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2015年2月10日 (火)

『イスラム国の正体』って何なのか、取り敢えずお勉強

『いまもシリアを中心に政府関係者・元関係者・知識人に知人が多いので、彼らと連絡を取り合っています。そのため、メディア報道や中東・イスラム研究者とあ違ったスタンスで中東の諸問題について状況を解説することができるのではないかと考えています』

 ということなんで、取り敢えずお勉強ですね。

Photo 『イスラム国の正体』(国枝昌樹著/朝日新書/2015年1月25日刊)

 まずそもそもイスラム国って何なんだ? ということから。

『イスラム国が生まれ、イラクとシリアでこんなにも勢力を拡大してしまった直接的な要因としては、以下の3点があげられます。

①イラクにおいては、2011年12月のアメリカ軍完全撤退による「権力の空白」です。
②シリアにおいては、2011年3月に始まった民衆蜂起による「権力の空白」です。
③イラク・シリア両政府ともに「反体制派」の融和に失敗し、反発を強めていることがそもそもの要因ともいえるでしょう』

『イラク・シリア両国に関係する各国が抱える政治的問題や「思惑」といったものも、イスラム国を増長・悪化させた大きな要因になりました。主なものを5点、指摘しておきます。

①アメリカの中東政策はさまざまな「難しさ」を抱えています。それがイスラム国をめぐる問題をより複雑なものにしました。
②イラン、イラクを除くペルシア湾岸諸国(サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦=UAE、クウェート、バーレーン、オマーン)の脅威認識の対象は、かつてはイスラエルが中心だったのですが、いまやイランとなっています。
③トルコのエルドアン政権(シリア民衆蜂起当時首相、現在大統領)のアサド政権打倒に固執する姿勢が国際社会の対応を後手に回らせる結果を生み出しています
④イラク・シリア・トルコは「クルド人」をめぐる民族問題を抱えており、その存在がイスラム国への対応をより複雑なものにしました。
⑤アラブとその周辺をめぐるアメリカの国益認識とサウジアラビア、カタール、イラン、トルコの国益認識の乖離やすれ違いも、イスラム国への対応を遅らせました』

『アラブとその周辺には、社会に通底する「空気」としてイスラム国の復古・純化主義的な主張に共感するむきもあります。主な歴史的背景も見ておきましょう。以下の4点をあげておきます。

①最後のイスラム王朝であるオスマン帝国の領土を西欧列強が分割し、アラブ世界の国境を勝手に決めた1916年のサイクス・ピコ協定に対する「怒り」は、いわば「空気」のようにアラブ世界とトルコに存在しています。
②反西洋文明をかかげるイスラム主義の伝統。これは「遠い敵」(欧米などの侵略者)ばかりではなく、「近い敵」(イスラム社会の堕落した指導者層など)にも向けられます。
③スンニー派とシーア派の対立の歴史は古く、7世紀までさかのぼります。
④現在のイスラエル・パレスチナ問題は、イスラエルの領土拡張をめぐってアラブ諸国とイスラエルが断続的に戦った第一次~第四次中東戦争(1948~73年)から続きます』

『アラブ世界における精神風土的な背景もあげておきましょう。以下の3点は、シリアの反体制派からイスラム国への鞍替えや他派に対する苛烈な弾圧行為、イスラム国への共感などに影響していると思います。

①アラブとその周辺の油田は、第二次大戦後、急速に開発されました。同時に富の偏在による大きな不平等が生まれました。
②アラブ世界には「エリート主義」がはびこっています。
③「ベドウィン」(砂漠の遊牧民)の精神もアラブ世界の底流には存在しています』

 結局、まあ問題は基本的にイスラム教における「7世紀のままを、いまに」という理想があるとはいえ、もう一つの第一次大戦で敗戦した結果、サイクス・ピコ(秘密)協定を認めざるを得なかったオスマン帝国の問題と、もうひとつにはパレスチナ問題があるんだろうな。

 ただし、今はパレスチナ問題はPLOが暫定自治政府を作って、イスラエルとも友好的な政治を行おうとしているんだが、それを嫌ったハマスのようなイスラム過激派が台頭している。結局、イスラム過激派としてはイスラム政体しか認めたくなくて、なおかつそれは国家ではなくて宗教が治める人々が認める権威なんだろうな。だとしたら、それは現在の国民国家とは完全に相対するものでしかないだろう。

 PLOの内部にもPFLPやPDFLPといった社会主義的なグループからイスラム過激派のような組織まで存在したわけで、それが再びクローズアップされてきたということなのだろう。

 まあ、基本的なことを言ってしまうと、アフガニスタンのタリバーン政権を倒してしまったが故にアルカイーダの世界拡散を招き、そしてイスラム国に関しては、イラクのフセイン政権を倒してしまったが故に、そんなイスラム過激派の誕生を呼び込んでしまった、アメリカの罪が一番深いといえよう。

 別にアメリカ式民主主義がいけないとは言わない。しかし、それぞれの民族にはそれぞれの考え方があって、それはそれぞれの民族が自分たちで考えて政体を決定すればいいことなのである。別にそこにわざわざ外国から出向いて「あなたの国に(アメリカ式)民主主義を与えます」なんて余計なことをする必要はないし、そんなことをする国は、結局、歴史がない国なんだろうな、という印象を他国に与えておしまいになる、ということなんだ。

 まあ、結局アメリカの理想と言うのは他国では全く回顧されない理想なのかも知れない。

『アラブの「独裁政権」は「パンドラの箱」です。制御不能な「混乱」にようやくフタをして抑えていたのが、たとえばサダーム・フセイン政権でした。あえていえば「混乱」を抑えるための「鉄拳制裁」だったといえるでしょう。欧米を中心とする「近代国民国家」では考えられないような「強権政治」が必要でした』

『そして、「そうではない、民主主義をやればみんな幸せだ」というユートピア的な発想で打倒してみたら、そうではなかったということをイラク侵攻と「アラブの春」で経験したはずです』

『あえていえば、よりマシな「独裁政権」とつき合う現実的な覚悟が、当面、国際社会には必要というべきなのかもしれません』

 ま、そういうことでしょうね、なので、アメリカはあまり他国のことに口出ししないで、自分の国のことを考えていれば、ってことでしょうかね。

『イスラム国の正体』(国枝昌樹著/朝日新書/2015年1月25日刊)

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