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2015年10月15日 (木)

『アメリカのジレンマ』って何だ?

 2013年9月10日のアメリカ合衆国オバマ大統領のテレビ演説、「アメリカは世界の警察官ではない」から始まった、例えば、日本における集団的自衛権の問題なのであるが、まあ、アメリカがそう言っちゃったんだから、これはどうしようもないよね。

 つまり、自分の国は自分で守るということで……。

Photo 『アメリカのジレンマ 実験国家はどこへゆくのか』(渡辺靖著/NHK出版新書/2015年7月31日刊)

 ところで、アメリカを「実験国家」と呼ぶ渡辺氏なのだが、どこが実験国家なのだろうか。

『もともとアメリカは国家としての結束が脆弱な社会だった』

『一点目は、中央政府を三つの府、すなわち行政府(大統領府、ホワイトハウス)、立法府(議会)、司法府(最高裁判所)に分け、相互のチェック機能を設けることである。いわゆる三権分立の考え方だ』

『二点目は、州政府に大きな権限を与えることで、中央政府の権力を相対的に弱くすることである』

『三点目は、上記二点とも関連するが、アメリカを「君主のいない共和制国家」とし、「自律したデモス=市民を主体とした民主制国家」とすることである』

『この三点目こそが、アメリカが人類史における壮大な「実験国家」と称される所以である。一九九三年に設立されたヨーロッパ連合(EU)も壮大な実験だが、アメリカはヨーロッパより二〇〇年以上前に同様の試みを企てたわけである。人類史上におけるもう一つの壮大な「実験国家」として一九二二年に誕生したソビエト連邦は、わずか六九年間で崩壊している』

 うーむ、確かにアメリカという国は、そこに住んでいた自然な人たち(いわゆるネイティブ・アメリカン)が、いつの間にか自然に村を形成し、それが大きくなって街を形成し、小さな国を形成し、それが統一国家となってアメリカ合衆国となった訳ではなくて、アイルランドのピューリタンが入植し、ネイティブ・アメリカンを駆逐しながら本国イギリスからの独立を勝ち取ったという、「負」と「正」の歴史を背負った建国の歴史を持った国である。

『ヨーロッパの「旧世界」を覆っていた特権階級の世襲化に反旗を翻し、市民=デモス主体の社会建設を企図した実験国家・アメリカにとっては実に逆説的な現実である』

 その「逆説的な現実」とは何か?

『アメリカでは一九八〇年代から格差拡大が顕著になり、近年は、上位一〇%の富裕層がアメリカの全所得の約半分を占める状態が続いている。これは自由放任主義によって一気に格差が拡大した一九二〇年代を上回る水準だ。その一方、下位二〇%と上位二〇%の家庭に生まれた子の約四割は、成人後もそれぞれ同じ所得階層に留まっている。先進国のなかではイギリスに次ぐ世代間移動の低さだ』

 つまりアメリカ市民の「階層化」ということであり、近年それがかなり固定化されてしまい「階級化」となってしまっているっていうことなんだろう。つまりそれは「ヨーロッパの「旧世界」を覆っていた特権階級の世襲化」そのものだもんなあ。

『人種差別に対する抗議運動と啓蒙活動で知られるNPO「南部貧困法律センター」(SPLC)によると、今日、ネオナチや白人至上主義、黒人至上主義などを掲げた憎悪集団(ヘイトグループ)は全米に七八四団体存在しており、二〇〇〇年に比べて三〇%増加しているという』

『男女平等についても、実はアメリカは必ずしも「盟主」とはいえない。アメリカ連邦議会の上下両院において女性議員の占める割合は約二〇%となり、アメリカ史上最も高い水準にあるが、世界経済フォーラム(WEF)による男女平等ランキング(二〇一四年)によると、アメリカは世界一四二ヶ国中二〇位に留まっている』

 そんなアメリカではあっても、基本的にはやはりヨーロッパと違う出自があるという意識は高く。

『ヨーロッパでは、長年、保守主義・自由主義・社会主義という三すくみの対立軸によって政治空間が織りなされてきたが、アメリカでは保守主義もリベラリズムも(啓蒙思想を源とするヨーロッパ流の)自由主義を前提としており、イデオロギー間の差異はもともと小さい。アメリカの保守主義は自由主義の右派に過ぎず、リベラリズムは自由主義の左派に過ぎない、いわば「コーク」か「ペプシ」程度の違いに過ぎないという見方もできる』

 つまり、共和党=保守、民主党=リベラリズムという単純な二項対立ではないということなのか。

『そもそも、オバマ大統領の説く「国際協調主義」は、盲目的な楽観主義やナイーブな理想主義ではなく、コストとリスクの分散という、極めて現実主義的な判断に依拠している。厳しい現実を直視しない理想主義は空論でしかない。しかし、理想主義に裏打ちされない現実主義は空虚でしかない。現実主義的な理想主義者と理想主義的な現実主義者が共存するのがオバマイズムの本質のようにうかがえる』

 時として共和党と巖として対立する場合もあるし、その一方で共和党以上に共和党のような政策をとることもあるオバマイズムというのは、「現実主義的な理想主義者と理想主義的な現実主義者の共存」にその本質があるということなんだな。

『オバマ大統領が「アメリカはもはや世界の警察官ではない」と述べ、その言葉に象徴される「国際協調主義」が第二次世界大戦後にアメリカが自ら引き受けた役割の「限定」や「選択」を含意するとしても、話はそう簡単ではない。それはアメリカのアイデンティティの根幹に関わる問題でもあるから自らが旧世界とは異なる「新世界」であり、「あるべき世界」であるという強烈な自負心。加えて、国土の広大さや民族・宗教・言語的な多様性ゆえに、いわば「世界の縮図」として、自らを世界と同一視する傾向も強い』

 なるほど、国のあり方も時代によって変わってくるということなのかも知れない。

 であるとするならば

『左翼にとって、アメリカは資本家による労働者搾取や帝国的覇権主義の象徴であり、右翼にとって、アメリカは多民族社会ゆえの混乱や軽佻浮薄な近代的啓蒙主義の象徴となる。知識人や上流階級のスノビズム(俗物根性)としての反米主義も存在する』

 というような伝統的なアメリカ観は捨てて新しいアメリカ観を持たなければならないということなんだろう。

『いわゆる「反米」も「親米」も等しく時代錯誤の罠に陥りかねない。つまり、第二次世界大戦の「戦後」の呪縛を超えて、世界を考え、未来を語る必要があるということである』

 ということなんだろうなあ。

 まあ、アメリカ人にとっては「戦後」というのはなくて、結局、戦争の連続性の中で今も生きているということなんだしなあ。そう、わが国とは実はまったく経験を異にしている国なのだ、という意識だけでも最低限持っていなければならない、ってことなのである。

 アメリカも共和党が政権を握ってしまえば「モンロー主義」っていう手もあるしなあ。もう、分からんですな、先のことは。

『アメリカのジレンマ 実験国家はどこへゆくのか』(渡辺靖著/NHK出版新書/2015年7月31日刊)

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