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2016年2月25日 (木)

観察映画『牡蠣工場』は「猫に始まり猫に終わる」不思議な映画なんだ

「コネなし議員」のつぎは「ネコ映画」ですって、アレ?

 想田和弘監督の「観察映画」第六弾『牡蠣工場』は白猫のどアップに始まり、ラストシーンも白猫に終わる不思議な映画なのだった。

 白猫は「シロ」と呼ばれているが、本当は「ミルク」という猫だそうだ。首輪が付いているのでノラ猫ではないようだ。

Photo_2 『牡蠣工場』(製作:柏木規与子/監督・撮影・録音・編集:想田和弘)

 舞台は岡山県瀬戸内市牛窓という小さな町。

『西は岡山市、北は邑久町、東と南は瀬戸内海に面している。特に観光業に力をいれており、「日本のエーゲ海」と称している。 また、岡山県有数のマッシュルームの生産地であり、香川県小豆島とならび日本二大オリーブ産地の一つでもある』
『町名の由来:神功皇后が三韓征伐の道中、この地で塵輪鬼(じんりんき=頭が八つの大牛怪物)に襲われたが弓で射殺。皇后が新羅からの帰途、成仏出来なかった塵輪鬼が牛鬼になって再度来襲、住吉明神が牛鬼の角をつかんで投げ倒した。この場所を牛転(うしまろび)といい、訛って牛窓になったという。牛窓界隈には、伝説にまつわる浮かぶ島や神社等がある。
 牛窓には、前島・黄島・黒島・青島などの島々が瀬戸内海に浮かんでいる。定かではないが、この牛鬼が滅びた後にこれらの島々に化けたとの言い伝え(伝説)がある。頭は黄島、胴体の前は前島、胴体の後ろは青島、お尻の部分は黒島に化けたと地元では伝えられている』
『主な産業は、農業、漁業、観光業。特に、マッシュルーム、オリーブ、カキの生産が盛んである』

 というのが牛窓という町のWikipediaでの紹介。人工はおよそ7,500人という小さな町だ。本当に小さな町。

 そんな小さな町に、宮城県南三陸町から家業の牡蠣工場が東日本大震災で壊滅的な打撃を受けて、移り住んできた一家がいる。

「やりかたは南三陸と牛窓では同じ牡蠣と言っても全然違う」

 というその人だが、たまにやって来て工場を手伝う、サラリーマンをやっている平野牡蠣作業所の息子が後を継がないというので、その人が後継ぎとなることになった。

 毎朝早く沖合の牡蠣いかだに養殖の牡蠣を上げに行き、大きなカゴ三つを上げると港に戻ってくる。カゴからクレーンで牡蠣を工場に入れると、中で剥き子が牡蠣を剥く。時間は午前7時から午後4時まで、一日中牡蠣を剥く。ひたすら単調な作業、ひたすら単調な作業、ひたすら単調な作業……。

「若い人で牡蠣をやろうとする人はいないのですか?」

 という監督の質問には、はっきりと

「いない、だって3Kだから」

 と答える。

 工場周辺にはお年寄りの姿が多く目につく。

 60数歳の老牡蠣漁民は、幸い息子が後継ぎになってくれるようだが、65歳までは息子に財産(ったって、牡蠣漁船と牡蠣工場位なもの)を継がせると「贈与税」がかかってしまうので、何としてでも65歳までは働くそうだ。体も辛くなっているので、65歳になったらすべての財産を息子に継がせて、自分は年金で悠々自適をするのだろうか。

 でも、この人、今64歳の私から見ても、私よりずっと年上に見えてしまう。何なんだろうか、都会でサラリーマンをしてきた上っ面の年輪の積み重ねよりも、田舎で実業をしてきた重みみたいなものがあるんだろうか。う~ん、よく分からないなあ。

 牡蠣の町、牛窓にはかつて二十軒の牡蠣工場があったそうだが、今は六つの牡蠣工場があるのみ、そこで働く剥き子の大半は地元の女性である。ほとんどがお婆ちゃん。また、その内のいくつかの工場では中国人が働いている。もたないで短期間で帰ってしまう者もいる。そうなると渡航費用や研修費が借金となってしまう。それでももたないで帰ってしまうそうなのだ。やっぱり、そんなにキツい仕事なのかな。

 平野牡蠣作業所にも二人の中国人がやってくることになる。そのためにプレハブの小屋を買う。62万円。やってくる中国人はいい人なんだろうか。長期間持つんだろうか。

 やがて中国人二人がやってくる。

 来た時だけは通訳の女性が一緒にいるので、なんとなくコミュニケーションはとれる。

 通訳が帰ってしまうと、あとは「中国語会話」の本だけが頼りだ。

 電気釜の使い方が分からない中国人に、手ぶり身ぶりで教える。牡蠣を食べたことのない中国人に牡蠣を茹でて食べさせる。それも身ぶり手ぶりである。最初は牡蠣を開いて身を取りだすことも出来ない。大変だな、こうしたコミュニケーションって。少しは中国人も日本語を話せる(でも理解はしていない)のが救いか。

 翌朝は中国人を乗せて牡蠣漁にでる。牡蠣筏から三つのカゴにいっぱいの牡蠣を入れて港に帰ってくる。でも、元々船乗りではない彼らは、「もやい結び」を知らない。それを教えながらクレーン作業をする。当然、牡蠣カゴの場所が変わればもやいを解いて、船を動かし再びもやいを結ばなければならない。でも、それも分からない。

 そうやって少しづつ「船の仕事」を教えて行きながら、いつまでいてくれるのか分からない中国人に仕事を教えなければならない。

 彼らが訪日した本当の目的や、いつまでいるのかといったことはわからない。でも、今は牡蠣漁と牡蠣工場の仲間として教えなければならないことは多い。

 そんな日常が普通に流れている。

 と、まあそんな映画が『牡蠣工場』である。まさに「日常」……。

 あっ、そうか! 映画冒頭の白猫「シロ」と、最後の白猫「シロ」は想田監督の姿を変えた形なのかも知れない。

 やたら人の家に上がりたくなる白猫も、想田監督も同じじゃないか。やたら人の家に上がり込んだり、親しくしたりする想田監督である。それはまるであの白猫みたいに、多少は人が嫌がっていても、でも、親しくなってしまって入り込んでしまう、想田監督の方法論と一緒だ。

 うーむ、そうかそうだったんだ。

 あの、冒頭で出てくる白猫と、ラストシーンで人の家に上がり込んでしまう白猫は、まるで想田監督が「観察映画」と呼んでいるドキュメンタリー映画の手法とまったく同じで、そうやって想田監督は人の家の中に入って行ったんだろうなあ。

映画『牡蠣工場』はシアターイメージフォーラム他で公開中

公式サイトはコチラ

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