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2015年8月 8日 (土)

『年収は「住むところ」で決まる』って、何だそういうことか

 原題は「THE NEW GEOGRAPHY OF JOBS」(新しい仕事の地理)というのだけれども、邦題になってしまうと『年収は「住むところ」で決まる』となるんだなあ。確かに、意味的にまったく異なってしまっているわけではないが……、プレジデント社もなかなかジャーナリスティックですね。

 しかし、学歴とかで決まるっていうんだったら分かりやすいんだけれども、そうじゃなくて「住むところ」で決まる、ってのは初耳だなあ。

 まあ、一種の「トリクルダウン」っていう考え方に近いのかなあ。

Photo 『年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』(エンリコ・モレッティ著/池村千秋訳/プレジデント社/2014年4月23日刊)

 取り敢えず、読書メモから……

『ある土地に大学卒業者が多くなれば、その土地の経済のあり方が根本から変わり、住民が就くことができる職の種類と、全業種の労働者の生産性に好影響が及ぶ。最終的に、そういう土地では、高度な技能をもっている働き手だけでなく、技能が乏しい働き手の給料も上がっていくのだ』

『科学者やソフトウェアエンジニア、数学者の雇用が増えれば、地域のサービス業に対するニーズが高まる。その結果、タクシー運転手や家政婦、大工、ベビーシッター、美容師、医師、弁護士、犬の散歩人、心理療法士の雇用も増える。地域レベルのサービス業で働く人たちは、ハイテク企業の社員たちが暮らす地域に集まり、その人たちの個人的なニーズに応えていくのである。』

『職務経験、教育レベル、IQ(知能指数)の違いを考慮に入れて比較をおこなっても、年収の格差は同じように存在する。要するに、働き手の資質自体にはあまり大きな違いがない。違うのは、その人が働いている地域の経済のあり方、とくにその地域の高技能の働き手の数なのだ』

『教育レベルの高い住民が多いと、地域経済のあり方が根本から変わる。住民が就くことのできる仕事の種類が増え、労働者全体の生産性も向上する。その結果、高学歴の働き手だけでなく、学歴の低い人の給料も高くなる』

『教育レベルの格差は、給料の格差と直結している。最上位の頭脳集積地の大卒者たちは、年収が七万~八万ドルに達する場合もある。これは、最下位グループの都市で働く大卒者の約一・五倍だ』

『シリコンバレーの中心に位置するサンノゼは、マーセドに比べて大卒者の割合が四倍以上、大卒者の年収が一・四倍、高卒者の年収が二・三倍に達している』

『ボストンは、大卒者の割合がフリントの四倍で、イノベーションと金融が経済の牽引役になっている。一方のフリントは、アメリカでことのほか人的資本の蓄積が乏しい都市で、いまだに古いタイプの製造業、とくに自動車製造業に依存している。ボストンの大卒者の年収は、平均して七万五一七三ドル。フリントの一・七倍あまりに達している』

『ボストンの高卒労働者の平均年収は六万二四二三ドル。これは、フリントの大卒者の平均の一・四倍だ。サンノゼの高卒者の平均年収は六万八〇〇九ドル。最下位グループの都市の大卒者に比べて一~二万ドル多いケースも珍しくない。都市間の格差があまりに大きく、学歴による格差を飲み込んでいるのである。ここから浮き彫りになるのは、アメリカにおける賃金格差が社会階層よりも地理的要因によって決まっているということだ』

『アメリカはいま「三つのアメリカ」に分岐しつつある。表1にあるような頭脳集積地では、教育レベルの高い働き手もそうでない働き手も高い給料を得ている。その対極に、表2に載っているような地域がある。働き手の教育レベルが低く、労働市場が地盤沈下を起こしている土地だ。そして、この両者の中間に、まだいずれの方向に歩んでいくかがはっきりしない都市が多数ある』

『大卒者の割合が多い都市ほど、高卒者の給料が高い』

『都市の大卒者人口が増えることの経済的効果はきわめて大きい。大卒者の割合が一〇%増えると、その都市で働く高卒者の年収は七%増えるのだ』

 なるほどなあ、これは「トリクルダウン理論」とはまたちょっと違う現象のようだ。

 高学歴者が集まって作っている街に住んでいる人たちは、自分たちの仕事が忙しい分、サービス業に頼る部分が増えてくる。ということは、そんなサービス業に携わる低学歴の人たちの仕事が増え、その結果、そんな低学歴の人たちの収入も増える、っていう三段論法なんだが、しかし、そんなにうまく行くんだろうか。

 つまり、そんな低学歴の人たちが住む場所は、やはり高学歴の人たちが住む場所とは異なってくるんじゃないだろうか。つまり、まず高学歴の人たちが住む場所の不動産費用は高額だろうし、その結果、生活費だって上がってくる。でも、低学歴の人たちの収入が他のところよりも若干高いとはいえ、やはり負担増にはなるわけで、結局、同じ都市の中にも「高学歴層が住む地域」と「低学歴層が住む地域」と言う具合に二分はされそうだ。

 ただ、まあそうはいっても、例えば東京に住むのと、前橋や宇都宮に住むのでは、やはり「住む場所によって年収は異なる」ということにはなるだろう。つまり、東京でサービスを提供する会社は、やはりそれなりに高い収入を約束しなければ労働者を雇うことはできないだろうし、ということは、当然その会社がお客さんに請求するサービスの値段も高くなる。で、その高いサービス対価を支払えるのも、東京で高い収入を得ている高学歴の人たちじゃないと無理、という訳なのだな。

 勿論、同じサービスを地方都市で受けた場合の対価は低くなるだろうし、ということは、そのサービスを提供する労働者の収入も少なくなるって訳だ。

 なあんだ、そういうことか。

 って、実はそうじゃない部分がこの本では重要なんだけれども、『年収は「住むところ」で決まる』というタイトルにだけこだわって読むと、まあ、そういうことになる訳です。

 で、そのことはいずれ書くこととして、キーワードは『私たちの仕事の環境と社会の基本的骨格は、グローバル化とローカル化という、二一世紀の二つの潮流によって根本から様変わりしようとしている』ってことね。

『年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』(エンリコ・モレッティ著/池村千秋訳/プレジデント社/2014年4月23日刊)

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