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2015年3月25日 (水)

『イミテーション・ゲーム』というよりは「チューリング・マシン」が面白い

 コンピュータの発展に尽くした「二人のアラン」と言えば、このアラン・チューリングと、パーソナルコンピュータの概念を明らかにしたアラン・ケイなんだが、アラン・チューリングは理論の人だと思っていたのに、こんなマシンを作っていたのは知らなかった。

 昔の人はソフトウェアにもハードウェアにも強かったのかな。

2 『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者(The IMITATION GAME)』(原作:アンドルー・ホッジス/監督:モルテン・ティルドゥム/脚本・製作:グレアム・ムーア)

 チューリング・マシンというのは理論的なものでしかないのだから、アラン・チューリングは理論の人だとばっかり思っていたのだが。

 映画で「クリストファー」と言う名前で呼ばれるこの機械式計算機の本当の名前は「Bombe」という。英語版のウィキペディアのこのBombeの解説が載っている。

『Bombeは電気機械式装置で、第二次世界大戦を通じてドイツのEnigma-machineが暗号化した秘密のメッセージを解読するためにイギリスの暗号学者が使ったもの。後にアメリカ海軍と陸軍が同じような機能スペックを持ったマシンを製作したが、イギリスのBombeとは機械的に異なったもの。

 最初のBombeのデザインは1939年にブレッチリー・パークにあるUK Government Code and Cypher School (イギリス政府暗号学校)でアラン・チューリングによってなされた。エンジニアリング・デザインと組み立てはBritish Tabulating Machine Company (イギリス作表機械製造会社)のハロルド・キーンによって行われた。その装置の主要な開発は1938年にポーランドのCipher Bireau (暗号局)で暗号学者のマリアン・レジェウスキーによって行われ、「cryptologic bomb (暗号解読bomb)」として知られていた。

 bombeはドイツの様々な軍事ネットワークが毎日セッティングを変えるEnigma-machineを発見するようにデザインされている。つまり、ローターのセットが機械の中にそれぞれの役割を持って使われている。メッセージがスタートすると―メッセージ・キーという―配線盤上の配線の一つのローターのコアがスタート・ポジションにつく』

 って解説じゃ何ともよくわからない。同じ項目にはブレッチリ・パーク博物館でリビルドされたbombeの写真が載っていて、「おお、映画で見たのと同じだ」ってなるんだけれども

『それぞれの回転するドラムはEnigmaのローターの動きをシミュレートする。それは36のEnigmaに相当し、真ん中下の右手側に三つの指示ドラムがある』

 と書かれていて、これまたそれがどうやって暗号を解読するのかは素人には全く分からない。要は、人力ローター式のEnigmaに対抗して、ローターの数をとてつもなく多くして、それを電気で動かすようにしたのがbombeって理解でいいのかしら。つまり、Enigmaに対抗するにはEnigmaとは違うマシンではなくて、Enigmaと同じマシンでスペックだけは大きなものを作ればいいっていう、如何にもアングロ・サクソン的発想。

 まあ、そんなことは分からなくても映画は楽しめるからいいのか。

 しかし、その中の台詞で「電気脳(Electric Brain)、あるいは電子計算機(Digital Computer)」っていうのがあるんだけれども、いまから75年も前に「デジタル・コンピュータ」てな言葉があったのかなあ。まだ「electronic calculator(電子式計算機=電卓)」もなかった時代なんだけれども、アラン・チューリングの頭の中には既にして、現在のコンピュータの概念が存在していたんだろうか。まあ、天才ですからそんなこともあったのかな。

 で、結局アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)らはひょんなきっかけでEnigmaの暗号を解読する。もはや大西洋上のUボートの場所なんかは完璧に分かってしまっている。最早、Uボートを怖がる必要はないし、むしろ空からの攻撃でUボート部隊は全滅にできる。これでイギリス軍、大勝利! って話にはならないんだなあ。

