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2015年7月12日 (日)

『こうして、世界は終わる』んじゃなくて、中華帝国の支配下になるんだよな。それが嫌だから「こうして、世界は終わる」なんだろうか?

ツール・ド・フランスも前半3分の1は平地のレースで、それはそれスプリンターの勝負で面白いんだけれども、タイム差がつかないから、その部分では面白くない。これからピレネーやアルプスの山岳レースになると面白くなるんだろうな。

 ということとは何の関係もなく、今日のブログは始まります。

 邦題は「世界は終わる」なんだが、違うんだよなあ。原題は"The Collapse of Western Civilization"、「西洋文明の終焉」。つまり、欧米中心の西洋文明社会が2093年に終わって、中国が「第二次中華人民共和国(あるいは「新共産主義中国」)」として世界の中心に躍り出るって話を、2393年の中国の歴史研究家が語るというスタイル。

 すべての問題は、エネルギー革命と化石燃料、「炭素燃焼複合体」と「海面上昇予想否定法案」にあり、そのもとになっているのが新自由主義だというのである。

Photo『こうして、世界は終わる――すべてわかっているのに止められないこれだけの理由』(ナオミ・オレスケス、エリック・M・コンウェイ著/渡会圭子訳/ダイヤモンド社/2015年6月25日刊)

 既に崩壊の予兆は2009年に始まっていたのだ。

『2009年は西洋世界が自分たちを救う“最後にして最大のチャンス”と考えられていた。
 国連気候変動枠組条約が作成されて以来、危険な気候変動を阻止するための拘束力を持つ国際法への同意を目指し、15回目の会議がデンマークのコペンハーゲンで開かれたのだ。
 その2年前、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に係わった科学者たちが、人間の行動が地球温暖化の原因となっているということは“疑う余地はない”と明言していたし、世論調査でも大半の人が(操縦しにくいアメリカ人でさえ)何らかの策を講じることを容認すると答えていた。
 しかし会議の少し前から、IPCCの結論の根拠となった研究を行った科学者らに対し、疑義を呈する大規模なキャンペーンが繰り広げられた。
 このキャンペーンに資金提供していたのは、主に化石燃料会社だ。
 当時、そうした会社の年間収益は、ほとんどの国のGDPを超えていた。
 温暖化防止の運動への公的支援は消滅した。
 アメリカ大統領でさえ、前向きな取り組みはできないと感じていた』

 って言うんだタラ、それは1968年のローマクラブの警鐘だってそうだったんだけれどもね。

『2010年、記録破りの夏の暑さで、ロシアでは5万人が死に、損害は150億ドル(2009年当時の米ドル)に及んだ。その翌年にはオーストラリアで起きた大洪水で、25万人以上が被害を受けた』

『科学者が調査できる範囲と方法を制限する法律が(特にアメリカで)可決された。
 その先鞭をつけたのが、2012年にアメリカ合衆国ノースカロライナ州議会で可決された、悪名高い下院法案819、いわゆる「海面上昇予想否定法案」だった。
 また、2012年の政府歳出と責任についての法案」は、公的機関に所属する科学者の、研究結果を公表・分析する会議への出席を制限する内容だった』

『2010年代半ばには、北極の夏期の海氷面積が、人工衛星による正確な測定が始まった1979年に比べ、およそ30パーセントも減っていた』

『2001年、気候変動に関する政府間パネルは「大気中の二酸化炭素濃度は2050年に倍になる」と予測した。
 実際は2024年に、そのレベルに達してしまった。科学者は気温が2℃から3℃上昇するマイルドな温暖化を予想していたが、実際には3.9℃上昇した』

『2040年には、熱波と干ばつは、ごくふつうのことになっていた』

『海面の上昇は、この時点では地球全体で9センチから15センチにとどまり、海岸地域の人口はほとんど変わらなかった』

『2041年の北半球の夏、かつてないほどの熱波が襲い、世界中の作物が枯れ果てた』

『2050年代になると社会秩序が崩れ始め、政府が倒された。
 特にひどかったのはアフリカだが、アジアやヨーロッパの多くの地域でも同じことが起こった』

『2060年には、夏期の北極で氷が見られなくなっていた』

『その後20年間(2073年から2093年まで)で、氷床の90パーセントがばらばらになって融解し、地球上のほとんどの地域で海面が約5メートルも上昇した』

『海面が8メートル上昇すると、世界の人口の10パーセントが住む場所を移動せざるを得なくなると予想されていた。
 しかしそれは過小評価だった。
 実際に移動したのは20パーセント近くにのぼった』

『このときの集団移動は、第二の黒死病流行の一因となった。
 新しい系統のペスト菌がヨーロッパで発生し、アジアと北米に広がったのだ。
 中世にペストが流行したとき、ヨーロッパには人口の半分を失った地域もあった。
 この第二の流行においても同じくらいの被害があった』

 かくして、2093年にアメリカとカナダは二国で北アメリカ合衆国となり、オーストラリアとアフリカには人がいなくなり、新自由主義は終焉し、世界は第二次中華人民共和国(あるいは新共産主義中国)の元に再編成されるのだ。なぜ、中国が生き延びるのかと言えば、ある種の専制主義は民主主義よりも力を発揮できるという考え方だろう。それは本当かも知れない。

 我々日本人として多少はホッとできるのは、『日本人の遺伝子工学者アカリ・イシカワが、大気中の二酸化炭素を、既存の生物よりはるかに大量に消費して光合成を行い、あらゆる環境条件で育つ、一種の地衣類を開発した』その結果『20年もたたないうちに、風景が目に見えて変わり、大気中の二酸化炭素量の数値も変化した』『そこから地球の大気の回復、社会、政治、経済の回復への道のりが始まったのだ』という記述。

 まあ、何故それが日本人なのかという点はよくわからないのだが、気分はいい。

 本書の原書は2014年6月14日に刊行されている。なので、2014年前半までに関する記述は実際にあったことを書いてある。それ以降は、現在実際に起こっていることからの類推だ。SFなのは唯一アカリ・イシカワに関する記述だけ。

 2012年にノースカロライナ州議会が通した「海面上昇予想否定法案」っていうのは実際にある決議(勿論そんな名前の法律ではないが)。ノースカロライナ州はその東部分が大西洋に面しており、海面上昇の可能性を認めてしまうと商工業や保険に多大な影響があるということで、そんな法案を通してしまったのだけれども、なんてバカな法案なんだろうか。

 しかし、考えてみればわが国でも東日本大震災後の東京電力と政府による原発問題における隠蔽や誤魔化しを見てみると、あまりノースカロライナを笑えないのかも知れない。

 しかし、そんな簡単に、あと80年で新自由主義が崩壊するとも思えないが、いずれは新自由主義も崩壊するだろうし、資本主義経済も崩壊はするんだろう。その後に来るのは多分ソビエト連邦型ではない形の共産主義であるだろうというのも、大方予想はつくのだけれども、しかし、じゃあ具体的にそれがどんな形の政体であり、経済体制なのかは未だに見えていない。

『こうして、世界は終わる――すべてわかっているのに止められないこれだけの理由』(ナオミ・オレスケス、エリック・M・コンウェイ著/渡会圭子訳/ダイヤモンド社/2015年6月25日刊)Kindle版も出ていたんだ!

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