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2015年2月 4日 (水)

『安倍官邸の正体』でわかること

『安倍官邸の正体』というタイトルや、『国家権力の中枢を解明する 2015年以降の政局の行方と安倍内閣の「本質」を読み解く』なんていう腰巻を見て、これはもしかして総理官邸の内側のドロドロとした権力闘争のあり方を描いたものなのか、と思ってみたら、そうではなく本来の総理周辺の「あり方」を書いた本なのであった。

Photo 『安倍官邸の正体』(田崎史郎著/講談社現代新書/2015年2月1日刊)

 ここでは2006年9月26日に発足して1年足らずの2007年8月27日にお腹を壊して辞めちゃった第一次安倍内閣と、2012年12月26日に民主党の地滑り敗北によって誕生した第二次以降の安倍内閣とはどう違うのか、という点に注目して読んでみたい。

 それにしても第一次安倍内閣のスローガン。

・「美しい国づくり内閣」
・「創りあげたい日本がある。美しい国、日本」
・「地域に活力。成長で活力。暮らしに届く改革」
・「成長を実感に! 改革を貫き、美しい国へ」
・「戦後レジームからの脱却」
・「改革実行力」

 って、そうかこの頃から政治のポエム化が始まったんだな。それまでの小泉ぼっち政権の「ワンフレーズ・ポリティクス」からの脱却が「ポエム化」だった訳だ。

『官邸で意思疎通ができていなかった点において、第一次安倍政権も同じ過ちを犯し、官邸崩壊が政権崩壊に直結した。そこで二次政権発足に先立ち、首相補佐官として失敗の過程を目の当たりにした世耕が安倍に対して、「一日五分でいいから顔を合わせませんか」と正副長官会議設置を提案し、実現した』

『一次政権ではまず、首相官邸の態勢をそれまでの官房長官、副長官の「ライン中心」から、首相補佐官を軸とした「スタッフ重視」に切り替えた。それが、あとで振り返ると官邸崩壊を招いた』

『日本の行政システムは各省のタテ割りになっている。政治決断が求められることや各省が激しく対立している案件は首相官邸に持ち込まれ、主に官房長官や副長官のところで調整が行われる。それでも決着しない場合には首相の裁断を仰ぐこともある。一方、首相の意向は各省大臣に直接、あるいは官房長官らを通じて伝えられる』

『これが政府の意思決定のラインだ。それが確立しているのに、官邸にスタッフ職を設けた。しかし、首相補佐官のところに各省の情報が集まってこなかった』

『<指導者に忠誠心を抱く官僚は寥々(筆者注・数の非常に少ないさま)たるもの。自分の信じる正義のために献身する者がほんの少しいるだけで、大部分の官僚は自己の利益だけを考えている>官僚というのは古今東西、そういう人たちなのかもしれない。それを知ってか知らずか、首相や大臣が決めれば、官僚はその通りに動くと無邪気に信じていたところに、「政治主導」を掲げた民主党政権の過誤があった』

『官僚と敵対するのではなく、また、官僚に操られるのでもなく、官僚を使いこなすことを、安倍は官邸で学んだ』

『今、官邸にいる国会議員で官邸勤務が最も長いのは安倍自身である。森、小泉内閣で官房副長官を三年二ヵ月、小泉内閣で官房長官を一一ヵ月、さらに首相を一年務めた。大臣の経験はないが、二度目の首相就任までに通算五年余りを官邸で過ごした

『官房副長官として政策決定にかかわったのはもちろんのこと、首脳会談に同席し、戦後史を塗り替えた二〇〇一年九月一一日のアメリカ同時多発テロ事件にも遭遇した。森喜朗が退陣に至る自民党内の政争や、首相のスタイルを根本的に変えた』

『小泉純一郎のことも官邸で間近に見ていた』

『一次政権の失敗も含め、官邸にいたことが安倍をかたちづくる血となり、肉となっている』

『「官僚を利用するが、官僚に利用されない」 これを鉄則にして、人事をテコに霞が関官僚を動かしていく。これが、第二次安倍政権の官僚支配の手法だ』

 なるほどなあ、やはり官僚をどう使いこなしていくか、というのが政治の基本なんだなあ。多分、第一次安倍政権ではアメリカの大統領補佐官制度を真似して首相補佐官を作ってみたのだが、アメリカの場合は大統領が代わると官僚もガラッと入れ替えられてしまうのに比較すると、日本の場合は、首相が代わっても官僚はずっと同じ仕事をしいるわけだから、その頭を入れ替えさせることはちょっと難しいでしょ、ということなんだ。

『「戦後レジームからの脱却」──。安倍は一次政権下でたびたびこの言葉を使った。戦後長く続いた諸制度を見直そうとする「安倍政治」を象徴する言葉である』

『安倍は「戦後レジームからの脱却」という表現を封印し、意識して使わないようにしている。「戦後レジームからの脱却」を訴えた「美しい国」路線を引っ込め、経済成長重視のアベノミクス推進を最重要政策に据えた。これが、政策面における一次政権と二次政権の大きな相違点だ』

『安倍首相が本当にやりたいことは安全保障とか、憲法改正だ。しかし、それをやり遂げるのには経済がうまくいって、支持率を維持していることが前提だ。好調な経済という前提があるから何でもできる』

『安倍にとって、一回目に任期途中で辞めたことが政治家として最大のトラウマだ。また、日本の首相が短期で交代することのマイナス、とりわけ外交面で悪影響を及ぼすことも、少なくとも自民党内では浸透している。自民党の衆院当選三回以上の議員は、党内のごたごたが政権喪失の要因の一つになったことが肌身に染みている。党内で「安倍降ろし」の動きが顕在化することもないだろう。  
 政治に百パーセントはない。だから、絶対に辞めないとも断言できないのだが、安倍はよほどのことがない限り、二度と途中で投げ出したりしない』

 つまり「戦後レジームからの脱却」というスローガンを掲げるのは、2015年9月の総裁選で勝利して、政権の地盤を万全なものにしてから、ということになるのだろう。それまでは経済専心、アベノミクス第一ということなのだろうけれども、実際にアベノミクスがどこまで成功するのかはまだまだ見えていない。

 しかし、安倍政権の後を継ぐと目されている石破茂氏がリベラルなのか保守なのかはっきりしない以上、安倍氏は自身の政権中に「戦後レジームからの脱却」の第一命題、「憲法改正」をやっていくだろう。もしかするとそれが安倍政権の躓きの元となるかもしれない。

 安倍さん、あまり先を急ぐと命取りになるかも知れませんぞ。

 ところでこの本、上記以外にもいろいろな読み方が出来る本なので、明日も同じ本を取り上げる。

『安倍官邸の正体』(田崎史郎著/講談社現代新書/2015年2月1日刊)

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