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2015年12月 5日 (土)

『男性漂流』よりも読みたいもの

『男はつらいらしい』の著者のそれに次ぐ本だとなれば、またまた「生きるのがつらい」男たちの話が並んでいるんだなあ。

Photo 『男性漂流 男たちは何におびえているか』(奥田祥子著/講談社+α新書/2015年3月1日刊)

 各章の章題ごとに、それと冒頭の「こわい」文章を並べると以下の通り。

第一章 結婚がこわい
『「結婚したくて相手探しに頑張っているのに、今のところ結婚できない」ならまだしも、「『婚活』さえもしていないのか!」という「婚活」圧力が、結婚したいのにできない中年男性たちを脅えさせている』
『結婚について、「たまたましていないだけ」と言い張っていた男たちに「できない」自覚を促した効果はあったかもしれないが、こうした社会からの強力なプレッシャーが「できない」からの脱却をますます阻んでいるようの思えてならないのだが』

第二章 育児がこわい
『育児にいそしむ男性たちに、「イケメン」を一文字入れ替えた「イクメン」という名称が与えられ、注目を集めている。「育児を楽しむ、恰好いい男」を意味するらしい』
『男性が子育てに積極的に関わることは、女性の出産後の就労継続率を高め、少子化対策につながるという見解にも、確かに一理ある。だが一方で。実際に存在するのはごく少数にもかかわらず、「イクメン」が脚光を浴びれば浴びるほど、それが男性たちにとって精神的圧迫となり、自らを追い詰めているケースが少なくないのである』

第三章 介護がこわい
『家族の介護は女性が担うという時代は、今は昔。親や妻を介護する男性が増えている。それも、女性たちを補助する関わり方ではなく、他に代わってくれる人がいない、中心的に介護を行う「ケアメン」が』
『少子・高齢化、晩婚・非婚化が急速に進行する社会において、独身の息子が親を介護するケースは想像以上に広がっているのである。
 中年のシングル男性介護者は、自身が苦手とする家事や親の世話への戸惑いだけでなく。身近に苦難を理解、共感してくれる人がいないことから孤立しやすく、さらに問題を深刻化させている』

第四章 老いがこわい
『かつては女性の〝専売特許〟だったアンチエイジングだが、今では男性でも老いをこわがり、性機能の復活や薄毛の改善、筋肉の増強など、若返りに走る者が増えている。
「男にも更年期がある」と泌尿器科の医師を中心に診断、治療が始められてから十年余り。中年男性の不定愁訴的な心身の不調に「男性更年期障害」という病名がついたことで、原因も治療法も分からず思い悩んでいた人たちが安堵した反面、近年は実際には正常か「障害」か、不確かな人が自らそうであると訴えて医療機関を受診し、ホルモン補充療法や勃起不全(ED)治療薬の処方を受けて下半身を過剰に強化する事態にまでなっているのだ』

第五章 仕事がこわい
『もはや会社が社員の雇用を、まして生活までをも守ってくれる時代ではない。そんなことはとうに分かっている。だが、家族を養ってゆかねばならない。妻はというと、夫の収入が増え続けてゆく明るい未来などないことをすでに悟っており、ただ一家が路頭に迷うことのないよう「辞めさせられないでね」と迫ってくる。そんな会社と家庭の板挟みに苦しみながら、今日も仕事に打ち込む中年男性は少なくないのではないだろうか』
『正社員リストラのターゲットとされ、転職も難しく、苦境に立たされているのが、中年の男たちなのである。中間管理職として部下を査定することに頭を痛めながら自身の実績も思うように上げられずに心を病み、自主退職に追い込まれる者もいれば、正社員への道を閉ざされたまま思い煩い、怒りの矛先を同じ非正規雇用の女性に向けてしまう者もいる』

 こんな感じで「こわい」話を並べてみると、そのうち「饅頭こわい」なんてタイトルが出てきそうだけれども、まあ、これまで男性としては基本的に無視しても普通に生きてこられたものが、最近ではそうも行かなくなってきてしまっている、ということなんだなあ。

 以前ならば、結婚するかしないかは男女とも自由であったし、女性だって単身で子供を産んだって別に誰にも非難はされなかった(まあ一部では非難する人もいたけどね。でも、それはしょうがないじゃん)。「イクメン」問題は、多分1997年に改正になった男女雇用機会均等法あたりから広がった考え方で、仕事のやり方も男女の差別がなくなったんだから、家事や育児だって男女平等になるべきだということなのだろう。

 介護に関してはちょっと別の問題が出てきて、要は介護施設が足りないというところにきて、仕事がこわいという問題でも出てきている、非正規社員などの問題と複雑に絡んできている。育児と同様、介護も男性が参加しろという考え方に、仕事がなくなってしまった男性が、親の年金に頼りながら介護をするという「引きこもり型介護」なんて問題が出てきている。

「仕事がこわい」については、考え方の問題であり、別に「嫌なら仕事辞めちゃえば、それでも結構食っていくことはできるんだよ」というアドバイスで済んでしまう。

 まあ、この五つの「こわい」話の中では「老いがこわい」だけは別で、年をとって勃起もしなくなって寂しいというだけのことであり、普通に年寄りは年をとって行くもんだと開き直ればいいのである。

 で、取り敢えず本書で取り扱っている五つの「こわい」に共通して言えるのは「社会の同調圧力」ということなのだろう。

 結婚適齢期(って古い言葉だなあ)になったら結婚をして、子供が生まれたら妻と一緒になって子育てをし、親が介護が必要になったら夫婦で介護をし、適当に若返りながら、仕事に関しては普通に出世をして定年まで勤め上げるという、平凡な一生が人として一番幸せなのだ、という「同調圧力」だ。

 でも、そんな「人と同じ人生」を歩んでも、そのどこが面白いんだろうか。そんな一生を平凡に進めて、平凡に終わらせたところで、何が楽しいんだろう。勿論、平凡な一生だって、その生の一瞬一瞬は皆努力をしながら生きているということはある。そんな「平凡な人生」そのものに対する反対論が出てきてしまっているのである。

 しかし、たまたま、その「平凡」から外れてしまうことだってあるでしょう。その時に、「もう自分の一生は外れたままの人生になってしまう」と嘆くのではなくて、逆にその「外れた人生もまた自分の人生なんだ」と楽しみながら生きて行くというこのも、大事なんじゃないだろうか。

 というか、むしろ私として読みたいのは「男はつらいよ」ではなくて、「49歳、独身、母親の介護中」の奥田祥子さん自身のお話しなんだなあ。

 多分、「つらい男」たちの話よりも「女だってつらいのよ」という、奥田さんの自分語りの方が面白く読めるのではないだろうか……、と思うのだが。

『男性漂流 男たちは何におびえているか』(奥田祥子著/講談社+α新書/2015年3月1日刊)

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