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2014年12月14日 (日)

「How Google Works」から見えてくるもの①

 400ページ近い結構な大著であるので、読むのに数日かかってしまった。といっても、私の場合、いっぺんに何冊か同時並行して本を読むので、そのせいもあるのだが……。

 いずれにせよ、なかなか示唆に富む本なので、何回かのテーマに分けてお伝えしたい。

How_google_works 『How Google Works―私たちの働き方とマネジメント』(エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル、ラリー・ペイジ他著/土方奈美訳/日本経済新聞出版社/2014年10月17日刊)

 グーグルの従業員は社内では「グーグラー」と呼ばれているらしいが、そんなグーグラーには「スマート・クリエイティブ」であることが望まれている。

「スマート・クリエイティブ」とは何か?

『少なくとも従来の意味での知識労働者ではないのだ。私たちが「スマート・クリエイティブ」と呼ぶ新種で、インターネットの世紀での成功のカギを握る存在だ』

『スマート・クリエイティブは、自分の〝商売道具〟を使いこなすための高度な専門知識を持っており、経験値も高い。私たちの業界ではコンピュータ科学者か、少なくとも日々コンピュータの画面上で起きている魔法の背後にあるシステムの理論や構造を理解している人材ということになる。だが他の業界では、医師、デザイナー、科学者、映画監督、エンジニア、シェフ、数学者などがスマート・クリエイティブになるかもしれない。実行力に優れ、単にコンセプトを考えるだけでなく、プロトタイプをつくる人間だ』

 で、そんな「スマート・クリエイティブ」をどうやって採用するのか?

『グーグルの創業者たちは初めから、最も優秀な人材を採用しつづけるには、産業界ではなく学術界のモデルを見習う必要があることを理解していた。大学は通常、教授に採用した人間を解雇しないので、専門委員会を立ち上げ、教員の採用や昇進の検討に膨大な時間を費やす。私たちが採用はヒエラルキー型ではなく、委員会によるピア型が好ましいと考えるのはこのためで、候補者の経歴が空きポストと合致するか否かにかかわらず、とにかく優秀な人材を採用することに集中する』

『Aクラスの人材は同じAクラスを採用する傾向があるが、BはBだけでなく、CやDまで採用する。だから妥協をしたり、誤ってBの人材を採用すると、すぐに社内にBのみならずCやDまで入ってくることになる。そしてプラスかマイナスかにかかわらず、群れ効果が最も強く出るのは、従業員にスマート・クリエイティブが多く、会社がまだ新しいときだ』

『アンドロイドの創業者アンディ・ルービンは、ロボットが大好きだ(現在はグーグルが立ち上げたばかりのロボット事業を率いている)。グーグルのエンジニアリング部門の初代トップであったウェイン・ロージングは望遠鏡に、エリックは飛行機と空を飛ぶこと(そして飛行機の操縦にまつわる話をすること)に情熱を感じる。  こうした一見仕事とは無関係の情熱が、会社に直接的な恩恵をもたらすことも多い。アンドロイドの天文学アプリ「スカイマップ」を使うと、スマートフォンが星図になる。これは数人のグーグラーが自由時間(あとで詳しく説明する「20%ルール」)に開発したものだ。コンピュータ・プログラミングが好きだからではなく、熱狂的なアマチュア天文学者だったからだ。私たちが感心したグーグルへの応募者のなかには、サンスクリット語の研究に情熱を持っていた人や、古いピンボールマシンの修理が大好きという人もいた。何かに深い興味を持っている人は話がおもしろい。だから面接をするときの私たちの哲学は「ムダ話をさせるな」ではない。むしろ、求職者が興味のあるテーマについては〝ムダ話〟を奨励したいと思っている』

『人種、性的志向、身体的障害などさまざまな面で多様な人材を採用することは、道徳的に正しい行為であるのは間違いない。ただそれ以上に、企業戦略的に見た場合のほうがはるかに大きな意義がある。バックグラウンドの異なる人々は世界を違う目で見る。女性と男性、白人と黒人、ユダヤ教徒とイスラム教徒、カトリックとプロテスタント、退役軍人と民間人、同性愛者と非同性愛者、ラテン系と欧州系、クリンゴン人とロミュラン人、アジア人とアフリカ人、車いすを使う人と使わない人――こうした視点の違いは、まったく新しい発想を生む』

『多様な人材が同じ職場で働くことで生まれる幅広い視点には、はかり知れない価値がある』

『これほどの手間暇をかけ、最高のスマート・クリエイティブを獲得するための採用プロセスを整えたら、彼らはどんなふうに報いてくれるだろう? そう、退社するのである! これは動かしようのない事実だ。よくよく頭に入れておこう』

『グーグルの「採用のおきて」 ●自分より優秀で博識な人物を採用せよ。学ぶもののない、あるいは手強いと感じない人物は採用してはならない。 ●プロダクトと企業文化に付加価値をもたらしそうな人物を採用せよ。両方に貢献が見込めない人物は採用してはならない。仕事を成し遂げる人物を採用せよ。問題について考えるだけの人物は採用してはならない。 ●熱意があり、自発的で、情熱的な人物を採用せよ。仕事がほしいだけの人物は採用してはならない。 ●周囲に刺激を与え、協力できる人物を採用せよ。ひとりで仕事をしたがる人物は採用してはならない。 ●チームや会社とともに成長しそうな人物を採用せよ。スキルセットや興味の幅が狭い人物は採用してはならない。●多才で、ユニークな興味や才能を持っている人物を採用せよ。仕事しか能がない人物は採用してはならない。 ●倫理観があり、率直に意思を伝える人物を採用せよ。駆け引きをしたり、他人を操ろうとする人物を採用してはならない。 ●最高の候補者を見つけた場合のみ採用せよ。一切の妥協は許されない』

 うーん、意外と普通だ。

 というか、日本の大企業ではいくつか採用されている考え方でもある。まあ、『『人種、性的志向、身体的障害などさまざまな面で多様な人材を採用することは、道徳的に正しい行為であるのは間違いない』というところまではいっていないが、それでも多様な人材を採用することは、企業にとって企業活動を活発化させる要素になるということは理解されていて、別に優秀な人間ばかりを採用すると、あまり動かなくなる人間ばかりになってしまい、企業の力は衰える。まあ、採用時には優秀だと思っていても、いざ実際に仕事をさせてみたら全然使えない奴だった、っていうこともある。でもそんな人間だって、実は企業にとってみたら、いないよりはいる方が良かったりする。優秀な人間と、そうでもない人間、まったく使えない人間の三種類がいて、始めて社会として成立するということもある。

 結局、企業というものはある意味で、その企業が属する社会の縮図であると考えればよい。

 しかし、こうしたグーグルの採用ルールが新しい、ということはアメリカ企業の最近の採用ルールがもっと硬直化し、「優秀な人間」しか採用しない会社があったり、もっともっといい加減な会社があったりしていたのかも知れない。まあ、中途採用の多いアメリカ企業社会だから、そうした「優秀な人間しか採用しない」会社もあるのかも知れない。

 しかし、アメリカもその前はいろいろな人間を採用して、社内で教育して、定年まで勤め上げる社会だった時代もあったのだ。

 グーグルも、新しいようで、実はそんな昔のアメリカ企業のような採用に戻ろうとしているのかも知れない。

『How Google Works―私たちの働き方とマネジメント』(エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル、ラリー・ペイジ他著/土方奈美訳/日本経済新聞出版社/2014年10月17日刊)

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