フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« レイクタウンは大相模調節池 | トップページ | 『紙と電子を融合した出版事業を』って、最早当たり前なんだけれどもね »

2016年5月23日 (月)

はあちゅうの『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』は自己啓発小説

 はあちゅうさんってブロガー&エッセイストだと思っていたんだが、小説も書くんだ。で、その書いた小説が「自己啓発小説」だってところが、いかにもはあちゅうさんだってことなんだけれども。

Ol_2 『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』(はあちゅう著/角川書店/2016年4月28日)

『枕元のスマホが二度目のアラームを鳴らし始めたのを、手さぐりで止めた。全身がマジックテープになり、ベッドにぴたりとくっついたかのように、体が動かない。
 視界には食べかすだけを残したコンビニ弁当と、半分だけ空いたチューハイの缶。
 気だるい。
でも、とにかく起きて、会社に行く準備をしなければいけない』

『会社に着いたら、席に座って、カバンからペンとノートと、出勤途中に買ったペットボトル飲料だけを出して、脇目もふらずに前日に終わらなかった仕事に取り掛かる』

『パソコンを開けば、書きかけの書類にメール、読みたくてもチェックしきれていないネット記事などが溢れかえり、どんなにデスク周りがキレイでも頭の中が一気にごっちゃになる』

『奈緒が担当しているのはOLをターゲットにした情報サイトで、配信する記事は全て、部員のチェックを経て、最終チェックは奈緒がする。
 それが、編集長としての務めだからだ』

 お~編集長か、結構かっこいいですね。

 でも

『一年前まで、奈緒はデータの入力をひたすらやればいい楽な部署にいた。業務内容自体は退屈だったけれど、ほぼ決まった時間に帰れるOL生活は気楽で、毎晩社内外の友人と時間を合わせてご飯に行って、雑誌にあるような東京のOLライフを曲がりなりにも送れていた気がする』

 それが……

『会社が昨年、ウェブメディアをいくつも買収して、そのうちの一つを突然任されることになり、急に状況が変わってしまったのだ。女性向けのサイトだから、編集長が若い女性であれば、テレビや雑誌の取材を受ける時に有利だ、と上司には説得された』

『同期からは羨ましがられて、奈緒も一瞬得意になったけれど、いざ業務が始まってみると、仕事はきついし、残業は増えたのにお給料は据え置きだし、思ったよりも「編集長」としてメディアに出る機会も少ない』

 まあ、編集長なんてそんなもんですね。編集長っていう名前はかっこいいんだけれども、実際にはごく一部の人たちが「スター編集長」なんて呼ばれるだけで、実際には裏方の仕事だ。

『人生への不満は、数えていけばキリがない。そもそも、卒業した大学は第一志望の大学ではなく、滑り止めで受けた二流大学だし、「苦労したこと」がぱっと出てこなかったのが災いしたのか、就活でも行きたかった一流企業は軒並み落ちて、なんとかひっかかった二流の会社に居座っているだけ』

 まあ、普通の人は大体そんな人生を送っている。自分が志望した道に進めている人なんで、普通そんなにいないんだ。そんな普通の主人公の奈緒はある日、会社をサボって表参道をブラついていた。

 その時に見つけた看板。

『「メンタルジム・ヒカリは、人生を激変させたいあなたのための場所です。お試しカウンセリングを随時受け付けております」 』

『この「メンタルジム」は、一体何をしてくれる場所なんだろうか。
 好奇心がむくむくと湧いた。
 どうせ、一日休みを取っているし、他にやることもないのだ。仕事の電話も取らないと決めている。この際、普段は絶対にしないことをやってみてもいい。無料カウンセリングを受けて、この場所の正体を確かめてみるのはどうだろう。好奇心に続いてそんないたずら心が湧く』

 というところから話は始まるんだが、そのメンタルジムで最初に行ったことは、カルテに書くことだった。まあ、メンタルジムって言ったら、カウンセラーみたいなもんだからなあ。

『「ではまず、これに記入してください」と渡されたカルテには、名前や住所の他、三つの質問が書いてあった。
(1)人生を変えたいですか。
(2)今の自分の人生は1を不満足、5を大満足とすると、何点ですか。
(3)三年以上達成していない目標がありますか。
 割とありきたりな質問だ。
 1の「人生を変えたいですか」には、はい、2の今の自分の人生への評価は、なんとなく真ん中の数字の3、そして3の「三年以上達成していない目標がありますか」には「ある」を選ぶ』

 で、メンタルジムが始まって最初にすることは、以下のアンケートに答えること。

『・体型 もう少し瘦せたい。
・仕事 やりがいのある仕事をしたい。誰でもできるようなことではなく、自分にしかできない仕事がしたい。
・時間 余裕が欲しい。リフレッシュしたい。休みをとって旅行にも行きたい。仕事や遊びの合間に、ふと「こんなことをしていていいのか」と思ってしまって心から楽しめない。
・お金 お金の余裕を持ちたい。
・人間関係 家族の仲が悪くて、家の中の雰囲気が悪い。父と母に仲良くしてもらいたい。
・毎日 同じような生活で、退屈を感じる。刺激的な出来事が欲しい。人生に飽きた。
・恋愛 素敵な恋人が欲しい』

 ってまあ、普通のOLならみんな抱えている問題でしょ。だったら、それに対する返事も簡単。結局は自分の気持ちの持ちようなんだ。すべては自分の気持ちの中で解決しなければならない、解決できる問題ばかりなのだ。

 なので……

『一か月前の自分が、今の自分とすれ違ったら「あの人はなんであんなに楽しそうなんだろう」と羨んだかもしれない。特別なことは何もない。だけど、なんでもないことを特別に感じられる能力はついた。人生を大切に思えていれば、足元の日常がいかに尊いかわかる』

 つまり「幸せの青い鳥は、実は身近にあった」っていうことでしょ。

 ってのが、この手の「自己啓発本」の基本なんだけれども、これはあちゅうさんの小説もそれを超える域には達していないんだなあ。

 まあ、いかにもはあちゅうさんらしいんだけれども、実際の本人はもっと「突き抜けた人物」らしいなので、そんな「突き抜けたはあちゅうさん」を見せてもらえる小説でもエッセイでも読ませてほしいもんだ。

『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』(はあちゅう著/角川書店/2016年4月28日)

« レイクタウンは大相模調節池 | トップページ | 『紙と電子を融合した出版事業を』って、最早当たり前なんだけれどもね »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/63668471

この記事へのトラックバック一覧です: はあちゅうの『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』は自己啓発小説:

« レイクタウンは大相模調節池 | トップページ | 『紙と電子を融合した出版事業を』って、最早当たり前なんだけれどもね »

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?