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2015年7月17日 (金)

『男しか行けない場所に女が行ってきました』

『男しか行けない場所』っていうのは、ようはフーゾクである。

 そんな「男しか行けない場所」を取材しレポート漫画をエロ雑誌に描いてきたのが、本書の著者、田房永子氏なのである。

 勿論、書いてきた媒体が「エロ雑誌」である以上、実際の取材通りのことを書いてはいけないのである。

『「男しか見ない」「男のための」エロ本。本当に思ったことは書けない。「エロ本の中の女」はとにかく「かわいくて若くて恥じらいがあって、だけどちょっぴりエッチなことに興味がある」という性質でなければいけなかった』

 なので

『本書では、私が見た、見たけれどエロ本には書けなかった風俗店やAVやエロ本、その他「男しか行けない場所」について書き記していく。「男たちの欲望」を女としてどのように捉えるのか、みなさんと考えることができたらうれしい』

 という本なので、何かスケベな目的で本書を読むと、失敗するのであります。

 つまり、わたしがそうだった、ってことなんだけれどもね。

Photo 『男しか行けない場所に女が行ってきました』(田房永子著/イースト・プレス/2015年6月18日刊)

 で、本書に出てくる「男しか行けない場所」とは、以下の通り。

風俗だからって超絶テクニックを受けられるわけではない 人妻アロマオイルマッサージ

男は本当に「種を残したい生き物:なのか ドール専門風俗店

当たりそうで当たらないおっぱいを楽しむ 密着型理髪店

女のプライドとやさしさの表現「笑顔でパカパカ」に感涙 ストリップ劇場

おじいちゃんたちの憩いの場 ピンク映画館

床から吹き上がる風でスカートがめくれ上がる パンチラ喫茶

体験取材できないコンプレックスと向き合う オナニークラブ

女も行けるが男のための場所 メイドキャバクラ

セックスする前から、女の演技ははじまっている AV撮影

性的興奮と恐怖が2秒ごとにやってくる DVD個室鑑賞

女の子がビーフストロガノフを食べ出す 竜宮城風ガールズバー

男たちは何を求めて風俗へ行くのか おっぱいパブ

 ということで、後は「男のための場所で誘う男たち」「男しか行けない場所で働く女たち」「エロ本を作る男たちと私等々について書いているんだが、実は読んでいて一番面白かったし、「ふんふん、なるほどなあ」と頷けたのが、「第5章 実は男しか行けない場所」のこれまた最終節「“お母ちゃん”にはこう見える AKB48の風俗っぽさ」なのでありました。

 勿論、ここにも取材はかけている訳ですね。

『秋葉原のAKB劇場の客席には、電車の座席みたいなひとり分のスペースが分かるように色がついている長い椅子が置かれていて、隣の人とピッタリくっついて座る。お客さんは単独で来ている男性がほとんどだが、3割近くは女性だった』

 という具合。で

『ウォークマンでアイドルソングを聴きつつ雑居ビルの一室で女の子の写真を選んでパンツを買う1990年代のブルセラ要素が20年の時をかけて淘汰され、2010年代は、制服姿の女の子自身がパンツを見せながらアイドルソングを歌うという合理的な展開となった。それがAKB48だ。私はそう思った』

 なるほど、慧眼ではありますな。

『AKB48には、年に一度の「総選挙」によってキャバクラ的要素も含まれる。客の人気投票で順位を決め、上位の者はステージ上で泣きじゃくりながら、「夢は必ず叶う」という演説をしてファンへ感謝の意を述べる。他のアイドルに比べてこの「夢語りと涙と感謝」の点が異質であり、人気の秘訣と思えた。
 女子どもの目を盗んでひっそりとあった「男しか行けない場所」が“表沙汰”になる時。「男の欲望」そのものをエンターテインメントとして表現することを成立させる時。そこには「夢語り」という目的、「涙」という理由、「感謝」という正当さが必要不可欠であるということを、AKB48に証明されたような気がした』

『「今、自分磨きのためにしていること」をひとりずつ言っていたのだが、「私はレポーターになりたいので」とか「スポーツ番組に出られる人になりたいので」とか、「本当の夢」を語っている。風俗嬢に取材すると「借金を返すために働いている」とか「看護師になりたいから勉強している」とか言う。なんかそれと同じ感がして、「AKBって風俗っぽい」という印象が一気に噴きあがった』

 とは言うものの、大島優子を見ているうちに、何故かこの気持ちは変わってきてしまうようなのだ。

『実際のAKBファンは、AKBの女の子たちに“食われている”顔をしていた。ブルセラ女子高生とおやじではなく、されるがままの童貞男と寛大な手ほどきをする風俗嬢、というほうが近かった。というか、そのものだった。
 ちゃんと曲を聴こうとしても、男になった自分が風俗店に行って、大島優子を指名している風景がなぜか脳裏に浮かんでくる。本当に不思議だが、どうしてもどうしても浮かんでしまう』

『「優しいおばあちゃん」が女子高生みたいな制服を着て、元気に飛び跳ねて恋心を歌う。それは、男が作り出した男のためのサービスだけど、大島優子みたいな、男たちが想定したものを遥かに上回るほどの「優しくて気の利くおばあちゃん」を徹底して提供できる人がいると、作り手も観客も一気に食われてしまって、他のメンバーも揃って「AKBというグループで働いている人」を超えてしまう。観客がいるから歌っているのか、歌っているのを見させてもらっているのかなんだか分からなくなる。だから、観客は静寂してステージを見つめることになる』

『90年代のブルセラ文化が変な風に進化して生まれた気味の悪い団体」というAKB48への個人的な印象は160度変わった。帰りにAKB48の写真が入ったグッズを買わざるを得なかった。もし、AKB48のメンバーがMCで、自分たちの置かれている状況を女として分析するようなおしゃべりを披露していたら、私はAKB狂いになっていたと思う。だけど、AKBがMCでそんな話をすることは永久にない。それだけが180度へ届かない理由だった』

 って、当たり前でしょう。そうなっちゃったらAKBも風俗嬢も「女として同じだった」っていうことになってしまう。

 それはAKBファンの童貞男の夢を破っちゃうもんね。

『男しか行けない場所に女が行ってきました』(田房永子著/イースト・プレス/2015年6月18日刊)

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