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2016年1月 7日 (木)

『フェルドマン博士の日本経済最新講義』の面白いところ

 ロバート・アラン・フェルドマン氏の本職は、モルガン・スタンレーMUFG証券の日本担当チーフエコノミストだそうだ。つまりこれは学者が書いた日本経済への提言ではなくて、現役のビジネスマンが書いたもの。という点に興味がある。

Photo 『フェルドマン博士の日本経済最新講義』(ロバート・アラン・フェルドマン著/文藝春秋社/2015年12月20日刊)

 内容は……

第1章 世界経済と日本
第2章 アベノミクスの評価と今後
第3章 エネルギー政策を考える
第4章 働きやすい労働市場にするために
第5章 少子高齢化社会の煉獄
題6章 地方再生と教育改革の進め方

 というもの。

 面白いのはアメリカ経済について書かれた第1章の「米国経済薄曇りの原因は?」というのと第2章なので、おもにそこを紹介。

『アメリカの経済が元気よく上向かないのは、一言で言えばアベノミクスがないからです。  アベノミクスの詳しい評価は次の章に譲りますが、金融政策、財政政策、成長戦略の三つを一緒にやって経済成長を高めること、と私は理解しています』
『米国には成長戦略がありません。なぜないのかというと、民主党にしても共和党にしても、「成長とは下から自然に上がってくるものであって、政府が決めるものではない。市場経済なのだから、市場に任せる」という考え方だからです。市場理想主義から言えばその通りですが、理想と現実は違います』
『米国経済の潜在成長力が薄曇りになっている一つの理由は、インフラを整備しない点にあります。この点を改善すれば、もっと成長できるはずです』
『もう一つの問題は、教育です。義務歳出にお金が流れていて、教育に回す分が足りません。だから学校の教育水準が、非常に悪くなっています。ブッシュ前大統領は、勉強に遅れを取る子どもが出ないようにするプログラムを作りました。しかし結局、税金を使いたくない人たちが、「いや、教育は州の責任で行うものだ。連邦国家である限り、国は口を出すな」と言うのです』

 勿論、アメリカ経済の欠点だけではなくて、良い点にも触れている。

『一方、アメリカには優れている面もたくさんあります。まず、自己責任で企業を起こして儲けようという精神。いわゆるパイオニアスピリットは失われていません。法律にはいいところと悪いところがありますが、ビジネスに関しては先見性があります。お金が集めやすい資本市場もありますし、技術革新にも強い』
『もう一つ、有利な面は移民文化です。昔からそうですが、一流大学の学生には、移民の子どもが多い。セカンドジェネレーションです。移民は野心や向上心が強いですから、子どもにガンガン勉強させます。これは、国にとって大きなプラスになっています』

 結局、アメリカにはなくて日本にあるもの、日本にはなくてアメリカにあるもの、といった比較が第2章の『アベノミクスの評価と今後』なんでありますな。

『私がアベノミクスを新しいと思うのは、デフレ脱却、財政再建、成長加速という三つの目標に対し、金融政策、財政政策(税・歳出)、構造政策という三つの政策道具をかみ合うように利用していることです』
『アベノミクスの内容は、実は非常にオーソドックスな成長経済学です。国債発行と公共事業、移転支出でマネーを民間に供給するケインジアン型の政策と、中央銀行が量的緩和によってマネーを供給するマネタリスト型の政策を同時に実行し、そこへソロー型成長戦略(マサチューセッツ工科大学、ノーベル経済学賞受賞のロバート・ソロー教授が一九五六年に提唱した経済理論)を組み合わせるようになっています。当然の経済学だと思いますが、これまではあまり行われてこなかったのです』
『「どれだけ真面目に働いても暮らしがよくならない」という日本経済の課題を克服するため、安倍政権は、「デフレからの脱却」と「富の拡大」を目指しています。
 その中身が「三本の矢」です』

『第一の矢は金融政策です。
 これは、日銀がお金を大量に刷って広く撒く。お金が増えればいくつかの経路で、景気が良くなって、給料も物価も上がる、という非常に単純なマネタリスト理論です。』
『これが第一の矢です。私は、非常にうまくいっていると評価しています』

『第二の矢は「機動的な財政政策」です。これには、短期的な政策と長期的な政策の二種類があります。短期的な政策は、デフレが続いている間は有効的に充分にお金を使うこと。これも物価上昇の一つの背景になりますし、いまのところはきちんと行われていると言っていいでしょう。景気回復によって税収が上がっているので、短期的には赤字削減目標とは必ずしも矛盾しません。』
『第二の矢はある程度は成功しているものの、まだまだ宿題が多いといえます。第二の矢を成功させるなら、プライマリーバランスをゼロにするという現在の目標ではなく、負債比率を安定化する。そういった高い目標が必要です』

『第三の矢は成長戦略です。ここがもっとも肝心な部分です。次のレーダーチャートは、著者の独断と偏見によって各政策分野の進捗度合いを示しています。進展している分野があれば、停滞している分野もあるのが現実です。 』
『私は、第三の矢による農業改革を高く評価しています。』

 とは言うものの、結局はこういうところに行きついちゃうんだなあ。

『日本の農業技術は、いろいろな部分で非常に優れています。ですが、それを活かして換金する仕組み作りが進んでいません。農産物の輸出が現在のように少ないのは、国を貧乏にしているという罪です。
 これまでの農協の組織がそうした非効率の原因だとすれば、農業の担い手に対して迷惑ですし、消費者、納税者にも迷惑をかけていることになります。農協の改革が必要なのはそういう理由で、改革が進めば地方再生にもつながります。 』

 ということで地方再生に何が大事かと言えば……。

『では、地方で有望な産業は何か。第一はもちろん農業です。これから世界中で、農産物に対する需要は増す一方です。生活水準が上がるにつれ、高くても品質のいい果物などを食べたい人たちが増えていきます。農業には、大きなビジネスチャンスです。』
『農地面積の問題に加えて、利用ルールにも問題が多いといえます。現在は、普通の企業が各農場の五〇%以上を所有することは認められません。そのために、農地REITといった農地を対象とする不動産投信を作るのが難しい。そうした不動産投信の商品を作ることができるようになれば、農地や農業への投資を増やすことが簡単になります。』
『土地の次は労働力です。地方ではこれは足りません。農家の平均年齢は六十六・八歳です。
 基幹的農業従事者」(農水省の定義、約百六十八万人)の六十五歳以上の割合は二〇〇九年の五七%から二〇一四年には六三%になりました。ここに、どのように若い人を連れてくるかが大問題です。』

 結局、そこに至る方法はやはりITってことになるんだなあ。

『IT化が非常に大事です。つまり資本装備率を上げ、農地を集約すれば、人手不足を埋め合わせて生産性を大きく上げることができます。生産性の高さとして例に挙げたオランダの農場は、九八%くらいIT化されているのです』

 つまり、農業を大規模化して、IT化を推し進めて生産性を上げ、農業輸出を増やすってことが大事なんだし、そこまでいって始めてアベノミクスは成功したと言えるんだが、果たしてそこまで安倍政権が持つのかどうかが、肝心のところだ。

 問題はそこなんだよな。

『フェルドマン博士の日本経済最新講義』(ロバート・アラン・フェルドマン著/文藝春秋社/2015年12月20日刊)

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