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2015年5月15日 (金)

音響監督・若林和弘の仕事

 一昨日(5月13日)に映像・Web系の株式会社立大学のデジタルハリウッド大学で行われた公開講義『~宮崎駿、押井守らと数々の名作を生みだしたプロが語る~アニメに命を吹き込む音響監督、若林和弘の仕事』を受講してきました。

 モデレーターはデジタルハリウッド大学の高橋光輝教授。

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 私はアニメーションの音響監督と言えば、虫プロ系の明田川進氏(「レンズマン」「アキラ」など)や三間雅文氏(「カードキャプターさくら」など)、浦上靖夫氏(「レイアース」など)、タツノコ系の本田保則氏(「レスラー軍団」など)、鶴岡陽太(「逮捕しちゃうぞ」など)、その他、劇団系の斯波重治氏(「バリバリ伝説」など)、浅利なおこ氏(「逮捕しちゃうぞ」など)、独立系の岩浪美和氏(「ああっ 女神さまっ」など)といった面々と仕事をしてきたのだが、系列から言えば斯波重治氏の弟子筋にあたる若林氏とは仕事でご一緒したことはありませんでした。

 それは何故かと言うと、当然なんだけれどもジブリの鈴木敏夫さんとは個人的に親しくさせていただいたけれども、宮崎駿とは仕事をしたことはないし、押井守とも個人的には親しくさせていただいたけれども、押井作品は担当しなかったというだけのこと。ただ、他人の担当する制作現場を除きに行くのは好きだったので、『攻殻機動隊』の現場にも何度も足を運んだので、若林氏とも親しくお話をさせていただいた関係。

 で、まず最初に若林氏の口から出たのは「日本のアニメにおける音響監督」というものの立ち位置についてなのでした。つまり、「日本のアニメにおける音響監督」という立場は世界的に(と言っても「欧米では」ですが)言っても極めて特殊な職業であるということ。

 本来、映画(アニメは映画なのです)で映像と音響に別の責任者がいるということはあり得ない話であり、基本的には監督というのは映像にも音響にも責任を持つというのが当然なわけです。ところが日本のアニメーションというのはちょっと特殊な発展の仕方をしてきたわけで、虫プロが日本で最初のTVシリーズアニメ「鉄腕アトム」を製作した時、当然、絵(映像)の制作がムチャクチャに遅れてしまい、監督(演出家)が音響制作に立ち会えなくなってしまった、という事態が起きてやむなく監督とは別の人が音響制作担当者として立つことになったのです。

 その後、だんだんと「アニメの監督=絵描き」というスタイルが定着してきてしまい、アニメの監督とは別に「音響監督」というものが立つことが普通になったっていう訳。以前はTVアニメはそうやって作ったけれども、劇場作品はやはり監督が全体を仕切って、というやり方をしていたけれども、最近は劇場作品も同じやり方をしているケースがほとんどです。

 先に「虫プロ系」とか「タツノコ系」とか書いたのだけれども、ここに一つない系列があるんですね。それが「東映系」っていう呼び名。東映は「実写映画」の製作会社です。なので、映像と音響で別の監督が立つなんてことはあり得ない、ってのが基本発想。つまり東映アニメーションは今でも基本的に監督が映像も音響も責任者として担当するスタイルを持っていて、そう言えば「3×3 EYES」の制作担当をしたときには東映アニメーション(当時は、東映動画)の音響監督っていなくて、監督が総てを仕切るっていう感じだったことを思い出しました。ただ、最近の東映アニメーション作品は音響監督を立てるというスタイルになってきたようですがね。

 で、若林氏が音響監督を担当した作品を三作品を観ながらの話に移ります。

 最初は宮崎駿の『千と千尋の神隠し』から。

 さすがに宮崎作品はお金をかけていて、音響制作だけでも1年かけているそう。ジブリの場合はストック音だけでなく、新たに取材(音ロケ)するケースが多いようですね。若林氏が普段は住んでいる屋久島の音なんかも結構使っているそうで。

 しかし、私も『逮捕しちゃうぞ』の時は、以前の『バリバリ伝説』を制作した時(この時にはどんなことがあったのかは言わない)の経験から、これは実音を録らなきゃファンからはバカにされるぞと思って、とにかく出てくるメカ(要はクルマやバイク)の実音を録ることに執着しました。マニアが見れば実音かそうじゃないかはすぐ分かるからね。なのでOVA版「逮捕しちゃうぞ」の音は、全部ホンモノの音です。TVシリーズはプロデュースしていないので知らん。多分、そこまでは凝っていないと思う。これはOVAとしては結構音響に予算をつぎ込んでいる実績ですね。ただし、いろいろタイアップをお願いしていたり、素人のファンを巻き込んだりしていたので、お金はかかっていません。

 凄いのは音のトラック数ですが最大で300トラック! 平均で150トラック位使っているそうです。調整卓はせいぜい50トラック位だから、それにプロ・ツールズのトラックを最大限使っちゃうんだろうな。じゃないと300トラック(!)なんて使えないよ。

 お次は、ご存じ押井作品『イノセンス』です。

 この映画の効果音はすべてスカイウォーカー・サウンド(ジョージ・ルーカスのルーカスフィルムの下にある会社)が作っているんだが、実はスカイウォーカー・サウンドって私も前に行ったことがあるんですね。「アキラ」のアメリカでの可能性を探る出張でサンフランシスコに行った際に、チョコッと寄ってみたんだが(当時はルーカスフィルムの音響部門という位置づけで独立はしていません)、まだ音響はアナログ時代ではあったが、クオリティの高さだけは凄い!(と、「アオイスタジオのスタッフが言っていた」) というのを感じさせたのであります。

 そのスカイウォーカー・サウンドの効果音に若林氏は唸ったそうです。音に対して時間をかけるのが当たり前のハリウッドなんですが、当然お金もかかるけれども、それなりの仕事をちゃんとやってくれるんですね。

 シーンは深夜のコンビニでバトーが脳をハッキングされるシーンなんだけれども、ハッキングされているシーンは当然色の演出も少し変わっているんだけれども、同時に音も変化させている。その変化の有り様が実に映像にあっているんですね。

 映画を観ていた時も、このシーンは凄いと思ったけれども、解説をしてくれるともっと「凄い」というのがよく分かります。

 で、この二作の最後に宮崎駿流と押井守流のアニメーターとの接し方の違いのお話しが。

 宮崎駿はとにかく自分で絵が描けるので、打ち合わせをしていてイメージと違う絵が上がってくると、単純に自分で描きなおしてしまう。押井守は自分では絵コンテ位しか描けない(アニメの原画は描けない)ので、とにかく口でイメージを説明する。

 この場合、アニメーターとしてはどちらがいいんでしょうか? 当然、宮崎流は「んじゃ、自分で全部描いちゃえばいいじゃん」てなりますよねえ。この辺が宮崎アニメで私が嫌なところなんですけれどもね。

 最後は新作『七つの大罪』です。

 ここでは、「台詞と音楽」「台詞と効果音」「音響三要素ミックス」の三つのパターンで聞かせてくれて、っていうか、それってポストプロダクションでスタジオ作業をする時の普通の聞かせ方でしょう。

 ということで、一瞬、昔に戻ったような気持ちでございました。

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Fujifilm X10 @Digital Hoolywood Univ., Ochanomizu, Chiyoda (c)tsunoken

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