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« 1日遅れの安行 | トップページ | 『木村伊兵衛のパリ』って、あれ? »

2015年12月 9日 (水)

『お盛んすぎる 江戸の男と女』は素人に限る

『お盛んすぎる 江戸の男と女』というから、それは玄人女のことかと思ったら、そうではないようなのですね。

『こと性に関するかぎり、素人のほうが大胆かつ野放図といってもよい面があった。というのは、玄人にはそれなりに遊里の掟があったが、素人にはそんな制約はなく、いわば淫欲のおもむくままだったからだ。
 結婚前の娘が男とセックスを謳歌するのはごく当たり前のことだったし、庶民のみならず武士の妻にも密通は多かった。武家屋敷では「不義密通はお家のご法度」など、どこ吹く風といおうか。
 性技(セックスのテクニック)に関しても、現代の男女がおこなっていることは江戸の男女もしていた。いや、現代以上かもしれない。これは本文であきらかにしていくが、性への欲望は江戸の男女のほうが現代人よりもはるかに大きかったし、しかも臆面もなく享楽していたからである』

 本書では江戸の性生活を大きく素人と玄人に分けて書いてあるが、そんなわけで主に素人の性生活の方が面白そうだ。

Photo 『お盛んすぎる 江戸の男と女』(永井義男著/朝日新書/2012年12月31日刊)

 で、その『一、素人の部』には何が書いてあるか。

『第一章 奔放な恋人たち (一)女は十五、六歳で性体験/(二)セックスを謳歌/(三)したがる男、応じる女/(四)性に飢えていた奥女中/(五)避妊をせずにしていた/(六)女医者は堕胎の専門/(七)心中の悲劇も/第二章 旺盛な夫婦 (一)夫婦の房事は官能的/(二)武士は結婚の日に対面/(三)庶民の結婚は気楽/(四)セックスレスとは無縁/(五)ませていた子供/(六)子供の性の悲劇も/第三章 密通はありふれたこと (一)密通は穏便に解決/(二)武士の密通は隠蔽/(三)庶民の密通はあっけらかん/(四)奉公人を誘惑/(五)夜這いは、し放題/(六)場所はどこでも/(七)貞節を守った処女妻/第四章 性技は百花繚乱 (一)着物を着たままの性行為/(二)季節限定の性技/(三)湯ぼぼ酒まら/(四)ごく普通だった口淫/(五)秘技と性具、媚薬/(六)変態、なんでもあり』

 という具合。それに比べると『二、玄人の部』は『第一章 おおらかに女郎買い』『第二章 遊里のいろいろ、その仕組み』『第三章 玄人のセックス、その値段』『第四章 遊里の掟と暗黒』という具合に、まあセックスそのものよりも、セックス(女郎買い)にまつわる周辺のことが書いてある。ので、ここでは『一、素人の部』からご紹介。

『春本『艶紫娯拾余帖』(天保期)に、当時の初夜の模様が書かれている――。
 天下晴れての新枕というのが婚礼の夜の床入なり。これを初床または水揚、俗には新鉢といい、手入らずのあらともいう。昔は知らず、いまどきの女の子に十五、六まで男の肌知らぬ娘もなけれど、表向きはどこまでも初めてのつもりなり』

『若いふたりはつい先日、初体験をした。その後、ふたりはセックスに夢中になった。しかも、女は感じるようになってきたではないか。男はそんな女の反応がうれしいが、いっぽうで疑念も生じる。書入れのなかの、ふたりの会話の一部を示そう――。
「おめえはいつぞや、初めてだと言ったが、本当か」
「本当にもなんにも、ついぞかわいいと思った人はほかにはないものを。無理ばっかりお言いだよ」
「まだ痛えか」
「いいえ」
 これまで感じるどころか、挿入のたびに痛いと言っていた。それで男が問いかけたのだが、女の「いいえ」という言葉少なな答えがなんともいじらしく、ほほえましい。
 いまでは男の指で陰部をくじられていると、こみあげてくる快感で思わず淫声を発しそうになる。女が歯で襦袢の襟を嚙みしめているのは、よがり声を抑えるためだった』

『もうひとつ、春本『絵本小町引』(享和二年)に描かれた、昼間の逢引の様子を紹介しよう。男は前髪があるので元服前、女も同じく十五歳くらいであろう――。
 男が秘部をしきりにながめようとするのを、女は恥ずかしがった。
「こうしては、いっそ恥ずかしゅうございます。あれさ、見てはいや、あれさ、見ちゃ、
どうもいや」
「見たとって減りゃあしめえし、いいわな。たとえどのような恥ずかしいこともかまわず打ち解けてするが信実というものだよ。恥ずかしがるうちが、まだ実が薄い」』

「見たとって減りゃしめえし」なんて、今でも男がよく使うフレーズで面白い。まあ、昔から男の考えることなんて変わりゃあしねえ、ってもんですね。

『破瓜(初体験)の情景が春本『花以嘉多』(天保八年)に描かれている――。
 男はようようのことで女を料理屋「山の藤」の二階座敷に連れ込んだ。さっそく口説きにかかる。
「コレサ、おめえはどうも野暮を言う子だ。マア、じっとしていなと言うのに。きょう、山の藤へ連れて来たのも大概、承知していながら」
「ナニ、おっ母さんに知れると悪い」
「知れたら連れて逃げるぶんだ。サア、もっとこっちへ寄んな。コレサ、また股座をつぼめるヨ。なぜ、そんなにいやがるだろう」
「それでも、なんだか怖いものを」
「アア」
「入れてみようか」
「どうとも」
 女は十五歳くらいだろうか。予期はしていても、いざとなると処女だけに恥ずかしさと恐怖が先に立つ。そんな女を男が強引に押し切り、破瓜に持ち込む』

「ナニ、おっ母さんに知れると悪い」 「知れたら連れて逃げるぶんだ」なんてのも同じ。「連れて逃げる」なんて甲斐性もないくせに、女の子の前では精一杯偉ぶって、要は速いとこその娘とヤりたいだけなあんだよなあ。まったく、もう。

『江戸の人々、とくに男は夫婦の閨房を描いた春画に官能をたかぶらせ、買い求めていたことになろう。需要があったからこそ絵師も手がけた』

『ふたつのことがいえよう。
 ひとつは、夫婦は安定した男女関係であり、いっしょに生活する期間も長い。世の中にはさまざまな男女の組み合わせがあるにしても、回数からするかぎり夫婦の性交がもっとも多いのではなかろうか。そう考えると、夫婦の房事が描かれるのは少しも不思議ではない。江戸の春画は性の実態をきちんと反映しているといえよう。
 もうひとつは、江戸では夫婦の房事が充分に官能的であり、猥褻感に満ちていると考えられていたことである。わざわざ春画に描かれたことからもそれはあきらかであろう』

 うーん、江戸時代のセックス描写は素人に限るか。それは言えそうだな。

『お盛んすぎる 江戸の男と女』(永井義男著/朝日新書/2012年12月31日刊)

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