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2016年1月22日 (金)

『ぼくらの仮説が世界をつくる』の仮説とはそういうことだったのか

『ドラゴン桜』や『宇宙兄弟』を手掛けた佐渡島庸平氏はかなり優秀な編集者だという認識は私が講談社に在社していた頃からあった。しかし、それは単なる職人的な編集者っていうだけではなくて、むしろプロデューサー的な編集者だったんだということ。

Photo 『ぼくらの仮説が世界をつくる』(佐渡島庸平著/ダイヤモンド社/2015年12月10日刊)

『ぼくが言う「編集者」とは、ただ作家から原稿をもらってそれを印刷所に渡すだけの狭い意味での編集者のことを指してはいません。 本来、編集者というのは、そのコンテンツをいかにして読者に届けるかを徹底して考え実行するプロデューサーであるべきです』

『これからは、作品作りをサポートする職人的な編集者ではなく、売り上げにもコミットしていく、プロデューサー的な編集者がますます必要となっていくはずです』

 つまり、映画のプロデューサーのように作品内容には当然かかわるのだが、同時に宣伝面や販促、キャンペーンなんかにもすべてかかわり、その作品に対して総合的にかかわっていく存在がこれからの編集者なんだっていうこと。まあ、それはそうだ。私が映画のプロデューサーをやっていた頃には、漫画雑誌や書籍の編集者のそうしたプロデューサー業務は誰がやっていたんだ、というのが疑問だったんだ。単なる「漫画好き」じゃダメなんだっていうこと。

 さらにすごいのは「仕組み」を作るということに気づいているっていうこと。

『100年以上前に講談社を作った野間清治や、文藝春秋という雑誌と会社を立ち上げた菊池寛は、その当時にぴったりの、時代が求めていた新しいビジネスモデルを見つけました。 彼らは、雑誌や会社を作っただけでなく、お金を出し合って「取次」という仕組みを作り、本を売る書店をバックアップして、輸送から集金までの一連の商流をも構築したのです。コンテンツを作っていただけではなく、どう届けるかという仕組みまできちんと作り上げた。 そのシステムはものすごく良くできていたので、本を読みたい多くの人の欲求にも見事に応えることができました。よって、100年間も抜本的な改革の必要なく、そのシステムの中で働く人たちにも十分な恩恵をもたらしてくれました。 しかしながら、時代は変わりました。これまでのシステムは制度疲労を起こし、ネットの中にも、まだ確固としたビジネスモデルはありません。 そんな中で編集者も、これまでの仕事の仕方から脱皮する必要がありますし、新たなシステムの構築を急がねばならない段階に来ているのではないかと思うのです』

「仕組み」を作るっていうことは「ルール」を作るということ。ルールを作った者はその世界を支配することが可能となる。まあ、支配するかどうかは別ですがね。

 多分、ルールを作ることで世界を支配しようとするのがアメリカ人的な考え方だが、日本人は仮にルールを作っても、他人と協調的な生き方をするだろうな。

『ビジネスの世界では、今までは産業ごとにルールが存在していました。自動車産業、小売業、出版、テレビ……すべて違うルールで動いていた。しかし、インターネットの発達によって、産業ごとの境目が曖昧になっていくのと同時に、今までのルールが機能しなくなってきているのです』

『ぼくらの世代には「ルールを作る楽しみ」があると同時に「ルールを作る責任」があるのです』

『アマゾンやアップルが整備しているルールは、デバイスやプラットフォームのためのルールであって、コンテンツ産業の未来を支えるようなルールではないように思えます。コンテンツ産業にいる人たちは、理想的な未来をイメージして、ルールを作る側になれるかどうかが、試されています』

『そして、誰かがデザインしたルールに従うのか、それとも自分でルールを作るのか。ぼくは自分でルールを作る側になったほうが、何百倍も楽しいと思うのです』

『会社員時代は、組織の手続きをきちんと踏んで、ルールを変えていこうとしていました。しかし、なかなかルールは変えられませんでしたし、そうこうしているうちに時代はどんどん変わっていってしまいました』

 ということなので、佐渡島庸平氏は講談社を飛び出してコルクというエージェントを興したわけだ。

『仮説を立てるときは、誰でも得られるような数字のデータではなく、「日常生活の中で、なんとなく集まってくる情報」そして「自分の中にある価値観」のほうが大切なのです』

『情報→仮説→実行→検証」ではなく「仮説→情報→仮説の再構築→実行→検証」という順番で思考することで、現状に風穴を開けることができるのです』

『仮説を確かめるために、情報を集めたのです。すると、欧米の作家は、エージェントがいるのが一般的だとわかりました。日本のように、出版社がその役を半ば担っているのは、世界基準ではなかったのです』

『こうしてぼくの中で「エージェント業が、これからの編集者の仕事の形態となる」という確信が強まっていきました』

 では、佐渡島庸平氏はコルクで何をしようというのだろう。

『いま、ぼくが証明したいと思っている仮説。それは、「作家の考えたことを本にする」だけだったこれまでの出版の形が、「作家の頭の中を出版(パブリッシュ)する」という形に変わる、というものです』

『「パブリッシュ」という言葉には、「本を出す(出版する)」という意味だけではなく、「公にする」という意味があります。青木さんは、自分たちの仕事は単なるECサイトではなく、広義の意味で「ライフスタイルのパブリッシュ」である、と言っていました。であるなら、作家の頭をパブリッシュするには、本だけが答えじゃないという考えに至ったのです』

『コルクを経営するにあたって、他の産業のビジネスモデルを調べたと言いましたが、メーカーの場合、原価はだいたい10〜40%です。出版社も本のメーカーだと捉えると、本には、印税の他、印刷代、デザイン代、原稿料がかかっているので、30〜40%が原価と言えます。重版時にはこの比率は大きく変わるものの、総合的に考えると、印税10%は妥当である、というのがコルクの結論でした。 よって、印税の引き上げを交渉するのではなく、それとは違うところで、作家の収入をいかに増やすかを考えるようになりました』

 ふ~ん、面白そうだなコルク。

 少し、「コルク・ウォッチ」をしてみよう。

『ぼくらの仮説が世界をつくる』(佐渡島庸平著/ダイヤモンド社/2015年12月10日刊)

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