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2015年2月20日 (金)

『マーケティングの嘘』って、問題は調査方法だけじゃないんだな

『消費者に対する定量調査によって市場のニーズをつかみ、商品を開発し、広告やプロモーション活動を行い、販売するというのが、今までの主流の、アーケティングに考え方であり、手法である。しかし、サンプルの数だけ増やしたアンケートをいくら重ねたところで、「本当の消費者像」は見えてこない。従って市場も見えてこない。出ているのは本当の消費者像とはかけ離れた「幻想の消費者像」だけだ』

 じゃあどういうマーケティング手法がいいんだろう。

Photo 『マーケティングの嘘 団塊シニアと子育てママの真実』(辻中俊樹、櫻井光行著/新潮新書/2015年1月20日刊)

 とその前に、なぜ定量調査が限界があるのだろうか。

○定量調査の限界その1 「回答が不正確」

『コトバは社会の中で共通概念になるべき「指示的」な意味を持っている。あるコトバを聞いて、誰もが同じモノやコトを思い浮かべる場合である。一方、個人はそのコトバに対して解釈をしたりイメージをしたりして、「自己表出的」な思いやモヤモヤとした感じを持つ。したがって、コトバの持つ指示的な意味の概念と、生活の実態の中でのコトバの多様性と不明確さをしっかり把握する必要がある。こうした前提を踏まえていない定量調査の回答は、「不正確」なものであると言わざるをえない』

○定量調査の限界その2 「回答者は嘘をつく」

『もちろん対象者が意識的に嘘をつくことは大きな問題だが、ここで取り上げたいのは「無意識」の内に嘘をつくことである。無意識ということは、本人も嘘をついているという自覚がないのだから、さらに始末に負えない。
 人間の生活行動のほとんどは無意識で行われる。行動の何割が無意識によるものなのかはよくわかららないが(九割と書いてある本もある)、ほぼ事実と言ってもよい。このことは、調査やマーケティングにも重大な影響を及ぼす』

○定量調査の限界その3 「調査できるのは「わかっていること」だけ」

『確かに回答が何パーセントなのかは、調査してみなければわからない。しかし、定量調査では調査する側が想定していることしか質問することができない。そもそも想定外の事柄は質問文や選択肢にならないのだ。つまり、「これはこうなっているのではないか。そうなっているはずだ」という、調査する側の持っている「仮説」を検証することしかできない』

 なるほどなあ。確かに調査の対象者はそれぞれ別の個人だ。だとすると、そのすべての人たちが全く同じように質問を理解することはあり得ないし、無意識のうちに語ってしまう嘘を防ぐことはまず無理だろう。というか、実はこうした定量調査というのは、むしろ質問を作る側が、あらかじめ「こうした方向になるだろう」という予測のもとに質問を作っていて、その予測通りの結果を示して、企画を通そうという発想で作られたものが多いのではないのだろうか。というか、私はそういう方向で定量調査を行ってきた。

 これは私が間違ったやり方をしていただけ?

 とまあ、それはさておき、じゃあどういう調査なら、正確に消費者像を捉えられるんだろう。という疑問への回答が「生活日記調査」というものだそうだ。

 つまり生活者の生活動線を追いかけるということなのだそうだ。

『ビジネスシーンに大半の生活動線を支配されている生活者の行動パターンをシンプルである。「都市の鼓動」というコトバがあるように、毎朝、都市生活者は血流が集まるように郊外から都心へと集まっていく。毎日、ほぼ一定の時間帯に、決まった駅から決まった車両の、しかもほぼ同じ位置に場所をとるだろう。乗り換えの経路、通路、階段も同じに違いない。何らかの理由でこれが変わることがあっても、パターンのぶれと捉えることができる範囲であり、大幅な逸脱はそうは起こらない。
 朝のビジネス心臓の心拍が終わった後、異なった生活動線を持った生活者が動き出す。ビジネスシーンタイプの生活動線を卒業したリタイアシニアたちだ。リタイアシニアといっても60代、まだまだ若く、とにかくよく外出している。実は現代社会で最も生活動線が自由で幅広いのがシニア層なのである。
 自由であるというのは、通勤や通学といった義務的な生活動線から、すっかり解放されているということだ。シニア層は、外出するかしないかも含めて、生活動線を日常的に選択できる』

『子供も独立して夫婦だけの生活になっていることから、夫婦単位での外出行動が多いかと思いきや、それぞれがまったく異なった外出行動をとっているケースが大半であることもシニアの特徴だ』

『逆に、最も外出動線を持てない状況になっているのは、出産して乳幼児を抱えているポストマタニティの女性だと想像するかもしれない。しかし、必ずしもそうとはいえない。生活日記調査から彼女たちの生活動線を見ると、頻繁に外出行動が出てくる。具体的には、近所の公園、買い物、地域の子育てサークル、勉強会、検診、そしてファーストフード、カフェ、お友達の家、ママ友ランチなどである』

『こうした生活動線を捉える仕組みが「生活日記調査」である。やることはいたってシンプルだ。対象者に一週間分の生活日記を書いてもらう。以上である』

『生活動線は生活シーンの連鎖として捉えられる。生活シーンがどのようにつながっているかを見ていくことで、その人の生活の全体像をつかむのである。私たちは生活シーンをTPOPPに分解して整理している。TPOはTIME(タイム)、PLACE(プレイス)、OCCASION(オケージョン)のTPOである。タイム=時間帯と時間数、プレイス=場所、オケージョン=事情という言い方がわかりやすいかもしれない。
 さらに、ここに加えておくべきは、その時の気持ち(生活心理)=PSYCHOLOGY(サイコロジー)、その場面を成立させるのに不可欠な道具立てとなる商品やサービス=PRODUCT(プロダクト)。以上のTPOPPがシーンの形成要素となる』

 なるほどなあ、こうしてある状況・文脈に置かれた生活の中に、あるプロダクトがどのように現れるのか(現れないのか)が生活の価値を決める。現れるのであれば、それを如何に使用しているのかを見れば、そのプロダクトの改良方法が見えてくるし、現れないのであれば、何故現れないのかを探れば、新たなプロダクトを開発することが必要だということがわかる。

 ただし、生活日記調査だけではだめで、それに加えてデプスインタビューと生活者二次データも組み合わせなければならないし、時には定量調査とも組み合わせる必要もあるだろう。

 つまり、現代におけるマーケティングって、それだけ複雑なものなのかも知れない。

『マーケティングの嘘 団塊シニアと子育てママの真実』(辻中俊樹、櫻井光行著/新潮新書/2015年1月20日刊)

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