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2016年5月21日 (土)

『SKETCHES OF TOKYO』少しだけ「SKETCH OF SPAIN」を思い起こさせる

 藤代冥砂の最新写真集『SKETCHES OF TOKYO』は、マイルス・デイビスの「SKETCH OF SPAIN」の表題曲、ギル・エバンスが編曲した「アランフェス協奏曲」を思い起こさせる。

 現在、沖縄に在住する藤代冥砂にとっては、まるでアメリカ合衆国に住むマイルスが遠くスペインを思い起こさせるように、東京へ思いを馳せているのだろうか。そんな感じがする写真集なんだよなあ。

 特に、ヌードになる女の子たちは別に沖縄でも東京でも変わらないんだろうけれども、その背景が違うっていうことで。今回は、「東京の街」が女の子たちの背景なんだからね。

Sketches_of_tokyo 『SKETCHES OF TOKYO』(藤代冥砂著/清幻舎/2016年2月12日刊)

藤代冥砂氏は以前出ていた『フォトグラファーの仕事』という本で面白いことを言っていた。

『基本的に撮影自体に狙いは全然ないんですよ。「撮れちゃった写真」を撮るために、いろいろその場所に出掛けて行って、わざわざ撮ろうと思っても撮れない写真を撮る』

『もともと自分の場合、写真を始めたきっかけが、ロバート・キャパとかにあこがれて、報道カメラマンになりたかったというのがあるんです。たぶん報道に行ったら「撮れちゃった写真」をすごく撮れてたんじゃないかって、いまさらながら後悔していますね』

『何に対しても「狙って」という姿勢ではないんです。写真がなくても存在している風景や表情があると思うんですけど、そういうもののほうが好きなので、自分にとっては、「写真術」っていうものを初めから捨てているところがあります』

『報道写真には、やはりポジションがあるじゃないですか。みんながこっちへ動いていたら、同じものを撮っちゃうから、自分はこっちから撮ってみようっていう。そういう本能と一緒だと思うんです。それはなんだろう、したたかさっていうのかな。それは写真家としてはなければいけないしたたかさであって、ただずるいとか、奇をてらってるんじゃなくて、違うものを見たいなら、違う距離から見ないといけないと思いますけどね』

『SKETCHES OF TOKYO』は53人のヌードを高層ホテルの部屋で撮影したもの。

 窓の外には東京の風景が広がっている。

『撮影は、いつも淡々としていた。
女達は、私の前で裸になり、時にシャワーを浴びたりもした。
清潔なシーツを楽しみ、東京の眺めに小さく歓声をあげて笑った』

『地上の重力や鼓動から離れ、天から見下ろされた中空の高層階で、私達は終わりを求めないまま、エアコンの24度設定の中で、微かに上ずっていた』

 そうそれは終わりのないセックスの営みのようだ。

 53人の女達との終わりのないセックスという営み。

 しかし、写真家とヌードモデルの写真って、基本的にわからないところがある。つまり、大体写真家の撮ったヌードモデルって、どこか写真家とセックスしてるんじゃないかと思わせる写真が多いんだけれども、実はそんなことしてませんっていう写真なんだよなあ。

『私は、東京をスケッチしていたのだと、この本を作りながら感じていた。
出来上がってみると、逆だったようだ。
私が、東京にスケッチされていた。
私の不在が、女達に写っている。
東京は大きく広がって、果てがない』

 モノクロのヌードには、そんな悲しみが広がっているようだ。

『SKETCHES OF TOKYO』(藤代冥砂著/清幻舎/2016年2月12日刊)

太陽レクチャーブック002 フォトグラファーの仕事』(佐内正史・長島有里枝・蜷川実花・野口里佳・藤代冥砂著/平凡社/2004年7月10日刊)

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