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2016年1月28日 (木)

国家のエゴ

 対談の相手、姜尚中氏から『本来はリベラルの代名詞だったのに、今では左派のレッテルが貼られている月刊誌『世界』から、百田某によって「つぶさなあかん」と罵られている『琉球新報』や『沖縄タイムス』に至るまで、日本のメインストリームを批判する媒体に精力的に論説や記事を書き続ける佐藤氏。他方、リベラルや左派からは右派、あるいは極右のレッテルが貼られている月刊誌『Voice』や『WiLL』にも登場する佐藤氏。さらに、その中間にあるような全国紙にもコメントや記事を発表する佐藤氏』と書かれる「怪物」佐藤優氏である。

 さて、今回はどんなことを書いているのだろう。

Photo 『国家のエゴ』(佐藤優著/朝日新書/2015年8月25日刊)

『私は職業作家になる前は外務官僚でした。つまり、国家と一体の存在でしたし、国益を優先して、ソ連、ロシアとの外交に携わってきました。当然のことながら、常に国家を意識していました。また、二〇〇二年、北方領土交渉をめぐる鈴木宗男事件に連座して東京地検特捜部に逮捕され、検事の取り調べを受けた時にも国家はリアリティーをもって迫ってきました』

 と書く佐藤氏である。すごいなあ、なにしろ常に国家というものを意識しながら生きているんだ。普通の人ではこんなことはあり得ないだろう。

 その佐藤氏は本書の「あとがき」でこう書く。

『現下日本の政治エリートに反知性主義的気運が蔓延している。ここで言う反知性主義とは、客観性や実証性を軽視もしくは無視して、自らが欲するように世界を理解する態度を意味する。政治的判断基準として、合理性や客観性でなく、「絆」や「勢い」などの情緒的言葉、個人的関係などが重視される。難関大学を卒業し、司法試験や公認会計士試験、国家公務員総合職試験などの競争試験の勝者であっても、反知性主義を基盤にしたほうが政治権力に近づくことができる状況で、エリートは反知性主義に傾く』

『自民党は、党中央による統制を強めようとしているが、これについてもスターリンの民主主義的中央集権制に親和的だ。二一世紀の日本でわれわれは「スターリン主義の顔をした保守主義」という奇妙な現象に遭遇しているのである』

 むふふ、面白いなあ。「反知性主義」と「スターリン主義」か。まあ、確かにスターリン主義は物事を深く考えないという意味では反知性主義とは親和性があるのかもしれない。

 で、その反知性主義でスターリン主義の親分、安倍晋三とはどんな人物なのか。

『安倍首相に限って言えば、場当たり的であると同時に、そのときどきで執着する案件があるように私には見えます。その案件を進めることがたとえ合理性を欠いていても、いったん言い出したら、とにかく達成しなければ気がすまない』

『結局、安倍首相は、「集団的自衛権」という言葉にこだわったために、自分の手足を全部縛るような約束をしてしまったのではないでしょうか。ですから、集団的自衛権の行使を盛り込んだ安全保障関連法が成立して、実際に使おうとするならば、「約束はしたけれども、約束を守るとは約束しなかった」と強弁する以外の選択肢はないでしょう』

『安倍首相は計算ができていません。アメリカの世界戦略の一部を日本が武力によって担うということを、アメリカに高く売りたいのであれば、なにも恒久法を作る必要はないのです。「私どもでは、集団的自衛権行使は憲法上、禁じられております。しかし今回は特別に要請にお応えして知恵を働かせて法律を作りました」とその都度その都度、時限立法にしたほうが高く売れる』

 じゃあ、そんな人を何故日本人は首相に選んでしまったのだろうか。

 佐藤さんは自民党を「ポストモダン的な政党だ」と言われましたが、それに近いのかもしれません。私は正直に言うと、第一次安倍政権のときはそのようには見ていませんでした。第一次政権を途中でほっぽり出したあの失敗を彼はどのようなものとして学習したのか、第二次政権をどのように担おうとしたのか、誰がブレーンなのか……いろいろ考えてみたのですが、思い当たることがありません。

佐藤 有権者が民主党政権に手ひどく裏切られたという思いがあるからだと思います。次の政権こそは何としても信じたい。安倍政権は、安全保障政策だけでなく、経済政策、労働政策、福祉、税制などで、すでに中間層の有権者をだましています。なぜなら中間層の暮らし向きが悪くなる政策を遂行しているのですから。しかし、有権者自身がそれを認めてしまうと、安倍政権を支持した自分が惨めに思えてしまう、だからそれを認めたくないという心理が働いて、この政権にしがみつき続けることになっているのではないでしょうか。

 日本の中間層以上の人たちは、政治的にどうこうというよりも、主に経済的な面で関心があるんじゃないでしょうか。対中貿易もそうですが、来日した中国人観光客の爆買いのおかげで、史上最高益を記録したメーカーもあるわけですから、その意味で安倍政権が言っているような、中国脅威論はあまり関心がない』

 ふ~ん、ということは今や日本人全体が反知性主義に陥っているということなのかなあ。

『自民党内でリベラルと言われる「宏池会」の議員が、漫画家の小林よしのり氏を招いて勉強会を開こうとしたけれども中止になりました。ということは、自民党のリベラル派で良識や知性を重視していると思われる人たちが講師として教えを請おうとしたのが小林氏です。そこが自民党の「知性の天井」だということです』

『安倍首相に近い議員グループが招いたのが百田氏で、リベラル派が招いたのが小林氏なのですから。どう考えても似たり寄ったり、つまり小さな差異だと思うのですが、自民党議員には決定的な差のように見えるわけです。それ以外の人は視界に入らないようですから』

 こういう国会議員しか選出できない日本人っていうのも、相当にレベルが低いとも考えられるけれども、しかし、生きる戦略としての反知性主義であるうちはいいけれども、それが思想として結実した反知性主義にまでは至らないでほしい。

 思想になってしまうと、完璧にドナルド・トランプ氏を支持するアメリカ共和党員と同じレベルになってしまい、それこそ世界中からの笑い者になってしまうもんなあ。

 とまあ、余計なことを考えている訳であります。

『国家のエゴ』(佐藤優著/朝日新書/2015年8月25日刊)

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