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2015年2月14日 (土)

『イスラーム国の衝撃』で分かったこと

 2月10日のブログでアフガン戦争でアル・カイダが出てきて、イラク戦争でイスラム国が何故できたんだということをお勉強したので、今日はその思想ってどんなものかを勉強してみよう。特にその「ジハード(聖戦)」についての考え方を……。

Photo 『イスラーム国の衝撃』(池内恵著/文春新書/2015年1月20日刊)

 池内恵氏は東京大学先端科学技術研究センター准教授で「イスラム政治思想分野」の専門家だ。新書ということで、比較的簡単に書かれている本書ではどんなことが学べるのでしょうか。

『2006年10月に「アルカーイダ」の語を組織の名称から外し、「イラク・イスラーム国」と名乗るようになったことと考え合わせると、領域支配を行う国家となり、カリフ制を宣告する、という目標を、この時期から現実的なものとして抱き始めたと推測することも可能である』

『第一段階の「目覚め」の時期に、ジハード主義者たちは、世界のムスリムを奮起させる衝撃的な現象を引き起こす行動に出るものとされる』

『第二段階の「開眼」の時期においては、外国勢力に占領されている現実や、イスラーム世界が陰謀によって攻撃されているといった事実が、ムスリム諸国民に認識されていく。それによって各地で若者がジハードに参加するようになる』

『2007年から2010年にかけて訪れるとされていた第三段階の「立ち上がり」の時期には、イラク以外の国にも治安の乱れが広がり、ジハード運動がより広汎に影響を及ぼすと想定された。とくにシャーム地方、すなわちシリアやレバノン、あるいはイスラエルやパレスチナでのジハードの活発化が想定されていた』

『しかし奇しくも2010年─2013年に想定されていた、第四段階の、アラブ諸政権を打倒して権力を握る「復活と権力奪取と変革」の時期は、2010年暮れに始まったチュニジアの大規模デモをきっかけとした「アラブの春」の連鎖のうちに到来したかのように見える』

『他方でこの時期、2013年4月の米ボストン・マラソンでの爆弾テロ事件に見られるように、先進国でも「ローン・ウルフ」型テロが頻発し、「消耗戦」もまた現実の形をとって表われた』

『2013年から2016年に想定された第五段階の「国家の宣言」では、いっそう現実とのシンクロの度合いが増す』

『「イラク・イスラーム国」は二〇〇六年に「イスラーム的国家」設立の宣言を行っていたが、現実の領域支配に向けて大きく前進するのは二〇一三年である』

『第六段階は、2016年から2020年にかけての「全面対決」の時期と想定されていた。ここでは「世界の信仰者」と「世界の不信仰者」がそれぞれの陣営に集って真っ向から争うという、終末論的なヴィジョンが浮かび上がってくる』

『国家の設立は最終目標ではなく、その先の善と悪の究極の戦いという高次の闘争につながっていると説くことで、現世の超越を夢見る世界各地の信仰者を引きつけることが可能になる。そのような終末論的な戦いに身を投じていると信じるジハード戦士の目には、陰惨な戦闘も、残酷な処刑も、聖なるものとして映るかもしれない』

『2020年に到来する「最終勝利」によって、「イラクのアルカーイダ」の構想した七段階からなるカリフ制再興計画は締めくくられる』

 そうか、ユダヤ教やキリスト教と同じく、イスラム教も一神教なんだから、基本的には同じ「終末論」なんだな。つまり「ジハード」とは他の宗教との戦いなのだが、つまりそれは終末へ向けた戦いということなのか。

 しかし、他の一神教は自派の宗教を相対化して、他の宗派との対立を避けようとしてきた歴史を持っている。また、イスラム教であっても穏健派の考え方は、同じくイスラム教を相対化している。しかし、過激派の場合、そんな穏健派の考え方自体が、アラーに対する裏切りとしか見えないのでしょう。

『終末論と、テロ・武装蜂起の思想は、そう簡単に融合するものではない。終末論は、究極の悲観論であり、諦念の極まりの先に、裏返しのアッラーの介入を期待し確信する。結果として、人々を非行動主義にも陥らせかねない。しかし武器を取ったジハードへと人々を動員するには、たとえ自分が命を落としても、その後に武装闘争が必ず勝利に至ると信じて疑わない、楽観主義に基づいた行動主義が必要である』

 で、アメリカという「悪の枢軸」との戦いが、中世十字軍との戦いに重なって、「ジハード」を正当化しているのだろう。

『イラクでの反米武装闘争の発端の時点で、終末的な最終戦争は始まっており、運命づけられていた通りに、ダービクをめぐる善と悪の闘争が出現している、と説くことで、「イスラーム国」は、自らの勢力拡大そのものが神兆の一部であると論じている』

『中世の十字軍の敗退を、ハディースで予言された、終末の前のダービクにおける戦闘での悪の勢力の敗北と重ね合わせ、同様に現代の十字軍(=悪の勢力)である米国が、シリアの地で敗北することも必然である、と論じていく』

 結局、アメリカがわざわざ中東まで出張って来て戦争をしていること自体が、問題を大きくしているのではないでしょうか。

 アラブやイスラムには、アラブやイスラムだけでしか解決できないことがあるのでしょう。

 なので……

『イラクとシリアの国家・国境の形骸化が進めば、イラクのクルド勢力は、最大限の版図を軍事的に確保したうえでの独立を目指すだろう。それによって、第一次世界大戦終結時以来の、中東での国境再画定を目指す動きが連鎖して、秩序の流動化が進みかねない』

『中東の地域大国は、まずイランとトルコであり、ついでサウジアラビアやエジプトがその候補となるだろう。地域大国がそれぞれの勢力圏を拡張して、イラクやシリアの紛争を鎮静化するというのが、残された選択肢かもしれない』

 というのが次善の解決策なのかも知れない。

『イスラーム国の衝撃』(池内恵著/文春新書/2015年1月20日刊)

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