フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« ほうろく地蔵と八百屋お七 | トップページ | とうがらし地蔵・西行寺 »

2016年6月25日 (土)

『パナマ文書』が炙り出すもう一つの問題

『パナマ文書』という本について書こうと思ったら、予想を覆していち早くイギリスのEUからの離脱が決まってしまった。まあ、だからといって即明日からイギリスがEUの一員でなくなってしまうわけではなく、2年間くらいの時間の猶予はあるようなのだが、『パナマ文書』が炙り出した問題は、実はこのイギリスという国の闇の部分との関連が非常に多いのだ、ということが本書を読むとよくわかる。

 なので、今日はこの「イギリス」という国を通して見た『パナマ文書』という方向から考えてみたい。

Photo 『パナマ文書 「タックスヘイブン狩り」の衝撃が世界と日本を襲う』(渡邉哲也著/徳間書店/2016年5月31日刊)

 まずは読書メモから。

『タックスヘイブンというものは、かつての覇権国家であったイギリスとその主要産業である金融を支える仕組みのひとつであった』

『日本人にはあまりなじみのないプライベートバンキングであるが、これは富裕層などの資産運用全般を請け負うものであり、簡単に言えば、証券業務から不動産売買まで行う日本の信託銀行のようなものである。
 日米では1929年の世界恐慌の影響で、銀証分離(商業銀行業務と証券業務を兼任できない)原則があるが、ヨーロッパではこの原則が採用されておらず、商業銀行が投資銀行業務や証券業務も行っているのである。そして、商業銀行が行う信託業務を「プライベートバンキング」と呼んでいる』

『シティはイギリスの国内自治領であり、一種の治外法権的地域になっているのだ。これこそが世界に存在するオフショアのモデルでもあるわけだ』

『今でもイギリスの金融センターは、言うまでもなくシティである。かつて大英帝国が「7つの海を支配する」「日の沈まぬ国」といわれた覇権国であった際、数多く有していた植民地や自治領におけるイギリス人の企業活動や金融活動を円滑に行うため、シティの金融機関はイギリス国内ではなく現地に金融子会社を設立し、国外に居住するイギリス人の資産管理や税務管理を行っていたのが発端である』

『だから現在もオフショア金融センター、あるいはタックスヘイブンは、香港、シンガポール、ケイマン諸島、パナマ、英領バージン、マン島など、大英帝国の旧植民地や自治領がほとんどなのだ』

『戦後は香港とシンガポールがアジアのオフショア金融センターを主導することとなったのであるが、それを支えていたのがHSBC(香港上海銀行:引用者注)とスタンダードチャータード銀行なのである』

『これらの金融機関がオフショアやタックスヘイブンでの会社設立や金融取引に関する税務や法律事務のために使用していたのが、パナマ文書の流出元であるモサック・フォンセカのような法律事務所なのだ』

『パナマ文書において暴露される金融機関の中核となると見られているのがHSBCだ』

『ある意味これは、イギリスとアメリカの2つの金融大国の争いの一環として見ることもできる』

『パナマ文書ではキャメロン首相が窮地に陥るとともに、中国、ロシアの要人たちの名前が次々と挙がっているが、金融大国であるアメリカの政治家や企業家の名前はほとんど出てこない』

『パナマ文書の流出がアメリカの陰謀だったという説が出てくるのはこのためだ』

『アメリカは国内にネバダ州などのオフショアを抱えており、わざわざこういうオフショアのタックスヘイブンを使わなくてもいい仕組みになっている』

『海外のタックスヘイブンを使わざるをえないアメリカの企業や団体となると、要するに、マフィアのブラックマネーを扱っているような組織、人ということだ。こういったアメリカの企業や団体がパナマ文書で炙り出せれば、アメリカ当局にとってはむしろ願ったりかなったりというところだろう』

