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2015年2月26日 (木)

『ネオアベノミクスの論点』つづき

 若田部氏は「ネオアベノミクス」として「三つのR」と「オープンレジーム」への転換ということを言っている。

『三つのRとは、
①リフレーション(Reflation)
②リフォーム(Reform)
③リディストリビューション(Redeistribution)
です。これらは経済政策が目指すべき景気安定化、経済成長、所得再分配の三つの目標のそれぞれ対応しています。最後のRは所得再分配(redistribution)のRだけでなく、リハビリのRもあり、さらに大きな意味での日本の再建、リコンストラクションのRでもあります。
 そして「オープンレジーム」とは、これまでの日本の政治経済が「クローズドレジーム」で運営されていたことの反省に立ち、より開かれた環境を作ることを指した言葉です』

 では、この「三つのR」とは何か。

Photo『ネオアベノミクスの論点 レジームチェンジの貫徹で日本経済は復活する』(若田部昌澄著/PHP新書/2015年2月27日刊)

『第一のRは「リフレーション」です。アベノミクスの要点は、まずデフレ脱却にあり、それはこれまで一定の成果を収めました。何よりも大事なのは、これまで長く続いてきた日本の金融政策のレジーム、ルールを転換したことです。これまでのデフレを容認する状態から、マイルドなインフレの世界へと変えるという方向に、金融政策のルールが変化したことを示す証拠は少なくありません』

 日銀というのは、基本的にデフレ容認派で、特にバブルが崩壊した後の金融引き締め策がづっと続いていた時代のルールを変えたということなのだろう。

『第二のRは「リフォーム」、改革です。リフォームの要点もまた、オープンレジームであること、つまりルールや枠組みを重視し新規参入者を歓迎することにあります』

 ということは、この「第二のR」はまだまだ道半ばというところなのだろうか。

『アベノミクスへの批判では、第一の矢に次いで、第三の矢が進んでいないことに向けられたものが非常に多く見られます。成長産業を国や霞ヶ関が見定め、そこに人材や資金を注入し産業を育成すべきだ、という意見は、右派・左派を問わず多くの識者から広く聞かれるものです』

 というけれども、『成長産業を国や霞ヶ関が見定め』ることなんかはできないのだ。

『産業的なイノベーションは政府ではなく、イノベーティブな民間主体の日々の努力によって起こります。けれども政府にもイノベーションができないわけではありません。政府ができるのは、民間が努力しやすい環境を「政策イノベーション」によって整え、余計な干渉をしないことです』

『いま、第三の矢として掲げられているアイデアはいずれも、特定産業に補助金を与える従来型の産業政策の亜流や、官民ファンドや地方創生=ローカルアベノミクスなど、裁量型、中央集権型統制の要素が非常に強いものばかりです。しかし、実際にすべきことは規制緩和やTPPの締結などなのです』

『諸外国で規制緩和が成功してきたのは運輸、通信、発電事業といった分野です。これについてはまだまだ日本にも緩和余地があります』

 確かに、タクシーの運賃規制やら台数規制が残っているし、ソフトバンクの孫正義氏が提唱した電波周波数オークションもなされていない。3.11以来テーマとなっている発送電分離と発電事業への参入自由化も、まだまだ道半ばだし、安倍首相としてはあまり乗り気ではないようだ。。

『第三のRである再分配にも、オープンレジーム型、裁量ではなくルールを重視した改革(リフォーム)が必要です。ルール型の再分配とは、方向としてはベーシックインカムや負の所得税といった、帰属する集団や地域にかかわらず所得水準が低ければ自動的に一定の所得を補償されるという形で、格差の是正をはかる再分配です』

『均等化のひとつのアイデアは、地方分権化です。国レベルでの産業政策については私は懐疑的ですが、地方ならば、現場に近い限りはうまくいくこともあるかもしれません。地方を再編しそれぞれの地域の生産性を上げるための産業育成を、地域の単位で行うこと、地域のイニシアティブを強化することは有力なアイデアです』

『地域の活性化はその地域の現実を知っている人でなければわかりようがありません。実際にアメリカなどでの専業育成は中央政府の統制ではなく各地域への権限移譲で行われ、成果を挙げていますが、日本では地方への権限移譲は進んでいません。よく言われる「三ゲン」、権限、財源、人間を地方に移譲し、地方に任せる発想が必要に思われます』

 しかし、この若田部氏の考え方は「ネオアベノミクス」ではないだろう。むしろ、安倍晋三氏の発想を超えて、更に日本を発展させるための提言のように読めてしまう。

 実際、安倍首相の政策は、経済的にはリフレ策をとってデフレから緩やかなインフレーションに転じたところで自信をつけ、その他の政策では中央統制型、大きな政府型の政策を強めているように見える。農協改革以外の分野では相変わらず新規参入の障壁が多い統制経済だし、TPPへの姿勢も何かあまり積極的ではない。

 若田部氏の考え方は、規制緩和、新規参入型、ベーシックインカムなどの再分配の考え方、地方分権型、などといったオープンレジームの考え方は、どちらかというと小さな政府を狙っているようで、それはそれで正しいとは思うのだが、それはむしろアベノミクスとは反対側の方を狙っているようにしか見えないのだが、如何だろうか。

 結局、アベノミクスの長所はリフレ策だけで、それ以外は相変わらずの自民党型保守政治でしかない。特に、経済以外の分野ではますます保守、統制型の政治になっており、むしろ、昔の政治に戻そうという力が働いているようにしか見えないのだ。

 若田部氏は経済学者だから、その経済学的見地からだけ見てアベノミクスを評価しているのだが、アベノミクスの本筋はむしろ政治過多の政策だから、経済だけを見ているとアベノミクスを見誤る心配がある。

 なにしろ、いまだに「美しい日本」の考え方を捨ててはいないのだからね。

『ネオアベノミクスの論点 レジームチェンジの貫徹で日本経済は復活する』(若田部昌澄著/PHP新書/2015年2月27日刊)

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