 つまり、暗号を解読した結果、イギリス軍の動きが変わってしまうと、ドイツにイギリスが暗号を解読に成功したことがバレてしまい、となれば当然ドイツは新たな暗号を作成して、またまたイギリスが困ってしまう、という堂々巡りになってしまうことを怖れたアラン・チューリングはドイツの暗号解読に成功したことは隠しておくことにする。

 まあ、その辺は非情と言うか、戦争をやっているのだから非情になるのは当然と言うか、お前はイギリス軍人がどんなに死んでもいいって言うのか、いやいやそれでもドイツの動きが事前に分かれば、それに対応したイギリス側の動きも予定できる訳で、それをドイツ側に悟られないように実行する作戦を立てれば、最低限度の被害で済むっていう考え方もあるし、そんなことを考えながら見ているが、実際には「非情な決断」だけが表面には出てくる。

 つまり、それだけイギリスにとってはドイツ空軍の空爆が恐怖だったんだろう。ドイツ空軍によるイギリス空爆は1940年9月7日から1941年5月10日まで続いたという。更に、その後は1944年になって飛行爆弾V1、ミサイルV2による攻撃。まず、遠いドイツからイギリス全土に空爆を仕掛けて、それでなおかつドイツに帰着するという、(当時の)先進メカニズムへの恐怖。(Uボート)による潜水艦攻撃と言う不気味さへの恐怖。同時に、世界に冠たる大英帝国のプライドをへし折られることの恐怖。もしかして、これがイギリス史上最初の敗戦になるのかも知れないという恐怖(そう、イギリスは開国いらい現在に至るまで一度も敗戦を経験していない世界でも珍しい国なのだ)。

 そうした様々な恐怖が重なって、イギリスは「非情な決断」を行っていく。

 しかし、当時の10万ポンドが現在の貨幣価値でいかほどのものかは分からないが、まあ、大きい金額だったんでしょうね。「戦時にそんな金額は出せない」なんて小役人である中佐が言うんだから。

 しかし、昔も現在も「兵器」に関連するものには一番予算を割いてきたのがアングロ・サクソン。暗号解読機は立派な兵器だ。デジタル・コンピュータだってICBMで如何にソ連の各都市に正確に命中させるかと言う目的のために、ICBMの弾道計算を素早く行うために作ったものだし、インターネットだって軍事ネットワークを如何に分散攻撃から守ろうかという発想で作ったものだ。

 なので、結局当時のチャーチル首相の認めるところとなり、アラン・チューリングらの活動は小役人である陸軍中佐の下にいながら、実は情報相傘下のMI6傘下に入ることになる。MI6てあの007の所属する部局でしょ。すごいね、引きこもりの、同性愛者の(あっ、言っちゃった!)、アスペルガー症候群のアラン・チューリングが今や最高の国家機密事項に入っちゃたんだからなあ。

 で、結局、第二次世界大戦におけるイギリス軍勝利を2年早めたと評価されるにいたる。が、結局は国家機密事項なので、アラン・チューリングの功績は国家としては認めず、単なるデジタル・コンピュータ登場以前のコンピュータ・オタクの変わり者の同性愛者として、結局、青酸カリ自殺をしてしまうんだなあ。ただし、その青酸カリ自殺説っていうのも怪しいもんで、口封じのために殺されたって言う説もあるらしい。

 まあ、暗号解読っていうのも、一種のスパイ活動の片棒を担いだわけなのだから、スパイ世界ののお約束というわけでもないだろうけれども、要は、闇から闇へと葬るっていうことなんだろう。

 戦争と言う時代に翻弄された人生なんだろうけれども、そんな時代に生きていなければ、それこそアラン・ケイにもなれた人物なんですよね。未来のコンピュータ(当然、デジタル)の出現を予測して、いろいろなことが出来たかもしれない。もうちょっと生きてれば、同性愛者だって堂々と生きることができる時代が訪れたのに……、って言ったって、結局は死んじゃったらおしまいですね、人間は。

 アラン・チューリング、現在でも生きていれば103歳。もしかしたら生きているかもしれない年齢だ。

『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』の公式サイトはコチラ

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