリ利用に占められたと発表 したそうです。タブレットのアプリ利用時間も加えると全体の59%になるそうです。これはPCの利用時間も含めて6割近くがアプリ利用となっているということですので、既にデジタルメディアの中心がウェブではなくなっているということですね。Googleが、検索アプリや地図アプリをリリースしていたのも、こういった時代を予測していたからなのでしょうね。
 最も利用されているアプリのランキングでは、FacebookとFacebook Messengerが1位2位を占め、YouTubeが3位となっています。これにGoogleのアプリが続いています。
 このランキングの新顔として、注目されているのはやはり「Pokemon Go」のようです。日本では、早くも飽きられたという声もありますが、「相棒ポケモン」機能の追 加など利用者離れの防止にも努めていくようですね』

 そうか、そうなると最早「Web 2.0」の時代は終わって、いまさらパソコンを使って情報発信をするっていうのは時代遅れっていうことなんだろうか。

 しかし、自ら情報発信をするっていうのがWeb 2.0じゃなかったんだろうか。タブレットやスマホで情報を受けて、短い文章だけで返していくっていうのは、なんか時代が前に戻ってしまうような気がするんだがなあ。

 というのはいいとして、「脚本&監督」の鶴橋康夫っていうと、私にとっては忘れられないのが、作家の故・野沢尚氏なんだなあ。

Photo 『後妻業の女』(黒川博行:原作/鶴橋康夫:脚本&監督/制作:東宝映画・ROBOT/製作:東宝・毎日放送・朝日放送・関西テレビ放送・読売テレビ放送・電通・WOWOW・文藝春秋社・朝日新聞・日本出版販売・GYAO・ROBOT・時事通信社)

 野沢氏と私が組んだのは、まだ野沢氏がシナリオライターだったころに作った映画『課長 島耕作』(ええ、ええ。あのトシちゃんとトヨエツが共演した、噴飯ものの『課長 島耕作』ですよ)だったのだが、あのころから野沢氏は「自分は鶴橋学校の生徒だ」を自称していて、「今度鶴橋さんの作品を書くんですよ」と、楽しそうに話をしていたことを思い出す。

 そんな鶴橋康夫という人は、中央大学法学部を出て読売テレビに入社して、一貫してドラマ畑で仕事をしてきた人。ただし、最初は中央大学法学部出身者らしく新聞記者志望だったそうだ。しかし、先輩の新聞記者からはテレビへ行けと勧められて読売テレビに入社。そのまま東京制作部でドラマ畑へ配属となり、最後までドラマディレクターを担当していた。

 まあ、先輩の新聞記者は鶴橋氏のどこの才能に「こいつドラマ屋や」っていうのを見ていたのか知らないが、読売新聞系の会社に入ってドラマを作るというのは、結果としていい選択肢だったんだろう。つまり、読売新聞は伝統的に社会部が独立して強い会社で、というか政治部は基本的に正力松太郎だから完全に自民党右派とツルんでいる状態だから、基本的に記者が勝手な動きはできない構造になっているのに比して、社会部は結構勝手に動ける態勢になっている会社なんです。

 で、そんな読売テレビで鶴橋氏は次第に本領を発揮して、どんどん「社会派ドラマ」の傑作をモノしていくわけなのだ。

 1982年、芸術選奨新人賞(放送部門)受賞、他1980年代にはギャラクシー賞も受賞。2005年、『砦なき者』により芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2007年、紫綬褒章受章。2013年、旭日小綬章受章とまあ、とにかく賞の数は限りなく多い。で、その鶴橋氏が76歳にして手掛けたのが「後妻業」ってわけだ。

 勿論、原作として黒川博行氏の小説がある以上は、それと同じモチーフは持っている。というか「後妻業」について書かれた小説はこれしかないもんね。

 しかし、小説は読み終わるまで4時間以上はかかるという代物。当然、映画として2時間ほどの尺に収めるためにはいろいろ切り取らねばならない。

 小説版ではもうちょっと出番の多かった武内小夜子(大竹しのぶ)の何番目かの被害者、中瀬耕造(津川雅彦)の次女・中瀬朋美(尾野真千子)の友人の弁護士・守屋達朗(松尾諭)なんだが、映画版では興信所の本多(永瀬正敏)の紹介者っていうだけの立場になって、以降話は朋美と本多だけの関係で進んでいく。つまり、小説版では当初本多は守屋に使われている立場だったんだけれども、その内、「これは金になる」と踏んで柏木亨(豊川悦司)との直接交渉に進んでいくという構造になっていくのだった。しかし、映画版では朋美と本多だけの関係で、つまり単純に話は「金」だけになっていく。あくまでも弁護士を間に立てて進む小説版の「スジを通し、そしてそれを金の話に持っていく」っていう方向にはならないのだ。

 うーむ、これはうまい方法だなあ。しかし、ディテールにこだわる漫画家だとそうはいかないんだよなあ。まあ、小説と映画は違うっていうことを知っている小説家だからなあ。私も、こんなに物わかりのいい原作者と仕事をしてればなあ、なんて今更嘆き節を言っても意味はないなあ。

 で、小説版と映画版の一番の違い。

 なんと、小説版では弟の博司に殺されてしまう小夜子なんだが、映画版では殺してしまったというのは息子の博司(風間俊介)の誤解で、なんと深夜の巡回するパトカーの前で小夜子の息が吹き返してしまうんだ。トランクに積み込もうとしていた小夜子の死体を詰め込んでいたスーツケース。後ろから来た深夜巡回のパトカーに止められてしまう。これは危機一髪、という表情の柏木。

 が、いつの間にかコロコロ転がりだすスーツケース。

 これは怪しいと睨んだ警察官がスーツケースのキーを押すと……、なんとそこには普通に微笑んでいる小夜子が立ち上がる。

「えーっ? うっそー!」

 って小説版の読者からしてみれば考えるんだが、まあ、それはそれで映画のラストを飾るのにはふさわしい。

 本物の遺言書を手にして喜ぶ朋美とともに、多分柏木からの3000万円も受け取っただろう本多の前を、相変わらず「後妻業」に励む小夜子と柏木の乗った船が通り過ぎる。

 う~ん、映画のラストシーンはこんな感じじゃないとね、と鶴橋氏が言っているようだ。

 こりゃ、続編ができるなって、「東宝の島ちゃんや」って島耕作を自称している、島谷能成社長の言葉が聞こえてきた。まあ、京大出のコテコテの関西人やからねえ。

 で、鶴橋康夫氏って新潟の出身だったのね。てっきり名前から大阪の鶴橋(焼肉屋さんが多い大阪のコリアンタウン)出身だったと思っていた私はバカでした。

映画『後妻業の女』はTOHOシネマズ日劇ほか、全国公開中

公式サイトはコチラ

原作評の方もヨロシクね

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コメント

私のいた職場の先輩で、大学時代鶴橋さんと同じサークルにいたという方がいました。
非常に真面目でしたが、体育会系でもあったのですが、そのサークルは哲学研究会だったそうです。

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