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« 六義園、今日の演目は「獅子舞と貫井囃子」 | トップページ | 『子どものまま中年化する若者たち』は日本の未来を悲観的な方へ予想させる »

2016年1月 4日 (月)

今度は『侠飯2』だっ!

 三が日も明けて今日からは普通の日。なのでブログも普通に始まります。

 昨年の12月29日のブログ『「侠飯」とかいて、「おとこめし」と読む』で紹介した福澤徹三氏の続編が12月10日に出た。

 文庫書下ろし小説としてはいいペースなんじゃないだろうか。というか、実は「日経新聞」の記事でこの『侠飯2』を知って、それで、じゃあ取り敢えず最初の小説から読もうかということで、読み始めたんだけれどもね。

Photo 『侠飯2』(福澤徹三著/文春文庫/2015年12月10日刊)

 で今度、「柳刃」が目を付けたのはヤクザの本家じゃなくて、「一般」企業なんだよなあ。

 ということは、そんな「一般」企業に勤める社員が主人公ってことなのか。それも、自分のことをあまり分かっていない、平均的社員ってこと?

 まあ、前回の出演者である大学生たちも出てきて……。

『良太と呼ばれた男は、連れの三人を手で示して、 「信也はアニメショップでバイト、洋介は外資系のアパレルメーカー、春ちゃんは出版社に勤めてます」 』

 なんて感じでお気楽に柳刃と吉野を紹介するんだけれども、まあ、それだけの出演で、柳刃と吉野(それだって本名かどうかは分からない)が特命を帯びた警察官であることは、今回の主人公たちには知らされない。

 つまり今回の主人公たちは……

『「辞令。真鍋順平殿、本日付けをもって人財支援部勤務を命ずる。平成××年六月二×日、株式会社グローバルエッグズ代表取締役社長兼CEO、甘糟大志」
「いまのところ転勤はありません。人財支援部はここの地下三階です。近いうちに支社にも設置される予定ですが」
 地下三階と聞いて、ますます厭な予感がした。どういう部署なのか訊くと、
「問題がある社員のために、人事部付で新設された部署です」
「ひとつは人財支援部に籍を置いたまま、転職支援会社に常駐して、出向先を探してもらいます。出向先が見つかれば半年間は在籍出向という形で、うちが賃金の差額を補塡します。半年後は転籍、つまり正式な転職ですね」 』

 ということで、グローバルエッグスという会社の「人財支援部」というところに異動になった、真鍋順平ほか三名が主人公たち。つまりリストラ対象のダメ社員たちってこと。

 で、今回の社員たちも、何か会社の裏で商売を始めた「スパイシーギャング」というキッチンカーのおいしさによせられてしまい、自分たちもどうせ会社からリストラされるんなら、キチンカーを作って独立しようかなということを考えるんだが、どう考えても「ヤクザ」としてしか考えられない柳刃の立ち振る舞いからしてみれば、柳刃の言うことには従えない。が、柳刃の言うことにはひとつひとつ納得できることがあるのだ。

『「ブラック企業っていうのは主観の問題だ。自分にとって居心地が悪い会社をそう呼ぶなら、世間では一流企業であっても、個人的にはブラック企業さ」
「客だから立場が上だと思うのは、金を払ってるからだ。いまの世の中、金さえだせば、たいていのものは買える。お客様が神様ならば、金を払う者がいちばんえらい。だから金持は尊敬され、貧乏人は蔑まれる」
「そんなの、あたりまえじゃないですか」
「客が神だとすれば、貧乏人は金持の主張に従うしかない。金持は自分よりも神に近い存在だからな。つまり客を神格化するのは、金を崇めてるのとおなじで、拝金主義ってことだ」 』

『「社員にとってリストラは迷惑だろうが、会社に居座る権利はない。業績が悪化すれば社員を解雇するのは当然で、それは会社の権利だ」』

『「たとえば会社は社員に給料を払うから、社員にとっては、もてなすべき客だ。リストラの対象になったのは、客がおまえさんに不満を持ってるってことだ」 』

『「さっきおまえさんがいったように客の権利を尊重するなら、謙虚に不満を受け入れしかないだろう。自分が新卒で選んだ会社を、いまさらブラック企業だっていうのは、お門ちがいじゃないのか」 』

 まあ、言われてみりゃあその通りなんだけれども、それをヤクザまがいに人に言われてもなあ、というところが主人公たちにはあるわけなんだなあ。

『「自分が権利を主張したぶん、他人からも権利を押しつけられる。ぺこぺこされるのが客だと思ってるから、会社でぺこぺこするはめになる」 』

『お客様は神様ではない。
だが、お客様との触れあいのなかで、おたがいの喜びが生まれてくる。
どんな仕事にも必要なのは、意志と想像力だと柳刃はいった。
その意味が、おぼろげにわかってきた気がする』

『 会社では、働いたぶん給料をもらうのがあたりまえだった。しかし会社に対して、なにかを求めるばかりで、与える努力をしなかった。そんな単純なことに、いままで気づかなかった』

 というところがまあ、普通の反応なんだろうなあ。

 まあ、説教していたのがヤクザじゃなくて警察官だった(ってのもよく分からないが)だったってのも、説得力のひとつにはなっていたんだろうけれども。

 まあ、ストーリーの結末は前作と同じ。

 順平たちが勤めていたグローバルエッグスの社長・甘糟大志がヤクザのフロント企業に金を出していた。その内偵のためにスパイシーギャングを出していた柳刃(という名前は本物じゃない筈なんだが)たちの誘導にうまい具合に順平たちは引っかかって、甘糟の情報を柳刃に……。ということで甘糟は逮捕され一件落着。

 順平たちは柳刃からキッチンカーをプレゼントされて、これまた一件落着って、なんか安易じゃない?

 という疑問はこういう小説の場合、持っちゃいけないのだろうなあ。

『侠飯2』(福澤徹三著/文春文庫/2015年12月10日刊)

『侠飯』①もね……

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