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2015年4月18日 (土)

『「裏国境」突破 東南アジア一周大作戦』「裏国境」って何だ?

「12万円で世界を歩く」とか「5万4千円でアジア大横断」や「格安エアラインで世界一周」をしてきたり「世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ」をしてきて我々を楽しませてくれてきた下川裕治氏も、もうすでに還暦なんだなあ。還暦過ぎてまでバックパッカー・スタイルの旅は辛かろうとは思うのだが、まだまだ新刊を出すようなのだ。

Photo 『「裏国境」突破 東南アジア一周大作戦』(下川裕治著/新潮文庫/2015年4月1日刊)

「裏国境」って何だ? 国境に裏とか表とかあるのか?

『裏ともいえるマイナーな国境を通過していく旅――。アジアの地図を広げながら、いくつかの越境ポイントをボールペンで辿ってみたのは、一昨年(2013)年の夏のことだった。きっかけは、このチョンチョムとオスマックの国境ではなかった。タイの西側、ミャンマーとの国境だった。アジアの国々はいま、大半の国の国境が外国人に開放されていた。ビザなどの手続きが煩雑な国境もあったが、閉ざされているわけではなかった。しかし中東を除いたアジアを見ると、ミャンマーだけが陸路の国境を通過することができなかった。厳密にいうと、タイと接するいくつかの国境は開いているのだが、一日で同じ国境に戻ってこなくてはならないところが多かった。たとえば、タイ側のメーソートとミャンマーのミャワディの間の国境である。その間を流れるモエイ川に架かる橋を渡り、パスポートを預ければ、ビザをとらなくてもミャワディの街に入ることはできた。しかし行っていいのは、国境から3キロほど先までだった。そしてミャワディに泊まることはできず、国境が閉まる時間までに、タイにもどらなくてはならなかった。
 タイ最北端のメーザイからミャンマーのタチレクに入る国境は、少しルールが違った。ビザをもっていれば、その先のチャイントンまで行くことはできた。チャイントンに宿泊することも可能だった。しかし、やはりチクレクに戻り、メーザーからタイに帰ってこなければいけなかった。
 タイとミャンマーの国境は、開いているのだが、ミャンマーア側を少し見て、再びタイに戻ってくることが原則だったのだ』

 とは言うものの、ヤンゴンやマンダレーといったメジャーな都市に飛行機で入れば、ある程度は自由にミャンマー国内を動けるそうなのだ。

 つまりそういうこと。要は、地元の人たちみたいに勝手に国境をヒョイと越えて隣の国に行くようなことは、外国人ではできないということなんだなあ。

『東南アジアの国境は、さまざまな経緯のなかで引かれた。そのには植民地時代が暗い影を落としていた。支配欲と営利に裏打ちされた権力の産物であることが多い。周辺に住む人々の思いは無視された。その結果、国境に向こう側に親戚が暮らすといったことがあたり前になっていった。こういう場では、東南アジアの融通がききすぎる気質がいかんなく発揮された。
「一応、国交はないけど、親戚の家に遊びにいくぐらいいいんじゃない?」
 かくして、地元の人々は、踏み切りの遮断機のように下されたバーをひょいとあげ、越境してしまうのである。
 しかしその後ろについて、僕が越境しようとすると、国境警備の兵士が立ちはだかるのである。だから、地元の人の、
「あの国境? 簡単に越えられるよ」
 という言葉には、眉に唾をつけて聞かなくてはならなかった。国境には地元の人々向けと国際的なものの二種類がある』

 つまり、そんな地元の人たちが陸路で越境するような、マイナーな裏街道を渡って越境することを「裏国境」というのだそうだ。

 下川氏が歩いた東南アジアはタイ、カンボジア、ベトナム、ラオス、そして少しだけタイに戻って、更にミャンマーに入り、そしてタイのバンコクへと至る、逆「の」の字ルート。基本的に陸路なのでマレーシアとかインドネシアは入らないし、物価の高いシンガポールは初めから問題外だ。

 しかし、陸路で越境するというのは我々日本人ではあまり想像することができないことである。海外の飛行場にあるイミグレーションで入国目的と滞在日数を申告して、パスポートにビザのスタンプをもらうというのが我々大半の日本人の越境体験である。ところが、ヨーロッパや東南アジアのような陸続きのところでは、陸路で越境するのが当たり前。ヨーロッパなんかはEUで統合してしまっているから、国境の検問所やイミグレーションすらもない。まだ、東南アジアの方が昔の陸路国境越えのイメージに近いんだろうか。

 国境の検問所を過ぎ、イミグレーションで賄賂を差し出したりしながらビザのスタンプをもらうという体験は、なんか一度やって見たい気にもさせる。

 で、何度かそんなことをやっているうちに、できるだけメジャーな国道を避け、できるだけマイナーな道を通って国境越えをしてみたい。あんまり沢山の外国人が通らないような、地元の人たちが隣の国に住む親戚に会いに行くような時だけ通るような国境線を、通れるか通れないかの賭けをするような気分で越えてみたい。

 と、こういう経験を積んでくると、「国境オタク」「裏国境オタク」の完成である。

『わかってもらえるだろうか。陸路の国境を越えていくということは、たしかな情報がないなかですすんでいくことだった。そのときの政情にも左右された。今回は、多くの人が通過する国境を避け、最近になって通ることが可能になったらしい「裏国境」、つまりマイナーな国境の突破をめざした。常に不安のなかの旅だったのだ』

 ふむ、結局こうやってバックパッカー・スタイルの旅を何度も繰り返していくと、普通の旅では面白くなくて、だんだん、難しい方法で旅をすることに挑戦したくなっていくんだろう。で、そんな「変な旅」の記録の方が読者としては面白いから、トラブル続きの旅の方が読み物としては興味深いから、「旅」のライターは読者に「面白さ」を提供しようとして、自らそんな困難な旅に挑戦していくわけだ。

 で、ますます「旅」ライターは「変な旅オタク」と化していくんだな。

 しかし、還暦過ぎてこういう旅はツラいでしょうね。

『「裏国境」突破 東南アジア一周大作戦』(下川裕治著/新潮文庫/2015年4月1日刊)

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