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2015年5月11日 (月)

『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』押井守の女性コンプレックスについて考察する

 二足歩行型ロボットというのは2015年の現在ですら既に旧式の考え方によるロボットであり、「敵を攻撃する」という単純な働きをするためには、その為に特化した形のロボットの方が有利である、というのが現代におけるロボット工学ではある。ということなので、この劇場版『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』では、映画の最後の最後になってやっと登場する98式AVイングラムは一歩も動かずに、最新鋭のAH-88J2改「グレイゴースト」によって簡単に壊されてしまい、結局は目視によるモーショントレーサーを使って、泉野明はグレイゴーストを撃つ。

 なんだ98式イングラムって全然使い物にならないじゃん。やっぱ特車二課は既にお払い箱ですね、という結論。

Photo 『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』(原作:ヘッドギア/脚本・監督:押井守/音楽:川井憲次/制作:東北新社/2015年5月1日公開)

 ところで、原作のヘッドギアっていうのはパトレーバー・シリーズを作るためにできたユニットで「原案および漫画:ゆうきまさみ/メカニックデザイン:出渕裕/キャラクターデザイン:高田明美/脚本:伊藤和典/監督:押井守」というグループの名前なのである。なのでパトレイバー・シリーズに関してだけは、押井守は勝手に話を作っていいし、勝手にキャラクターを作っていい。「この作品はもう私の作品ではありません」なんて高橋留美子に言われなくてもいいのである。

 とは言うものの、最近の押井作品の常として「美しく強い」女主人公は自分の行動原理については自ら語らずに、常にその主人公に寄り添う男によって行動原理を語らせるというスタイルをとっている。主人公が自らの行動原理を語らないのは映画では当たり前の演出であり、テレビドラマとの最大の違いがそこにはある。ただし、普通の映画では、登場人物の誰もが主人公の行動原理については語ることなく、それは観客自身が主人公の行動を見ながら考えるものだという「お約束」があるのだが、それをヒロインと行動を共にする男役が語るという押井作品の特徴は、やっぱりどこかテレビアニメの流れをくんでいるのかもしれない。

 つまり、その関係は「攻殻機動隊」の草薙素子とバトーの関係と言っていいものだが、そこにはバトーの素子に寄せる「想い」というものがバックにあって、しかしそれはバトーの口からは語られることはなく、謂わば「永遠の片思い」という形でしか男女の関係は語られることがないのである。

 本作においても警視庁公安部外事三課警部・高畑慧(高島礼子)、警視庁特車二課第二小隊一班操縦担当・泉野明(真野恵里菜:ただし、原作のような「泉 野明=いずみ のあ」という男役ではなくて「泉野 明=いずみの あきら」という女役に代わっている)、警視庁特車二課第二小隊二班指揮担当・カーシャ(Ekaterina Krachevna Kanukaeva:太田莉菜)と元初代・特車二課第一小隊隊長で現在は国連難民救済機関にいる南雲しのぶ(シルエット出演:渋谷亜紀/声:榊原良子)と、グレイゴーストとともに自衛隊から姿を消した陸上自衛隊二尉・灰原零(森カンナ)の戦いには男は参加せずに、周囲を取り囲むだけである。じゃあ誰がバトーなのかと言えば、多分その役は警視庁特車二課第二小隊三代目隊長の後藤田継次(筧利夫)なのか、あるいは警視庁特車二課第二小隊一班指揮担当・塩原佑馬(福士誠治)なのか。

 じゃあ塩原佑馬の泉野明への想いというものがあるのだろうか。あるいは後藤田継次の高畑慧に対する想いというのもあるのだろうか。

 先行する短編実写「THE NEXT GENERATION パトレイバー」シリーズを見ていないので何とも言えないが、少なくともこの長編劇場版『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』を見る限りは、高畑慧と後藤田継次の間にはそこはかとない「想い」があるようだ。

 レインボーブリッジが何者かによって爆破される。それ自体が衝撃的なことではあるが、更に高畑慧が後藤田にもたらした情報は衝撃的だった。

 高畑慧がもたらした情報とは、レインボーブリッジを攻撃したのは、数日前に陸上自衛隊演習場から強奪され、天才的な女性パイロット・灰原零と共に姿を消した最新鋭の戦闘ヘリ「グレイゴースト」、20ミリ機関砲や対地/対空ミサイルを搭載し、最新の熱光学迷彩を駆使してレーダーはおろか肉眼でも捕捉できない「見えない敵」が東京上空に潜んでいるというものだった。それは、たった一機のグレイゴーストが東京都民1000万人を人質にとっていることを意味した。

 更に高畑は、この事件の背後には、11年前に東京を舞台にした「幻のクーデター」を繰り広げ、現在は収監中の元自衛官・柘植行人の教え子が絡んでいるらしいことを伝える。彼らは柘植の意思を継ぎ、新たな戦争状態を東京にもたらそうと画策しているのだ。だがそこまでの情報を入手していながら、表舞台に立てない公安の立場上、積極的な対策を講じることはできない。そこで高畑は「幻のクーデター」の解決に深く関わり、いまや解隊の危機に瀕した特車二課にあえて情報をリークし、後藤田に超法規的活動を促したのである。

 本庁からイングラムの起動禁止令が出る中、後藤田は高畑がもたらしたテロリスト潜伏現場への急襲を決意し、敵と激しい銃撃戦を繰り広げた特車二課隊員はグレイゴーストに肉薄する。あとは物陰から監視する公安部隊が突入してすべてが解決するはずだった。だが、灰原がグレイゴーストを起動させたことで事態は一変、圧倒的火力に晒された公安部隊は壊滅し、テロリスト部隊は包囲網を突破。

 翌朝、湾岸エリアから飛び立ったグレイゴーストは、手始めに特車二課棟を爆破・炎上させ、都庁や六本木ヒルズ、更には警視庁ビルなどを攻撃し、東京に戦争状態をもたらすための状況作りを始める。

 ことここに至り、超法規的手段をもちかけた高畑と、それを受け入れた後藤田は意思が一致し、お互いを認め合い活動を助けるのだった。

「攻殻機動隊」の草薙素子とバトーも超法規的捜査がお得意で、その為に二人は意気投合するのだったが、「攻殻機動隊」の場合は彼らの超法規的捜査及び事件解決を支える公安9課というのがあった。しかし、彼らと異なり、高畑と後藤田の上には警視庁という超官僚機構があり、それが彼らの行動を認める筈はない。

 最後に事件が解決(?)した後に、高畑が後藤田に向かって敬礼をするのはどういった意味があるのだろうか。

 それは分からないにしても、それはお互いを許し合えると感じた結果としての敬礼なのか、あるいはお互いを尊敬し合えるという証の敬礼なのか、更にはお互い同じ穴のムジナ同士と認め合ったうえでの敬礼なのだったのだろうか。

 いずれにせよ、押井守作品における女と男の関係って、いつも女が上で、美しくそして強く、男はそれを見守るしかない、という共通点があるのが面白い。

 つまり、それは押井守の女性観なんだろうな。「女はいつも美しく強く、そして寡黙であってほしい」という女性観は、本来の女が持つ「さほど美しくもなく、弱く、そして饒舌である」特徴と真逆に属する概念だ。

 であるからこそ「美しく強く、寡黙」な女に惹かれるのだ。それは永遠に不可能な夢なのだけれどもね。

『TEH NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』の公式サイトはコチラ

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