フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 『マンション防災対策入門』講座を受けてきた | トップページ | 『地方消滅 創生戦略論』の「なるほど」感に本当は地方の人ほど気づかなければいけないのだけれどもなあ »

2015年9月 9日 (水)

『出科研「電子書籍市場推計」を開始』って、なんか「今さら」な記事について

「出版界唯一の専門紙『新文化』」の9月3日の一面記事が『紙版プロモーションはどう変わる? 出科研「電子書籍市場推計」を開始』っていうものなのだが、何だか今さら? って感じですね。

2

 まあ、元々出版科学研究所が出している「出版月報」や「出版指標年鑑」自体が、日販、トーハンなどの取次や、講談社などの大手出版社が出しているデータを引き写しただけのもので、出版科学研究所独自の調査結果なんてものはなかったのだった。

 それが

『出版科学研究所(出科研)が2015年1月分から電子書籍の市場規模推計を開始する。通期と上半期の年2回、独自調査による市場推計規模を出科研が発行する「出版月報」で発表する予定』『毎月発行する「出版月報」内に、電子書籍の売れ筋動向などを報道する常設ページを設ける。電子書籍市場の動向について毎月の連載を続ける中で、出版社、電子書店、電子書籍取次に対するヒアリングを重ねて、関連情報を蓄積していく。これにより、市場規模を素早く推計できる態勢を構築したい考えだ』

 という風に変わって来たのだから、ちょっとは期待してもいいのかも知れない。

 勿論、電子書籍市場規模の独自調査を始める第一の理由は「売り上げ規模が無視できない大きさになった」ということなんだけれども、そんなことは電子書籍登場時点ですぐにわかっていたはずなんだけれどもねえ。多くの電子書籍が出版取次を通さないで流通されていることから、その調査方法が見つけられずに、結局は一番データが提供されている取次データにばっかり頼っていたツケがここにきて回ってきたということなのだろう。

 つまり出版科学研究所が長らく言っていた「出版不況」という言葉が、実はそれは単に「紙の出版不況」でしかなく、電子出版を積極的におこなってきた、いくつかの大手出版社にとっては無縁のことだったというのが、遂にバレちゃったということなのである。

『一方、電子書籍市場動向に関して業界標準となるデータを長年提供してきたのがインプレスの「電子書籍ビジネス調査報告書」である。03年に発刊を開始し、以後毎年電書籍の市場推計データを発表している』

 ということで、このままいけば出版科学研究所のデータは(少なくとも大手からは)いずれ出版社から相手にされなくなり、出版科学研究所の存立そのものの危機になるという緊張感が、やっと彼ら自身の問題として認識されたものなのである。

Photo_2

 ただし

『電子書籍の市場調査は、紙の出版市場調査とは違った難しさがある。たとえば書籍の場合、流通量の大半が取次経由のため、取扱いデータから状況把握ができる。一方、電子書籍は、大手出版社は書店と直接取引するケースが多く、取次会社の持つデータだけでは全貌がつかめない。また、再販制により紙の出版物は価格が固定であるが、電子書籍は自由に動く。販売冊数から市場規模を推定することは不可能だ。
 販売形態も多岐にわたる。紙にはない読み放題サービスや、記事単位販売の市場も無視できない。コミックの場合は、プロモーションのための1巻目無料提供などがほぼ常態化している。
 市場規模の推定には、電子書店や出版社から売り上げデータを入手する必要があるが、簡単には提供してもらえないし、ジャンル別データを入手するのはさらに難しい』

 という難しさがあるが、それはまあ、これまでラクしてデータを入手してきたことに対するツケを支払っているんだから、それは仕方がないね。まあ、出版市場もこれからは一般市場と同じように、再販制度なんてものとは関係なく動いていくってことを理解するしかないのだ。取り敢えず、これからは独自の調査方法を探して、いろいろ苦心してデータを作っていくしかないだろう。勿論、講談社や小学館、KADOKAWAなどはそのデータ作りには協力していくだろうから、それを頼りにして行くしかない訳なのであるが、当然、それら各社が提供するデータには、それら各社がかけたバイアスがあるだろうから、それをどう判断していくかというノウハウは自分たちで構築していかなければならない。

 出版社自身もこれまでは「再販制」「委託制」という二大保護制度に守られてきていたわけなのだが、出版の電子化が全盛時代になってこの二大保護制度もほぼ瓦解する日も近いだろう。同時に、その出版社に対してマーケット・データを提供する方も、出版社と同じく保護制度に守られてきた仕事のやり方を変えなければならないのは当然のことである。

『出版社にとっては、コンテンツのリーチ、さらには知財活用状況などの市場分析も必要となってくるだろう。
 電子書籍市場の拡大とともに、コンテンツ提供形態の多様化が加速することは間違いない。市場戦略の展開には無料サービス、読み放題サービスなども含め、さらには紙と電子の市場をトータルで見られる推計データの必要性が高まるはずだ。
 出科研の新調査により、出版社にとってマーケットの状況を把握する新たな視点が提供される。紙と電子の関連性を追うという点において、それは書店などにとっても有益だろう。目前に迫った“紙だけでは生き残れない時代の指標”として、双方を見据えた調査に対する期待は大きい』

 とまとめた『新文化』だが、はたして出版科学研究所が自らの独自調査方法を確立して、取次や大手出版社のブラ下がり調査機関から脱出し、取次、大手出版社からの真の独立を獲得できるかどうか、実際には「見もの」ではある。

 まあ、私は実は「できない」方を予想しているんだが、もし「できる」のであれば、それはそれで慶賀ではある。

 出版科学研究所のメンバーには頑張ってもらいたいとエールだけは送らせてもらおう。

« 『マンション防災対策入門』講座を受けてきた | トップページ | 『地方消滅 創生戦略論』の「なるほど」感に本当は地方の人ほど気づかなければいけないのだけれどもなあ »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/62228034

この記事へのトラックバック一覧です: 『出科研「電子書籍市場推計」を開始』って、なんか「今さら」な記事について:

« 『マンション防災対策入門』講座を受けてきた | トップページ | 『地方消滅 創生戦略論』の「なるほど」感に本当は地方の人ほど気づかなければいけないのだけれどもなあ »

2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?