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2015年1月 7日 (水)

森山大道『遠野物語』から『遠野 2014』へ

『日本人の心の故郷ともいうべき“遠野郷”に行ってみたい、久しぶりに東北の山河を目にしてきたい、という思いが僕の気持ちのなかに萌(きざ)したのは今年初夏の頃であった。

 この一・二年、僕は国内外いくつもの都市の喧騒と混雑のさなかに身を置いて、ひたすら歩き写しつづけるばかりだったので、ほんのしばし日本の風土、懐かしき里山に触れ、目とそしてレンズを向けたくなったのだ。

“遠野郷”は、もう四十年も以前(まえ)、民俗学者・柳田國男氏が編んだ幻想に充ちあふれた民話集「遠野物語」の世界に惹かれて撮影に行き、後に東京で僕の初の写真個展を開催した遠い思い出の場所である。そのときの、こころよかった記憶のイメージの数々が、過日ふと僕の内部(なか)によみがえり、とにもかくにもカメラを手に現在(いま)の遠野へと出掛けてきたのだ。

 中秋の“遠野郷”は、丁度稲の刈り入れが始まったときで、町場に人影は薄かったが、野も山も河もたおやかで、しかし、したたかな時間と風景の広がりの中に在った。』

 というのが森山大道氏が自らの写真展『遠野 2014』に寄せたメッセージ。

Dscf58932

『そして、そんな場所への興味が尽きないなかでも、いつもどこか、僕の心の奥隅のほうでひっかかかっている場所として、つまり僕にとってたんに興味がある場所という以上に、もっと根深いこだわりと言わざるをえない「もうひとつの場所」として、遠野があったわけなのです』

 と、40年前に『遠野物語』を書きはじめ、

『いま僕は、ひとまずふるさとといった言葉やイメージからは遠ざかっていたいと思っています。けれどまたそれとは別の原景を追いかけて「もうひとつの国」を探しにいくことになるだろうと思っています。どうせふるさとなどありっこないのだし、心の内にあるばかりで、原景などというものは見つかりっこないのでしょうが、それでもやはりここではないどこかへ、イライラクヨクヨをつづけながら出かけていかざるをえないでしょうね。そして本当に何も言えなくなってしまったとき、つまり一切の問いかけがなくなってしまったとき、僕はもう一度「写真よさようなら」と言ってしまうかもしれません。いまの僕の状態は、出口がないのではなく入り口が見つからないのです。ツァラトゥストラの言う「これが人生か、よしもう一度」といったところです。遠野よしばしさようなら、です』

 で、『遠野物語』を締めた森山大道氏が、それから40年経って遠野に何を見ようとしたのか、そして何が見えたのか……。そんな興味からキャノンギャラリーSに行って、『森山大道 写真展:遠野 2014』を見てきたのだった。

Dscf58942(c)Daido Moriyama

 はたして、森山氏のカメラに映し出されて遠野は、40年前と寸分たがわぬ遠野であった(のではないのだろうか)。

 私も数年前までは毎年秋になると遠野に行っていた時期がある。そこで見た景色、街並み、風景、人びとの生活は、その時点でも森山大道氏が40年前に映し出した遠野と同じだった。

 勿論、人びとの生活は変わっているだろうし、そこに住む人々は40年前の人々と同じではない。40年の間のテクノロジーの変化は確実にあるし、昔はなかった道路に新しい店も出来ている。

 しかし、それらのものが森山大道氏のモノクロ写真になってしまうと、昔と寸分たがわぬ遠野になってしまうのだ。

『機材の準備といったって、僕の場合三五ミリのカメラ一台に二八ミリレンズをつけて別にマクロレンズを一本、あとはフィルムのみです』

 という35mmのカメラとはアサヒ・ペンタックスSPのことだろう。今回はキャノンがスポンサーなのでPowerShot G7とEOS 6Dを使用したそうだが、多分大半の写真はPowerShot G7のモノクロフィルターで撮っているようだ。だとすると、数少ないカラー写真がEOS 6D使用なのかな。

 まさしくブレない写真家、森山大道氏の姿をそこに見るのである。

Dscf58952(c)Daido Moriyama

『遠野 2014』は2月9日まで、品川のキャノンギャラリーSにて開催中。

公式サイトはコチラ

『遠野物語』(森山大道著/光文社文庫/2007年4月20日刊)

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