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2015年7月 3日 (金)

「下流老人」だけでなく、「中年ひきこもり」というのが、もっと問題なんだが、それ以上に「朝日新聞」の劣化が気になる

 まあ、本(電子書籍)の作り方としては安易と言えば安易だが、もともと新聞社のつくる本と言えば、新聞記事を元にしたものが多いのだから、こんなのもアリかなとも思う。

 本書は2013年10月7日から10月12日に朝日新聞に連載された記事を集めたものなのであります。

20 『ひきこもり20年、その先 時間との闘いにもがく老親たち』(朝日新聞(金成隆一、堀井正明)著/朝日新聞select/2013年10月25日WEB新書版刊・2013年12月31日EPUB版刊)

 要は一昨日書いた『下流老人』の逆、というか実はもっと大きい問題である「中年ひきこもり」というやつなんだな。

『私が死んだら家にひきこもっている息子は生きていけるんでしょうか」。東京都のファイナンシャルプランナー畠中雅子さん(50)は15年ほどこんな相談を受けてきた』

 いちいち、人名を載せるたびに年齢を書くって言ういかにも新聞風な書き方は、出版社にいた私にはなんかあまり気持ちの良いことではないが、まあ、それは関係ない。要は、就職して間もなく失業して、以来20年近くひきこもる息子の話なのだそうだ。

『「ネットでCDやゲームソフトを代引きでどんどん注文し、私が払うんです。でも本当に必要でもないみたいで。未開封の箱が部屋の前に積まれていて……」
 家計の収支があいまいなのは明らかだ。畠中さんは女性宅の全資産を聞き取って紙に書き出し、息子が80歳まで1人で生きると仮定して1カ月に使える金額をはじいた。
「生活費に上限が必要です。『浪費をやめれば今の貯金で生きていけるが、このままでは65歳で底をつく』と紙に書いて渡してください」。貯蓄残高が減っていく様子を表にして女性を説得した。その後どうなったかは、連絡はない。
 相談に来るのはほとんどが母親だ。60~70代が多い。「道連れにしたい」と泣き出す人や、「お前の育て方が悪い」と夫から暴力を受けている人もいる。医師やカウンセラーに相談しても前進できず、親族からも心ない言葉を投げつけられる』

 う~ん、こうなると一昨日の「下流老人」にぶら下がっている、さらに下流の「中年ひきこもり」という存在がいるって言う訳なんだなあ。確かに、以前書いたような気もするんだが、若者のひこきこもりは、まだ親世代が現役だったりして経済的にも何とかなったり、若者らしくひきこもりから立ち直るケースも多かったりするんだが、それが30~40代位のひきこもりになってしまうと、親世代がすでに現役を退いてしまったりして経済的に苦しくなってきてしまい、さらにその位の引きこもりになってしまうと、もはやひきこもりをこじらせてしまって、最早立ち直ることはほぼ不可能という状態になってしまう。さらに、そんなひきこもり状態なので、生活保護を受けるための条件や手続きなどの知識もなく、最後は野垂れ死にをするしかないという状況にまで陥ってしまうのだろう。

 2010年の内閣府「若者の意識に関する調査」によれば、ひきこもりになったきっかけは
○職場になじめなかった                23.7%
○病気                                       23.7%
○就職活動がうまくいかなかった    20.3%
○不登校(小学校・中学校・高校)   11.9%
○人間関係がうまくいかなかった   11.9%
○大学になじめなかった                6.8%
○受験に失敗した(高校・大学)      1.7%
○その他                                    25.4%

 だそうである。まあ、病気は仕方ないにしても(ただし、その病気というのも「鬱病」なんてのもあるしなあ)、基本的に「職場になじめなかった」「就職活動がうまくいかなかった」というのが「二大ひきこもり理由」ってのが、基本的に自らの就職感の間違いなんじゃないかとも思えるんだが。

 要は、自分が就職しようと考えて就職できた会社が、自分が思っていた会社のイメージとは違っていた、あるいは自分が就職しようとおもっていた企業ジャンルになかなか就職できないうちに、自分が希望していなかった会社に内定してしまった、ということなんだろう。

 しっかし、こんなことは当たり前でしょう。

 会社に入る前に持っていたその会社の外部から見たイメージと、実際にその会社に入ってから見せられるその会社の実態が違うのは当たり前だし、自分が就職しようと思っていた企業ジャンルに就職できないというのは、やはり自分がその企業ジャンルから求められている人材ではなかったというだけのこと。まあ、そうやって割り切れる人ははじめからひきこもりになんてならない人なんだろうけれどもね。

 つまり、人生をもうちょっと大局的に見られる能力を身につけていれば、別にどうということもなく乗り越えられるんだろうけれども、いちいちひとつの躓きにこだわっているひとにとっては、その集積が「ひきこもり」の原因になってしまうんだろう。

 そんなひきこもり対策として、2010年に一般社団法人として設立された栃木県若年者支援機構「しごとや」というのがあるそうだ。

『理事長の中野謙作さん(53)は「若者が自分に合った働き方で様々な仕事を体験して、自信をつけて社会に一歩踏み出せるような事業を用意しています」と語る』

 とあるが

『国は就労訓練を「中間的就労」という名称で制度的に整理しようとしています。「しごとや」が取り組んできたような就労訓練を、経済的にも長期間続けられる仕組みにするのは国や行政機関の課題です。就労訓練を有効性が高いものとして、制度的に位置づけることが重要です』

 という、本書の結論にはちょっと矛盾、というかテーマの置き換えがないだろうか。

 もともと、本書の書き出しは「中年ひきこもり」なのである。ところが、いつのまにか「ひきこもり」の対象は「中年」から「若年」になってしまっている。

 そうじゃなくて

『親の世代が次々と年金生活に突入し、現実を直視しなければならない段階に来た。余裕のない家庭では子が生活保護を受けるしかなくなると感じる』

 ということが最初の問題だったんではないのだろうか。

 それがいつの間にか「若者のひきこもり」の話になってしまっている。そりゃあ、若者はまだまだ可能性があるんだから、ひきこもりから脱出する手立てはあるだろう。問題は、そんな手立てがなくなってしまった「中年」や「壮年」の「ひきこもり」の話だったはずなんだけれどもなあ。

 まあ、そんな「中年」や「壮年」の「ひきこもり」は生活保護を受ければいいんだけれども、若者のひきこもりからの脱却方法を書くんだったら、同じように中年や壮年のひきこもりからの脱却方法も書かなければいけないんじゃないだろうか。

 なんか、この辺、最近の「朝日新聞」はちょっとダメになってきたなあ。

『ひきこもり20年、その先 時間との闘いにもがく老親たち』(朝日新聞(金成隆一、堀井正明)著/朝日新聞select/2013年10月25日WEB新書版刊・2013年12月31日EPUB版刊)

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