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2016年7月 9日 (土)

『田中角栄と安倍晋三』って……比較にならないじゃん

「厨房男子」なのだが、7月9日から京都みなみ会館、7月16日から神戸市元町映画館での公開が決まったようだ。関西の方も見られるよになった。面白いですよ。

 で、それとは関係なく、本日の書評は『田中角栄と安倍晋三』なんだが、この二人を対比してもなあ……。

 結局、「アベノミクス3本の矢」も、「日銀の協力を得た金融緩和」だけはうまくいて「円安誘導」「株高」だけはうまくいったが、その後の「機動的な財政政策」は一時的なものだけでうまくいってないし、「投資を喚起する成長戦略」については規制緩和に関しては旧守勢力の抵抗でまったく手つかずだ。で、結局再び日本経済はデフレ基調になってきてしまっている。

 一方、『新たな3本の矢は(1)希望を生み出す強い経済(2)夢を紡ぐ子育て支援(3)安心につながる社会保障――の3項目。首相は「長年手つかずだった日本社会の構造的課題である少子高齢化の問題に真正面から挑戦したい」と意気込みを示した』というものの、もうほとんどの国民はそんなことは信じなくなってしまっている。

 もともと、安倍晋三は岸信介ゆずりの保守主義と国家主義しか政策の柱はないし、経済政策なんてものは基本的に不得意な分野であった。でも、いまや日本政治の喫緊の課題はデフレ脱却だし、まず政治課題を解決するのには経済が優先するということなので、アベノミクスなんていう不得意課題を提出してきたわけなのだけれども、それが既に手垢にまみれてしまった以上は安倍政権は退場すべきなんだけれども、まだ辞めずに、更には18歳以上参政権なんてものを出してきてしまうあたり、若者の「保守化」「国家主義化」というものを読んでいるんだろうなあ。

Photo 『田中角栄と安倍晋三 昭和史でわかる「劣化ニッポン」の正体』(保坂正康著/朝日新書/2016年6月30日刊)

 で、安倍晋三の政治姿勢ってどうなんだ。

『安倍は特定秘密保護法を制定し、集団的自衛権の行使を容認して安保関連法案を成立させた。日本の針路を右に向けて大きく舵を切った。こういう安倍の政策は、単に日本を旧体制に向きを変えるというだけではなく、それまでの日本の政治に対する公然とした挑戦であった。同時にこの挑戦は、これまで護憲勢力が一国平和主義の理論にどっぷりと浸かりすぎて、憲法の規定について何ら前向きな検討をしてこなかった間隙を巧みについている。いわばツケがまわってきたのだ。安倍に代表される右派勢力はその弱点を利用している。そのことは政界や世論を俯瞰して見ると一目瞭然だ』

『そもそも憲法は何度変えてもいいはずで、「平和のため」に大胆に変えるくらいの融通性を持たなければならない。それなのに護憲勢力は常に二の足を踏んできた。それによって平和主義者たちは右派に足をすくわれてしまった。見方を変えれば安倍首相は相手の弱点を読み、実に巧妙に解釈改憲、安保関連法成立に成功したことになる。背後のブレーンが知恵をつけているのだろう』

『このヘイトスピーチや偏狭なナショナリズムの持ち主は、やはり一国平和主義の精神と通じていることを私たちは知っておくべきである』

『ヘイトスピーチに走る若者やネット右翼の中にはワーキングプアと呼ばれ、低賃金に苦しむ非正規労働者が少なからず存在するとの分析がある。彼らが中国、韓国に憤りを感じて過剰反応する背景には、コミュニティで味わうべき心理が満たされていないとの事実があるからというのである』

『しかし組織を離れているとそうしたコミュニティの中で自らの意見を客観視する機会がない。そのため中国、韓国の行動や挑発がダイレクトに自分に向かってくるものだととらえ、これらの国々に反発を抱き、怒りを増幅させる。つまり不安定な生活や心理が過激なヘイトスピーチに向かわせるというのだ』

 まあ、そんなヘイトスピーチをする人間たちとかなり近しい立場にいるってのが安倍晋三なんだが、今はそんなことやっている場合じゃないでしょ。むしろ「経済優先」でもって政権運営をしなければならない時期じゃないのか。

『私たちはなぜ昭和史を大切にしなければならないのか。平成の時代にあってもなお、昭和史を語り継ぐことにどのような意味があるのだろうか。その答えは簡単だ。昭和史というのは天皇の在位が64年、実質的には62年と2週間だった。このわずかな間に私たちの国はテロ、クーデター、戦争、侵略、被占領、貧困など人類が時間をかけて経験してきたあらゆることを体験した。それによって日本人がどう変わったのか、これからどう変わっていくべきなのかが検証できる。昭和史の歴史的な重要性はこの点にあるのだ』

『田中はいわゆるエリートではなく、政・財・官のトライアングルの中に身を置いて政治資金を獲得するわけではなく、すべて自らの力でその資金を獲得して権力の頂点に立った。人心掌握には自らの地肌を顕にした。政策の上では、近代日本の最大の誤りである対中政策に、初めて終止符を打った。さらに「日本列島改造論」によって、この国の富を国民に分配するための独自の国家改造の方法論を示した。全体的にその政策は保守の主流を担ったが、憲法改正を始めとして大日本帝国への回帰とはみごとなまでに一線を引いた』

『安倍晋三首相は、岸の孫としての縁もあるのだろうが、その政治姿勢や理念に共鳴していることを隠さない。いわば岸の亡霊が、現代社会にあらわれているといってもいいのだが、この亡霊に抗するには「田中角栄」の系譜に連なる政治理念や政治姿勢を対立軸として据えてみるとわかりやすいのではないか』

『田中角栄は、金脈問題を質問されることをわかっていても、この特派員協会との記者会見に応じて、つまるところは墓穴を掘る形になった。田中の失脚はこのときから始まったといえるが、しかし田中は外国人記者に向けて、たとえ不利な状況になると予想されても受けて立ったのである。それこそが政治家の責任であろう。安倍首相がそのような責任を回避していることを考えると、そこには政治家としての姿勢に大きな開きがあると断言していいであろう』

『平成の首相は総体的に見て、昭和の首相と比べても器が小さく、政治思想も曖昧で、なにより人物の度量が「偉大な」という段階にはほど遠いように思うのだ』

『昭和の一時代を画した田中角栄を一方の極に据え、もう一方に平成を代表する形で安倍晋三を立たせてみる。田中のもつ指導者としての能力や度量、そして政策などすべてが安倍には欠けている。いや安倍だけでなく、平成のいずれの首相にもそのエネルギーは不足している』

「政治思想も曖昧で」って誉めすぎ。むしろ「政治思想がない」っていう位、政治に理想像を持っていないのではないか。

 その結果、祖父の思想をまねようとして国家主義に陥るわけであるが、その国家主義自体をキチンと理解しているとは思えないくらい、今の政権は「劣化」しているのである。

『田中角栄と安倍晋三 昭和史でわかる「劣化ニッポン」の正体』(保坂正康著/朝日新書/2016年6月30日刊)

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コメント

三本の矢の意味は理解できますか?
言葉とおりに解釈しているなら話すに値しませんけど。

昭和と平成を比較することに意味はありますか?
世論も論調も政局も違う現代、田中角栄が存在しうると思いますか?


これからも時はすぎるだけで。
正解は先でしかわからないと思います

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