『人民元をSDRの構成通貨に組み込むことで、世界の大国の一員としての地位を確実なものにしたいというのが、中国の思惑なのである。当然ながら、中国が主導する「新シルクロード構想」やAIIBにおいても、ゆくゆくは人民元決済に切り替えるつもりだ。要するに、ブレトンウッズ以降のドル支配体制を崩そうとしているわけだ』

『この中国の大望を後ろから支援したのがイギリスであった。そして中国とイギリスを結ぶキーマンとなったのが、イギリスの財務大臣であるジョージ・オズボーンである。
 オズボーンは2015年5月の総選挙の選挙戦略策定に携わり、キャメロンを首相に押し上げた人物といわれている。2020年の選挙で保守党が勝利すれば、彼が次の首相候補ナンバー1と目されている。
 オズボーンはかねてから、大英帝国の復活・復権という壮大な夢をもっていた』

『これまで中国の人民元は、国内決済が中心で直接交換市場が存在しなかったため、貿易通貨としてはほとんど使えなかった。そのため、中国は貿易決済に香港ドル、またはアメリカドルを使用してきた経緯がある。そして、香港ドルは、国家が発行する通貨ではなく、民間銀行が発行する通貨なのである。
 その香港ドルは、現在でもイギリスの金融グループHSBC系列の香港上海銀行、同じくイギリス系銀行のスタンダードチャータード銀行、そして中国本土系の中国銀行の3行によって発行されている。
 つまり、イギリスは現在も香港の金融界に強い影響力をもち、中国本土の金融とも深くつながっているわけだ』

『中国としても、イギリスの金融ノウハウを手に入れたい。しかも、2013年12月、アメリカの金融当局がウォール街の金融機関に対して、中国要人などの金融資産情報をすべて提供することを命じていた。そうなると、中国からのさまざまな資金の流れが解明されてしまう』

『今後、中国人が資金を逃がすには、世界で2番目に大きなマーケットであるシティ以外にないということになる。シティであれば、香港のイギリス系銀行を通じてカネを逃がしやすいから』

『イギリスがEUを離脱するということは、EUからシティが離れることを意味する。そうなれば、EUそのものの信頼が失われ、ユーロの信用と裏付けがなくなってしまう。必然的にユーロの国際的評価は落ち、暴落するリスクが非常に大きくなる』

『ギリシャ問題からドイツ銀行の不良債権問題など、ただでさえ大きな問題を抱えているユーロ圏は一気に瓦解に向かう可能性もある。
 それが世界的な恐慌原因になりかねないのである』

『必然的にパナマ文書も、そのベースとして利用される可能性があるわけだ。中国の不正な取引が大量に見つかった場合、SDRの構成通貨入りも不可能となる。そのような国の通貨に国際的な信任を与えるわけにはいかないからだ』

 と、まあ深い「闇」。

 う~ん、アヘン戦争以来の関係論が今でも生きているんだな。

 こうして見ていると、今回の野イギリスEU離脱問題の根っこは「イギリス・中国・ロシア連合軍」と「EU=ドイツ・フランス連合軍」の戦争なんだなというのがよくわかる。まあ、つまり現代の戦争っていうのはドン・パチやる戦争じゃなくて、昔風に言えば「兵糧攻め」みたいな経済戦争なんだ。

 スコットランドとイングランドの問題もまたしても起きそうだしな。

 まあ、この「パナマ文書」に関しては、イギリスだけではなくて、他の様々な国の「闇」の問題にも迫るようなので、『パナマ文書』という本については、また書きます。

『パナマ文書 「タックスヘイブン狩り」の衝撃が世界と日本を襲う』(渡邉哲也著/徳間書店/2016年5月31日刊)

« ほうろく地蔵と八百屋お七 | トップページ | とうがらし地蔵・西行寺 »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/63819630

この記事へのトラックバック一覧です: 『パナマ文書』が炙り出すもう一つの問題:

« ほうろく地蔵と八百屋お七 | トップページ | とうがらし地蔵・西行寺 »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?