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2015年3月26日 (木)

『本社はわかってくれない』

 中国における人件費の高騰や反日デモなどのいわゆるチャイナ・リスクを嫌って、更に人件費が低く、これからの市場を狙っての東南アジアへの日本のメーカーの進出が盛んだ。

 当然、そこでは「先進国」日本とは異なった感覚で生活している、現地の人たちがいるわけで、それぞれの国の「国情」というものに日本の本社は理解を示さなければ本当の海外進出とは言えないのだが、あまりにも異なった国情というものをなかなか理解してくれない本社と現地の人たちの狭間で苦労している現地駐在員のお話しなんだが、何故かあまり深刻にならないのが面白い。

Photo 『本社はわかってくれない 東南アジア駐在員はつらいよ』(下川裕治編・水谷竹秀(フィリピン担当)、諸星蘭(マレーシア、東ティモール担当)、西村清志郎(カンボジア担当)、室橋裕和(タイ、ミャンマー担当)、森卓(ラオス担当)著/講談社現代新書/2015年3月20日刊)

 エピソード集なので、特に基本的なテーマがある訳ではない。なので取り敢えず目次を紹介して、内容紹介に代えます。

1 すぐ休む人々
 スコールだと遅刻は当たり前/暇だから家に帰る/「今日は雨なので会社には行けません」

2 働かない人々
 社内バスケットボール大会に三カ月/外国人にするかマレーシア人にするか/自宅を新築するので会社を辞めます/遅刻してはいけないとは知りませんでした

3 会社を私物化する人々
 会社の車は自分用/冷蔵庫の中のものはみんなのもの?/癒着がバレても悪びれない/象耳魚一匹分の着服

4 身勝手な人々
 ひとりで寝られない人々/不思議な求職者たち/現地化する日本人/同じフロアの別会社に転職/人前で叱ってはいけない/出張に行かない理由/オフィスビルになるはずか突然ホテルへ

5 会社のカネを使い込む人々
 「袖の下」をピンハネ?/公安警察と癒着するスタッフ/平気で盗む人々/平気で横領する人々/社内ローン制度を悪用/会社のベテラン運転手が突然強盗に/出張費は小遣い?

6 すぐに訴える人々
 ホステスとのトラブルから悪事が発覚/クビにすると会社が負ける/プライド高き人々

7 役人な人々
 書類審査も人次第/盗難届だと時間がかかる理由/屋台を開いた郵便局員/月々の税務申告のたびに袖の下

8 宗教で生きる人々
 ラマダン/釣りは罪深い/出家休暇

9 才能ある人々
 仕事のできるオカマたち/凄腕ドライバー/カンボジアで運転免許を取る

10 不運に見舞われた人々
 十年早かった/交通事故だと治療できない/洪水保険/知らぬ間に移動した建物/浮気と包丁

11 日本を持ち込む人々
 タイの子育て/時代遅れの社則/ライバル社と女

 一番最後の11だけは東南アジア事情ではなくて、そこにおける日本及び日本人の変な特徴とでも言うべきもので、10までの日本人が見た「変な東南アジア」ではない。

 しかし、それぞれのエピソードに共通する「俗人的な役人のあり方」だって、江戸時代までの日本はまったくそうだった訳だし、それぞれの国の人たちの生活というのも、それぞれの国のあり方としてあるもので、それらをして「遅れている」と考えるのは、やはり日本及び日本人の「驕り高ぶり」だとしか言えないだろう。

『日系企業が持っている風土が、東南アジアの人々と出合っていくとき、どうしても摩擦が生まれる。ときにその不協和音は熱を帯びている。それはどの国に進出しても起きることだ。しかし東南アジアのその種のトラブルは、現地の人々の気質や倫理観、労働観を浮き彫りにしていた。なかには深刻なものもあったが、多くは東南アジアの風に吹かれて、どこか、「クスッ」笑ってしまうような話が多かった。東南アジアという土地で起こることは、なぜか気が抜けてしまうような結末に向かっていくものらしい』

 と言う通り、上の目次にあるエピソードの数々は、なんか微笑ましいものが多く、如何にも東南アジアという感じのエピソードが多い。

 で、実は日本の大企業の本社だったら、現在はそんな東南アジアの実情を理解しており、「東南アジア駐在員はつらいよ」的な感覚もなくなってきてはいる。むしろ、そんな大企業の子会社やサプライヤーの中小企業が、結局、親会社の事情で東南アジアに進出しなければならなくなり、あまり現地事情を調べずに進出してしまい、結局、それらの特殊事情を理解しないままになっている、というのが実情ではないだろうか。

 結局、それは親会社の責任でもあるが、一方、親会社の言うことには唯々諾々と従わなければならない子会社やサプライヤー自身の責任でもある。日本国内の移動ならあまり問題にならないことが、海外に進出するということになれば、当然大きな問題になったりするもんだ。

 まあ、いずれは日本の本社も理解を示すことになるだろうが、まあ、それまでは現地駐在員の板挟み状態はなくならないだろうな。

 まあ、仕方がないですね。

『本社はわかってくれない 東南アジア駐在員はつらいよ』(下川裕治編・水谷竹秀(フィリピン担当)、諸星蘭(マレーシア、東ティモール担当)、西村清志郎(カンボジア担当)、室橋裕和(タイ、ミャンマー担当)、森卓(ラオス担当)著/講談社現代新書/2015年3月20日刊)まだKindle版は出ていないようだ。

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